プロジェクト中間報告
【お礼】
2017年8月25日(金)、「web教材アジアの楽器図鑑」に掲載するため、能楽の非公開収録と、能楽公演の収録を行いました。当初の目的を無事に達成できましたのも、皆様のお力添えあってこそ。ほんとうに有り難うございました。
◉8月25日(金)午前11時〜 非公開収録を実施しました。
午後の能楽公演収録に先立ち、「西王母」の仕舞と舞囃子を撮影しました。
この演目を選んだ理由は、同じ演目で、仕舞(シテの舞を地謡が伴奏)と舞囃子(地謡と楽器が伴奏)の違いを、分かりやすく示すためです。
囃子方の楽器伴奏をともなう舞囃子では、四拍子(能の伴奏楽器の総称)にも焦点をあてたいと思いました。
公演の監修をお願いした武田孝史先生(東京藝大音楽学部邦楽科教授、宝生流能楽師)ほか、出演者の皆様にもご協力いただけたため、目的にかなう映像が収録できました。
ご出演は次の皆様でした(敬称略)
シテ:武田孝史
地謡:小倉健太郎、水上優、髙橋憲正、金森良充(宝生流シテ方能楽師)
囃子:藤田貴寛(笛)、住駒充彦(小鼓)、佃良太郎(大鼓)、小寺真佐人(太鼓)
* 皆様には、午後の公演にも引き続きご出演いただきました。
◆仕舞「西王母」の撮影より
◆舞囃子「西王母」の撮影より
◉8月25日(金)13時〜 能楽公演で公開収録を行いました。
[企画の道のり]
昨年、「アジアの楽器図鑑」用に能楽の収録を考えていた頃、せっかくなら、何か趣向を凝らした公演を企画し、その映像をサイトに載せてはどうか…というアイディアが浮かびました。
タイミングよく、大学美術館が開催する展覧会(下記チラシ)に、能と題材が共通する作品7点を出品するとわかり、これらにちなむ能の上演を決めました。
その後、邦楽科教授の武田先生に公演監修をお願いし、音楽学部邦楽科との共同企画が始まりました。
公演の趣旨は、「物語」という共通の題材を切り口に、能楽と美術作品を双方向から鑑賞することですので、プログラムに、古田亮先生(大学美術館准教授)と武田先生による、美術作品と演目の解説やエピソード紹介も含めました。美術と邦楽の専門家を擁する本学の強みが、企画に生かせたと思います。
なお、能楽公演自体は、公益財団法人文化財保護・芸術研究助成財団、藝大フレンズ賛助金助成事業、東京藝術大学音楽学部同声会に助成金を仰ぎ、実施の運びとなりました事を、補記させていただきます。
[収録演目について]
今回は、下記のプログラムのとおり、「舞囃子」と「仕舞」各3演目と、連吟1演目を上演・収録しました。面や装束を着けずに演じる「舞囃子」と「仕舞」は、詞章がはっきり聞き取れ、演者の動きがわかりやすいため、web教材に最適です。
また、舞を伴わず謡のみの連吟を加えて、能楽の多様な上演実態を示すことにしました。
これら七演目は、小野小町のユーモラスなリベンジ物語から、大盗賊の幽霊の自慢話まで、実にヴァラエティに富んでいます。公演をご覧いただいたお客様にも、webサイトで映像を見る子ども達にも、能の多彩さが伝わるプログラムが組めたもの、と考えます。
対談では、古田亮先生から、出典作品の作者や創作の時代背景についてご紹介がありました。たとえば、上村松園をはじめ、かつては能楽に造詣の深い美術家が少なくなく、作品にも影響が見てとれる事。岡倉天心率いる明治20-30年代の東京美術学校(東京藝術大学美術学部の前身)では、欧州の美術界に対抗する日本独自の主題を求めて、日本の歴史や古典文学に取材する作品が奨励されたことなど。
武田先生からは、実演家ならではの興味深いお話が伺えました。上村松園の《草紙洗小町》は、左膝を立てて草紙を洗う小野小町が描かれますが、これは上村松園が学んだ金剛流のスタイルで、宝生流では両膝をつくとのこと。
今回収録した連吟と仕舞、舞囃子は、通常の演能と違って面も装束も着けません。
武田先生のお話どおり、能で一番大事な「謡」を通して、物語や人物像を体感していただく好機となったのではないでしょうか。
お客様からも、「能と美術作品を繋ぐ物語の広がりを感じられ、楽しかった」という感想を伺うことができました。「アジアの楽器図鑑で動画が見られるのを、楽しみにしています」とのお励ましもいただき、改めてサイト作成への意欲が湧いてきました。
なお、能楽公演には、川瀬隆士さん(宝生流シテ方)にも加わって頂きました。
なお、公演時の撮影映像は、小泉文夫記念資料室作成のweb教材「アジアの楽器図鑑」から発信する予定です。「美術から能楽を」「能楽から美術を」という双方向の芸術鑑賞体験をweb上でもお楽しみいただけますと幸いです。
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【リターンの発送状況】
