3匹の義兄弟猫のお話（その6）

 

ある日、チャトラと2号が暮らしている駐車場の片隅に、新たなキジトラ猫が流れてきました。

 

そのキジトラ猫はチャトラと2号にケンカを挑んできたのですが、しばらくすると何故かチャトラと2号と仲良くなっていたのです。

 

どういう理由で仲良くなったのかは分かりませんが、オス同士の3匹が仲良く同じ縄張りで寛いでいる姿は心が温まる光景です。

 

 

私はキジトラ猫に「流れキジ」と名付け、ついでに仲良し3匹組を「チャトラーズ」（1匹はキジ「トラ」ですが）と呼ぶことにしました。

 

チャトラーズのお世話をするうえで、最初にやるべきことは流れキジのTNRです。

 

そこで、私は捕獲機を用意して駐車場に向かったのですが、捕獲機を見たチャトラと2号は一目散に走り去ってしまいました。

 

どうやら既に手術済みのチャトラと2号にとっては、捕獲機がトラウマになっているようです。

 

 

その一方で、流れキジは捕獲機に何の抵抗もなく、あっさりと捕獲することができました。

 

そして無事に流れキジの去勢手術を終えて、リリースの日がやってきました。

 

TNRの際は手術で怖い思いをした猫が、他の餌場に流れてしまうケースがあるため、流れキジに関しても駐車場から別の餌場に流れてしまう不安はありました。

 

チャトラーズの一員となって自分の居場所を見つけた流れキジが、TNRが原因で再び流浪の猫になってしまったら、私には大きな後悔が残ってしまいます。

 

私は流れキジが他の餌場へ流れてしまわないように祈りながら、駐車場の奥へリリースしました。

 

リリースの翌日、流れキジの様子を心配しながら駐車場に着くと、いつもどおり3匹のチャトラーズが出迎えてくれました。

 

 

私は去勢手術を受けても姿を消さなかった流れキジを、たっぷり褒めてあげました。

 

そして、ちょっとおバカな流れキジを仲間として受け入れてくれた、チャトラと2号にもきちんとお礼を伝えました。

 

 

少しタイミングは遅くなってしまったものの、流れキジは無事に去勢手術を終え、名実ともにチャトラーズの一員となったのです。

 

（つづく）