プロジェクト概要

はじめまして、名古屋大学附属図書館特定基金等ワーキンググループの林です。附属図書館は本学の研究・教育の基盤としての役割を担い、「勇気ある知識人」を育てる教育や創造的な研究にかかるさまざまな支援を行っています。


その支援の一環として、木曽三川に関わる国内最大級の古文書群である「高木家文書」をはじめとする附属図書館所蔵の貴重資料を整理・保存し、研究を進めて社会に公開しています。ただ残念なことに、学内予算や学外の競争資金だけでは整理・保存・公開を安定して継続することができない状況にあります。そこで今回、高木家文書の修理とデジタル画像の作成・公開を行うため、本プロジェクトを立ち上げました。

みなさまの温かいご支援を賜りますよう、何卒よろしくお願いいたします。

 

名古屋大学ロゴマーク

 

 

名古屋大学に託された、類まれなる古文書群 高木家文書


高木家文書は、美濃國石津郡時・多良両郷内(現在の岐阜県大垣市上石津地域)を知行地とした旧旗本交代寄合、西高木家の旧蔵文書群で、約10万点が名古屋大学附属図書館に伝わっています。

 

多くの旗本文書が幕府瓦解により散逸した中で、傑出した規模と内容を有する文書群として知られています。中でも江戸幕府の命により、高木家が木曽三川(木曽川・長良川・揖斐川)および流域河道の監視・整備にあたる川通掛(水行奉行)に任命されたことから、全国的にもまれな治水関係資料が15,000点以上も伝来しており、その資料的価値は高く評価されてきました。

 

戦前には、東京帝国大学の黒板勝美教授の協力をうけて高木家にて治水関係資料約1万点の目録が作成され、当時からその価値が認められていました。また、木曽三川の歴史を研究するうえで基本的な資料となっている『岐阜県治水史』をはじめ、木曽三川流域の地方自治体の歴史を編纂した書物にも高木家文書や、高木家文書を用いて明らかになった史実が引用されています。


木曽三川流域は豊かな水と肥沃な土壌に恵まれる反面、かつては全国有数の洪水常襲地帯でもあり、さまざまな治水事業が展開されてきました。「高木家文書」は、そうした地域における近世・近代の自然環境や歴史・文化・技術を考えるうえで第一級の資料群といえます。 高木家文書には高木家や幕府の役人の手紙や記録・帳簿のほか、木曽三川流域の村々に暮らした人々の訴えなどが残されています。

 

こうした当時の生の声をも含む高木家文書は、江戸時代の木曽三川流域の河川管理体制や河川・災害の状況、各治水工事の詳細や技術、この地域に暮らす人びとの河川災害との戦いの様子を明らかにするうえで活用されてきました。さらに、過去の地形や環境史への関心が高まっている今日において、こうした研究を進めるうえでますますの活用が期待されます。また、木曽三川流域の歴史には言い伝えも多く、その伝承の真偽を探る際にも高木家文書が役立てられており、歴史的事実として当時の人々の暮らしをより明らかにできるでしょう。

  高木家文書「木曽三川流域大絵図」(153.1×198.3cm)

 ※宝暦治水(1754-1755年)以前の木曽三川流域環境を描いた絵図
 

 

溝口常俊氏(名古屋大学名誉教授)より

- 『高木家文書』のもっている資料的価値・有用性、大学がこうした歴史資料をもっている意義について- (抜粋)

 

木曽三川下流部の輪中地帯は洪水の常襲地であり、そこで暮らす人たちの洪水と戦う生活史研究は地理学・歴史学をはじめとする人文諸科学の主要テーマであった。

 

『高木家文書』の御用日記には寛延3年(1750)から明治3年(1870)に至るまで、ほぼ毎日、河川奉行としての公務のほか、近隣諸町村との交流、さらには災害記録も記されている。解読の成果は1年間読み終えた段階で報告書にまとめているが、是非継続して全文翻刻して公開できればと思う。

 

また、『高木家文書』には貴重な絵図類も含まれている。河川上の植生図もあれば、堤防決壊図もある。1976年の豪雨時の長良川決壊箇所はこの図に載せられていた場所と同じであった。2011年3月11日の東日本大震災以降の数年間においても御岳火山爆発、広島土砂災害、口永良部火山爆発、茨城県常総市大水害、熊本地震等々「災害列島日本」の過酷さは強まり続けている。こうした現状において歴史的な災害記録を文書と絵図から学び防災に役出させることが出来る『高木家文書』はきわめて貴重であり、その意義を、名古屋大学は世界に発信せねばならないと思う。  

