「え、待って!点字の教科書はフィリピンで手に入るよ。フィリピン・プリンティング・ハウスの名前を聞いたことある?」

 

 「聞いたことないです。それは何ですか?」

 

 「教育省の下にある政府機関で、小学校から高校向けの教科書を点訳している団体で、そこで毎年教科書を点訳して、視覚障害者の在籍している学校に配布しているよ。送料以外は無料なはず。タクロバンまで情報が来てないんだね」

 

 私の話を聞いて、女の子の目が輝きます。フィリピンで点字教科書が手に入らないと思っていたようです。マニラの視覚障害者関連団体にも知り合いもいるので、いつの間にか、地方に住むフィリピン人よりも、私の方が視覚障害児教育情報に詳しくなっていたのでした。

 

 「えーっとね、フィリピン・プリンティング・ハウスに知り合いがいるから、連絡先を教えるよ。点字教科書を送って欲しいと書けば、必ず助けてくれるから。彼も全盲なの」

 

 女の子が急いで席に戻って、点字用の筆記用具を持ってきます。メモを取る準備万端です。日本の盲学校でさえ、学習や進路についての情報を提供すると言われた時、言われる前からメモをとる高校生が何割いるでしょうか?

 

 この子は、私や先生から何も言われなくても自発的にメモをとる準備をしています。しかも、自分からその団体に連絡して、点字教科書を求めているわけです。高校生なのに、自発的にここまでできる子は少ないでしょう。そこまで自分から行動してでも勉強したい、授業に付いていきたい、退学したくないという彼女の意思に、尊敬さえ感じました。

 

台風の被害を受けた後、建設された校舎の前で写真を撮る先生と子どもたち
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