インタビューを終えての感想

T.Uさん

私は、ふわりネットワークの自主避難者インタビューにおいて、お二人の自主避難者の方のお話を聞かせて頂いた。お話を聞く中で、お二人とも「放射能汚染に関して、日本にはもう安全な場所はない」と考えていらっしゃることに衝撃を受けた。私自身の原発に対する知識や関心は浅く、さらに自分が自覚しないうちに、原発に対する意識が風化しつつあるのだということを強く実感した。
お二人は、特に食べ物の汚染に注意を払っていらっしゃり、「関東産のものは絶対に子どもに食べさせられないし、魚はどこ産でも食べさせるのをためらう」とおっしゃっていた。お二人ともご自身の健康というよりも、我が子に対して「命の危険にさらさせてしまった」という後悔と、「安全を守りたい、将来を保証しなければ」という強い使命感と覚悟を感じていらっしゃり、そのために親である自分にできることとして食の安全に特に気を配っていらっしゃることを知った。しかし、私は食べ物の汚染に対して、放射能の恐ろしさに共感する反面、「そこまで考慮してはきりがないのではないか」とも思ってしまい、インタビュー中には返す言葉を迷ってしまった。私は、被曝の恐ろしさを身近に感じる場所に住んでいたわけではなく、守るべき子どももいない。そのため、震災当時関東に住んでいらっしゃったお母さん方の不安や覚悟は、想像しようとしても想像し足りないのだと思った。そのことから、聞き手の考える話し手のニーズはあくまで想像にすぎないのだと実感し、話し手にとって最も良い支援を実現するには、話し手の話に傾聴する中で直接ニーズを把握するということが大切なのだと学んだ。
また、インタビューをさせて頂いた一人の方は、中学生と小学生のお子さんが二人いらっしゃるが、震災直後に離婚なさったため、北海道、岡山、福岡と一人で新しい生活の場を探し、一年前に福岡市にやってきたご家族であった。その方はインタビューの中で、ご自身の両親のお話をあまりされなかったため、ご両親とはつながりが薄いのではないかと感じた。そのため、知り合いのほとんどいない土地で「困ったことは誰に相談しているか」と尋ねたところ、「避難場所として福岡を紹介してくれた、飯塚に住む自主避難者の仲間には相談しているが、あとはインターネットのQ&Aを参考にしている」とおっしゃっていた。そのことから、現在ご本人はさほど必要性を感じていないにしても、身近に気軽に相談できる方や親身になって話を聞いてくれる方が少ないということは、ご本人が不安を抱えこんでしまうことにつながるのではないかと感じた。本人に感知されたニーズと他者が捉える潜在的なニーズには一致するわけではないことを実感した。よって、直接お話を聞くことで話し手の主張するニーズを捉えるだけでなく、隠されたニーズやご本人ですら自覚していないニーズを捉えることも必要であると学んだ。
自主避難者インタビューは、直接お話を聞くことで、話し手の表明するニーズや潜在的なニーズを把握するということの大切さと難しさを実感した。さらに、どこまで話し手の想いに寄り添えているのかということを、聞き手である私が自分自身で把握することがとても難しかった。しかし、「最善の利益はご本人の中にある」という意識を忘れずに話し手自身の言葉を引き出し、話し手の人生を傾聴するという姿勢が大切であると学んだ。

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