【CACI物語：卒業犬（54）｢ジェニー｣ 】

 

ジェニーが橘田犬になる前のこと。

愛犬のセッター、ニッキーが山中で行方不明になりました。

川沿いで見かけた猿を、そのまま追いかけていってしまったのです。

2歳の訓練途中のセターでした。

 

地元のボランティアさんや、地元の新聞などなど

あらゆる方法で探していましたが、見つかりません。

ネット上で探している最中に

CACIにたどり着いたそうです。

 

毎日毎日ニッキーのことで頭がいっぱい・・

心がどうにかなってしまいそう・・

そのような状況の中

悲しみの中で暮らすよりも、

せめて今、自分たちができること、

 

心無いハンターが放棄した犬達を受け入れてあげるのも

行方不明になったニッキーへの想いではないかと思い

CACIより保護犬を迎えてくださることになったのです。

 

 

お見合いのため、CACIに足を運んでいただいた時

必死の様相で、橘田様から離れないジーン。

目で一生懸命訴えていました。

ジーンは小柄なセッターでしたが

明らかに何度も出産経験のある身体でした。

その姿を目にした橘田様は

『そうなの、つらかったの？　で、子供何匹産んだの？？』

と、すがりつくジーンを優しく撫でながら話しかけていらっしゃいました。

 

 

そしてジーンは、ジェニーと改め、新しい家族に迎え入れられました。

 

ご夫婦は、常に猟犬と暮らしていらっしゃいました。

使役犬としてではなく、立派な家族の一員として大切にされてきたことは

沢山の写真が物語っています。

 

 

 

実猟は、本来紳士のスポーツなのに、

狩ることだけを目的とした『道具』扱いする

ハンターがいることを、とても憂いていらっしゃいました。

 

 

ジェニーを迎えた時には、ご主人は既に猟をリタイアされていらっしゃいましたが

お嬢様がご先祖様からの鉄砲を受け継ぎ、山に入っていらっしゃいます。

お供のブリタニーは、かなりの賢犬だそうです。

 

 

「ハンターは犬に対して尊敬の気持ちを持つべきと思っています。」

そう断言されるお嬢様。

CACIを応援くださっている百穴の場長の奥さまとは、大の仲良しで、

よく、このような話をされているそうです。

 

百穴射撃場

 

ジェニーをお届けに伺った際、

ご主人様から、素敵なプレゼントをいただきました。

それは、猟をしない私たちに、鳥猟犬のことを分かりやすく解説いただいた

レポートです。

猟犬の特徴、目的、体の違い、種類など細かくイラスト入りで、丁寧に記されていました。

猟犬を保護する際に、少しでも役に立てればと・・。

 

 

 

 

タイルペイント作家である奥さまは、素敵な表札を作ってくださいました！

 

 

奥さまは、アメリカでタイルペイントを、日本で陶芸を学び、

ご自宅の窯で作品を焼成されています。

定期的に個展を催され、

ご自宅には素敵な作品が、数多く飾られていました。

 

 

 

ジェニーは、猟のお供をすることもなく、

お家の中でパパとママとのんびり過ごします。

ジェニーと共に、日々自然を満喫し

北海道､佐渡島などの旅行も一緒に楽しんだそうです。

 

 

ジェニーは、とても甘え上手でフレンドリー。

お孫さん達とトランプをしていると

だだっと真ん中に入り、得意げに参加したり

 

 

猿が、庭などに出没すると

「大変だあ」

と知らせに来たそうです。

 

 

一昨年、ジェニーは幸せな日々を満喫し、虹の橋を渡りました。

 

 

ご主人亡きあと、ジェニーと共に都内を離れ、

安曇野に居を移した橘田様

安曇野の豊かな自然にはぐくまれながら、

今日もタイルに愛情あふれる豊かな命を吹き込んでいらっしゃいます。

 

（長野県安曇野市　橘田様）

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