「モロッコの刺繍トートバッグ」でもっと女性職人に活躍の機会を

このページをご覧いただきありがとうございます！

 

今回は、グルミマの刺繍職人たちがどんな暮らしをしているのか、少しご紹介したいと思います。

 

モロッコへいらしたことのある方、モロッコへ行ってみたいと思っている方はよくご存知かもしれませんが、モロッコは地域によって文化が大きく異なります。前回の投稿でもお話したように、アラブ文化、ベルベル文化の違いがある他、北部にはスペイン、沿岸の一部地域にはポルトガル、国全体でかつてモロッコを植民地としていたフランスの影響が残っています。

 

グルミマを含め、アトラス山脈から砂漠に至る地域の魅力は、このように多様な文化の影響を受け続けてきたモロッコにありながら、自然環境と密着した素朴な生活が現在も変わらず営まれているところだと思います。

 

グルミマの刺繍職人たちが住むのは、町として比較的新しく整備されたグルミマの中心部から離れたクサールと呼ばれる昔ながらの村落で、ここの住民はお互いに顔と名前がわかるほど小さなコミュニティです。その昔、部外者の侵入を防ぐために作られた独特な壁と迷路のような家並みがクサールの特徴です。周辺には、デーツやオリーブの木々が連なり、その間を埋めるように麦畑が一面に広がっています。

 

このような環境で暮らす刺繍職人たちの生活はとてもシンプル。

彼女たちの朝は早く、朝のお祈り(イスラム教で励行される一日五回のお祈りのうち、一日で最初のお祈り。日の出の一時間ほど前で、今だと午前4時前くらい)のために起床し、日が昇って暑くなる前に畑仕事をします。

日中は、家事の傍らで刺繍の仕事をし、曜日によっては仲間たちと活動場所に集合して一緒に刺繍の仕事を進めます。

 

 

日が傾いてくると、お茶の時間。一仕事終えたあとの、友人や家族と集う楽しいひと時です。お茶の時間にとる軽食が夕食代わりとなることもあれば、日が暮れてから夕食をとることもあります。一日の一番最後のお祈り(今だと21時すぎくらい)が終われば、就寝。

 

 

モロッコは、国連が発表している人間開発指数だと全189カ国の調査国の中で123位(中米やインドと同じくらい)。数字だけで判断すると、相対的に途上国として扱われます。さらに国内でも、大きく発展している沿岸都市とそれ以外の地域の格差が大きく、アトラス山脈より砂漠側はとりわけ低開発地域とされています。

実際に、グルミマの女性たちは小学校教育も終えられていない人が少なくありませんし、主だった産業がないので仕事をして稼いで今と違う暮らしをするという選択肢は限られています(これは、男女問わず、そしてグルミマだけでなくモロッコ全体でいえること)。

 

しかし、見方を変えると、グルミマは最先端のエコビレッジ。地域に受け継がれている伝統を守り、近所の人の顔と名前がわかる環境で、自然や動物に支えられて生活し、地産地消のグルメを楽しむ・・・とても魅力的な場所なのです。

グルミマは、サハラ砂漠やトドラ渓谷など、日本からの旅行者の間でも人気の観光スポットに近い場所。バスや乗り合いタクシーを使えば交通の便も良いので、モロッコの南部に旅行する予定の方は、滞在を検討されてみてはいかがでしょうか。

 

このプロジェクトのInstagramアカウントでは、グルミマの風景や刺繍の写真を載せていますので、ぜひご覧いただけると嬉しいです。

https://www.instagram.com/broaderie/