 

名古屋大学附属図書館では、この貴重な高木家文書を公開すべく画像電子化を進めている。早期の実現に向けて、皆様方の温かい支援を期待しています。よろしくお願いします。

 

 

 

 

秋山晶則氏(岐阜聖徳学園大学教授)より

- (木曽三川流域)治水史研究からみた高木家文書の意義- (抜粋)

 

名古屋大学附属図書館所蔵「高木家文書」は、質量ともに全国屈指の旗本文書として知られるが、その大きな特徴は、江戸時代を通して木曽三川流域の治水に関わる資料(大型彩色河川図や古文書など)を膨大に蓄積している点にある。

 

高木家に蓄積された治水資料群は、流域環境の変化や災害状況を示すビジュアルな絵図など、他に例をみない詳細かつ膨大な情報を保持しており、川という自然と人間がどう関わってきたのか、流域住民が持続してきた水とのたたかいの歴史を解明する上で不可欠の情報資源となっている。

なお、「高木家文書」の治水資料群は、歴史(治水史)研究はもとより、河川工学や環境学など、幅広い分野で活用されてきた。近年では、巨大地震への備えを重視するなかで、2016年特別展『古文書にみる地震災害』など、地震科学との共同研究も積極的に進められている。

 

このように、国内では例をみない詳細かつ膨大な河川環境情報を蓄えた高木家文書を介して、河川工学や環境学など、多くの自然科学分野を巻き込んだ学際研究の可能性が広がっている。この流れをさらに深化させるには、土台となる文書群の保存環境整備に加え、膨大な文書群が有する豊かな情報資源をシームレスに活用できる画像電子化公開が重要な鍵となる。このたびの(名古屋大学附属図書館)クラウドファンディングに期待するゆえんである。

 

二度の散逸を乗り越え、名古屋大学へ託された想い

 

高木家文書は明治維新後、終戦後の二度の散逸の危機を乗り越えて名古屋大学に一括して保存されるようになりました。

 

一度目の危機は明治維新後の混乱期。時代の変化の中で没落する旧士族も多いなか、高木家は多良地域に残り、当時の高木家の当主・貞正は郡長やのちには衆議院議員などを務めて地域で名望家として活躍しました。そのなかで当主貞正・貞元父子の尽力により文書の保存を続けられ、散逸を免れました。

 

二度目は終戦後。1950年代になって高木家が財政整理上の理由から古文書を手放すことになりました。いったん古紙業者に渡ったものの、高木家の知人・中島俊司氏の仲介により名古屋大学がまとめて受け入れることになりました。

 

この背景には、中島氏の名古屋大学への資料の整理・保存体制への期待や、岐阜県下の子供達も将来学問をする名古屋大学に所蔵してほしいという想いがあり、この想いを名古屋大学が受けとめたといえます。

 

 

 西高木家の陣屋跡(長屋門) ※2014年に国の史跡に指定

 

半世紀以上にわたる古文書の整理・保存・活用事業

 

高木家文書はこうして長年にわたり、多くの人々の努力をへて受け継がれてきた文化財であり、これを引き継いだ附属図書館では、貴重な財産として後世に伝えるとともに地域の歴史を知る重要な資料として活用できる環境を整えていかなければなりません。そのため、附属図書館は積極的に整理・保存・活用事業を行ってきました。

 

まず1971から1983年には約10万点の高木家文書うち、約52,000点について冊子目録を刊行しました。その後、未整理のままになっていた資料も1989年から整理作業を再開し、現在に至るまでその整理作業を継続しています。

 

また、大学は積極的に学術情報資源を発信して社会貢献すべきであるといった要望から、2001年より髙木家文書のデジタル画像化と公開に取り組み続けています。

 

どちらの事業も、一つのコレクションとして、より効果的に資料を活用してもらうためには、最後まで継続して事業を行わなければなりません。現在では、全体のうちのようやく約52,000点の整理、2,898点のデジタル画像化が終わった状況で、今後も事業の継続が必要です。

 

古文書整理のお金がない!?

