命の選別

・・・昨日の続きです。

 

『確実に一歩ずつ前進している！』

ですが、その都度、自分自身抱える苦しみもまた

ひとつづつ増えていく事に気付きました。

 

命の選別とは、助かる命と助からない命を

自分で振り分けている…という事。

 

 

自分がいかにつまらない人間かという事は、

自分自身でもよく分かっていたので、

「お前ごときの人間が命を選別するなんて」

そういつも自分を責めていたので、

「あなたに選ばれなかった犬の気持ちが

分かりますか？

あなたの正義ってなんですか？」

他人からそう罵倒される度に、

「そんな事分かってる！うるさいうるさい！」

本当の事をつつかれて、

当時は一回一回腹が立っていたのでしょう…。

 

 

自分自身への怒りを、ぶつける場所がなかったから…。

 

 

 

2008年3月・・・

11頭の多頭飼育崩壊で、管理所に持ち込まれた

内10頭の犬をレスキューしました。

 

 

当時は、保護する施設はどこにもなかったし、

私の自宅でも限界がありましたので、

数人の預かりさんに託しました。

 

 

ですが、1頭だけ・・・

どうしても助けることが出来ませんでした。

 

その犬だけ、中型犬で人慣れしていなかったため、

預ける先がみつからなかったのです。

 

 

ちゃんと向き合えば、この子は変われる！

信頼関係も必ず築ける子！

 

ですが、当時は、譲渡に時間のかかるような仔は、

レスキュー出来ないという私達の中で、

暗黙の了解みたいなものがあったのです。

 

その子1頭を、長期間抱える事で、

どれだけ多くの命が助けられなくなるのかと…。

当時、宮崎県内だけで、

毎年3,000～4,000頭の犬が

殺処分されてた時代に出来た

仕方のない暗黙の了解だったのかと思いますが…。

 

 

人に馴れてさえくれれば、

預かりさんにお願いできるのに…

 

「嘘でもいいから尻尾を振って！

計算でも媚びでもいいから…おねがい！」

 

檻の前に座り、何度も声をかけましたが、

最期まで…最期の時まで、

この子は、自分を崩しませんでした。

 

 

犬は、人間のようにずる賢い生き物ではないから…

 

レスキューするたびに、隣の檻に入っていた子、

檻に手をかけて甘えてくる仔達、

助けられない命が多い事に、

自分はこれから何が出来るのか…

どう変えていけば良いのか…

 

当初は苦しみばかりでした。