本プロジェクトのリターンのうち、次の3種類はすでに発送を完了しました。
1)ご支援者あて御礼状(全員にメール送信)
2)本資料室HP「寄付について」欄にご芳名を掲載(希望された方のみ)
3)8月25日の能楽公演。
このほかのリターンは、これから順に発送いたします。内容によっては、個別に日程調整が必要ですので、改めてメールでご相談させていただきます。お待たせして申し訳ございませんが、ご理解のほどよろしくお願いいたします。
また、「小泉文夫の「楽器」イラストによるオリジナル一筆箋」は、当初、2万円以上のご支援に対するリターンでしたが、製作数との関係で、1万円以上を対象とさせていただく事に致しました。ご了承いただければ幸いです。
☆3,000円(プロジェクト応援コース)のリターン
①ご支援者あて御礼状(メール送信)(全員)・・・発送済み
②本資料室HP「寄付について」欄にご芳名を掲載(全員)・・・発送済み
③プロジェクト進捗情況をメールニュースで配信(全員)・・・完了まで随時
☆10,000円(プロジェクト応援コース)のリターン
①ご支援者あて御礼状(メール送信)(全員)・・・発送済み
②本資料室HP「寄付について」欄にご芳名を掲載(全員)・・・発送済み
③プロジェクト進捗情況をメールニュースで配信(全員)・・・完了まで随時
④小泉文夫の「楽器」イラストによるオリジナル一筆箋 ・・・9月中
☆10,000円(小泉資料室見学と秘蔵映像公開)のリターン
①ご支援者あて御礼状(メール送信)(全員)・・・発送済み
②本資料室HP「寄付について」欄にご芳名を掲載(全員)・・・発送済み
③プロジェクト進捗情況をメールニュースで配信(全員)・・・完了まで随時
④小泉文夫の「楽器」イラストによるオリジナル一筆箋 ・・・9月中
⑤小泉資料室見学と秘蔵映像公開 ------ 開催期間 2017〜2018年、
開催予定 平日12:00-13:00 数回
平日18:30-19:30 数回
土曜15:00-16:00 数回
☆10,000円(小泉文夫の民族音楽研究に関する講演会)のリターン
①ご支援者あて御礼状(メール送信)(全員)・・・発送済み
②本資料室HP「寄付について」欄にご芳名を掲載(全員)・・・発送済み
③プロジェクト進捗情況をメールニュースで配信(全員)・・・完了まで随時
④小泉文夫の「楽器」イラストによるオリジナル一筆箋 ・・・9月中
⑤講演会ご招待:2017年10月22日(日)午後、東京藝術大学音楽学部5-401
☆20,000円(小泉文夫記念資料室の見学と講演会と
小泉文夫のイラストによるオリジナルグッズ贈呈)のリターン
①ご支援者あて御礼状(メール送信)(全員)・・・発送済み
②本資料室HP「寄付について」欄にご芳名を掲載(全員)・・・発送済み
③プロジェクト進捗情況をメールニュースで配信(全員)・・・完了まで随時
④小泉文夫の「楽器」イラストによるオリジナル一筆箋 ・・・9月中
⑤講演会ご招待:2017年10月22日(日)午後、東京藝術大学音楽学部5-401
⑥小泉資料室見学と秘蔵映像公開:開催期間2017〜2018年、
開催予定 平日12:00-13:00 数回
平日18:30-19:30 数回
土曜15:00-16:00 数回
☆50,000円(web教材アジアの楽器図鑑の収録現場にご招待)のリターン
①ご支援者あて御礼状(メール送信)(全員)・・・発送済み
②本資料室HP「寄付について」欄にご芳名を掲載(全員)・・・発送済み
③プロジェクト進捗情況をメールニュースで配信(全員)・・・完了まで随時
④小泉文夫の「楽器」イラストによるオリジナル一筆箋・・・9月中
⑤講演会ご招待:2017年10月22日(日)午後、東京藝術大学音楽学部5-401
⑥小泉資料室見学と秘蔵映像公開:開催期間2017〜2018年、
開催予定 平日12:00-13:00 数回
平日18:30-19:30 数回
土曜15:00-16:00 数回
⑦web教材アジアの楽器図鑑の収録現場にご招待:発送済み
【収支報告】
ご支援のうち150,196円を、8月25日の能楽収録費用に充てさせて頂きました。
【今後の計画】
8月25日(金)の能楽収録が終わり、第一ゴールの半分まで到達しました。次は、津軽三味線です。収録と編集に向け、頑張りたいと思います。そして、ネクストゴールである「アジアの楽器図鑑」全体の動画再アップも、大量に控えています。これらの作業をたゆまず続けてまいりますので、どうぞ今後とも温かいご声援をお願い申し上げます。
東京藝術大学 音楽学部 小泉文夫記念資料室一同