 

2004年の国立大学の法人化以降、国から配分される予算が毎年1%ずつ削減されています。

 

このような状況にあっても、附属図書館では一定額の予算を確保し、古文書の保存・活用・整理事業に充てられる予算も継続的に確保してきました。しかし、2016年から2017年にかけて、図書館の全体の予算が5,000万円近くも削減され、このままでは、古文書の保存・活用・整理事業に必要な予算を確保するのが非常に難しい状況です(下図参照)。

 

 

 

予算が確保できなくなってしまうと、デジタルライブラリーへの継続的な画像の追加ができなくなり、修復事業も滞って資料の劣化が一層進んでしまうおそれがあります。

 

貴重な古文書群を後世に:私たちの想い

 

後世の利用者のために保存環境を整備し、現代の利用者のためにデジタル画像化してインターネット上で公開するのは附属図書館の使命と考えています。

 

インターネット公開によって、誰でもどこからでも簡単にアクセスすることができるようになります。これにより高木家文書に関する知の集積が飛躍的に向上するとともに、現在は気付かれていない情報や価値が再発見されることにつながります。さらには、デジタル画像化で原本の劣化を防ぎつつ、資料情報へのアクセスを向上させることができて利便性も高められます。

 

また、総合的に歴史資料を体系化し、活用の体制を整えることによって、木曽三川流域を中心とする治水や自然災害、江戸時代の旗本領主制など、さまざまな視点での歴史研究のための重要なプラットフォーム(=基盤)になります。

 

資料を救済し、未来へつなげるために:プロジェクトの目標

 

今回のプロジェクトでは、全国的にも貴重な治水関係の資料について、クラウドファンディングで集まった資金を使用し、整理・保存・活用事業を進めていきます。


- 資料の修理 -


所蔵している資料の一部は虫喰いなどによる損傷がひどく、修理しないと利用できない状況にあります。
資料を修理することによって、閲覧できるようになり、資料から新しい歴史的事実も読み取れるようになります。

 

修復前後の資料の一例 (高木家文書)

 修復前

 

 修復後

 

全体的に虫損がひどく、開いて読むことができなかった資料が、修理(漉嵌法)によって、開いて読むことができるようになりました。

 

- デジタル画像の作成 -


資料一点一点のデジタル画像を作成することによって、実物にかわって閲覧できるようになります。本物を利用できることも大切ですが、デジタル画像を作成することでたくさんの人が資料を劣化させずに読めるようになり、資料の利用と保存のバランスをとることができるようになります。

 

また、インターネット上で公開しているデータベース「高木家文書デジタルライブラリー」にデジタル画像を登録することで、検索結果からそのまま本文画像にアクセスできるようになります。

 

高木家文書デジタルライブラリーはこちら ↓
https://libdb.nul.nagoya-u.ac.jp/infolib/meta_pub/G0000011Takagi

 

 

高木家文書の保存、高木家文書を活用した研究進展のために

 

今回のプロジェクトによって現在閲覧できない資料を活用できるように修復し、貴重な資料を閲覧できるようにし、後世に伝えていきます。

 

さらに資料のデジタル画像を作成し、インターネットで公開することでたくさんの方に利用してもらえるようになります。このようなデジタル画像化によって、今後さらに高木家文書を活用した研究進展が期待されます。

 

- 木曽三川流域の歴史解明に挑む -

 

この事業を続けていくことで、今後さらに江戸時代の木曽三川流域の自然・災害の状況のほかにも、復旧工事、村々の利害調整の仕組みといったこの地域に暮らした人々の水害との戦いの様子などの歴史解明への貢献が期待されます。また、歴史研究のみならず河川工学や環境学など、多くの自然科学分野を巻き込んだより広範で学際的な研究に役立てていきます。

 

- 西高木家文書に関連する古文書群との統合 -

 

附属図書館で所蔵する高木家文書は、西・東・北の三家ある高木家のうちの西高木家の文書だけですが、「高木家文書デジタルライブラリー」は、西高木家文書に加えて、各地に分散する東高木家・北高木家の文書群や関連する地域の文書群で所有者の許諾が得られたものもあわせて登録しています。高木三家や関連する文書を電子的に統合した形で提供しており、そのまま目録情報やデジタル画像を比較しながら、今では遠く離れた多数の文書を一度に閲覧・統合検索することができるようになっています。

 

西高木家文書や関連する古文書群を統合して旗本高木家文書を再構築し、関連文書も参照しながら分析しやすい研究環境を作り上げ、木曽三川流域の研究以外にも旗本領主制や家政の研究などにも役立てられます。地域の領主だった高木家とその地域社会との関係性や家臣団の存在形態など、まだまだ多くの課題があります。歴史の新たな解明に向けて、高木家文書の活用に期待が寄せられています。

 

膨大な高木家文書を紐解いていくことで、洪水常襲地帯として知られる木曽三川流域における災害と地域の対応のあり方を知ることができます。高木家が地域の利害をどのように調整し、共同性をどのように担保していったのかという経緯は今後解明していかなければならない課題です。また、このように災害が多い地域で人々がどのように生きてきたのか明らかにしていくことも重要です。高木家文書を軸に、流域文書を駆使して治水の歴史像を明らかにすることで、災害が多い日本に暮らす私たちにとって、災害と地域の関連を読み解くことができるでしょう。

 

高木家文書の整理作業の風景

お礼の品について

 

高木家文書について広く理解していただくため、名古屋大学附属図書館では特別展を開催したり、訪問された方々に広報用のグッズをお渡ししたりしています。

 

今回ご用意しましたクリアファイル・絵葉書・図録は、このような目的で作成し、通常は販売していないものです。クリアファイル・絵葉書は訪問された方々に、図録は展示会に来場された方に、それぞれ無料で差し上げているものです。

 

ご寄附いただいた皆様にも高木家文書をより身近に感じていただき、ご理解いただきたいと思い、お礼の気持ちも込めて選びました。ご寄附金額に応じてお好きなものを選べるようになっています。

 

なお、一部在庫に限りがありますので予めご了承ください。

 

【10,000円以上のご寄附の方へ】

 ■高木家文書関係のクリアファイル(非売品) お好きな1点

   図版は高木家文書から選んでいます。
   ① 木曽三川大絵図(幕末頃)
   ② 土岐郷風景
   ③ 木曽三川流域大絵図(宝暦治水前)
 ■高木家文書関係の絵葉書(非売品)  1点

   木曽三川流域大絵図(宝暦治水前)

 

 

【30,000円以上のご寄附の方へ】

 上述のクリアファイル1点と絵葉書1点に加えて

 ■高木家文書関係の展示会図録(非売品)  お好きな1点

   2015年から2017年までに開催された特別展の図録です。
   ・「旗本高木家の幕末」限定10部
   ・「旗本高木家の明治維新」限定100部
   ・「高木家の武」限定20部

 

 

メンバー紹介

 

名古屋大学基金 特定基金(附属図書館支援事業)を進めていくため、中央図書館と部局図書室のメンバーが集まったワーキンググループです。名古屋大学附属図書館のさまざまな事業を、広く市民の皆様にご支援いただくため、日々活動しています。

 

 森仁志名古屋大学附属図書館長と特定基金等WGのメンバー

                      木曽三川大絵図(複製)を囲んで

 

税制優遇に関しまして

 

名古屋大学へのご寄附については、税制上の優遇措置が受けられます。
※PDFを開けない方は、Adobeのヘルプページ(外部リンク)をご参照ください。

 

- 個人の皆様-

■所得税(所得控除)
 寄附金額が年間2,000円を超える分について、所得控除を受けることができます。

 

 寄附金額 - 2,000円 = 所得控除額

 (控除対象となる寄附金の上限額は、当該年分の総所得金額の40%です)

 

■住民税
 本学を「寄附金税額控除対象法人等」として指定している都道府県・市区町村にお住まいの寄附者の皆様は、所得控除に加えて、翌年の個人住民税が軽減されます。控除対象の地方自治体については、愛知県内の条例指定状況(外部リンク PDF)よりご確認ください。

 

 (寄附金額 - 2,000円) × 4~10% = 住民税控除額

 (控除対象となる寄附金の上限額は、当該年分の総所得金額の30%です)

 

 ※上記の計算式の4~10%について
 ・都道府県が指定した寄附金は4%
 ・市区町村が指定した寄附金は6%

  (都道府県と市区町村双方が指定した寄附金の場合は10%)

 

- 法人様-

 寄附金の全額を損金算入することができます。


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