
支援総額
目標金額 2,500,000円
- 支援者
- 250人
- 募集終了日
- 2019年10月30日
児玉竜一先生より【歌舞伎ブロマイド】の解説を頂きました
お早うございます。松竹大谷図書館の武藤祥子です。
プロジェクトページでも触れておりますが、今回ご支援でデジタル化を進めようとしている【歌舞伎ブロマイド】は、当時の歌舞伎の舞台や名優たちの姿が記録されている大変貴重な資料であるにも関わらず、整理や研究が未だ進んでおらず、その価値が充分に活かされているとは言えません。また、古い写真に写っている俳優の顔を判別し考証ができる人材も、時代と共に少なくなってきています。その点においても、【歌舞伎ブロマイド】の整理は今後一層難しくなっていくと思われます。
今回、デジタル化を行うにあたって、早稲田大学教授で歌舞伎研究家の児玉竜一先生にご来館頂きました。そして、当館の【歌舞伎ブロマイド】をご覧いただき、その資料的価値とデジタル化を進める意義につきまして、ご解説をいただきましたので、ぜひご覧ください!
当館で【歌舞伎ブロマイド】をご覧になる児玉竜一先生(奥)
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上演とともに消え去るのが、演劇というジャンルの宿命である。いかに型があり、演技が伝承されようとも、古典演劇の上演もこの宿命からは逃れられない。
そこで、いつの世も、人は上演の記憶をとどめようとする。文字で書き残す。絵に描く。そして、近代の複製技術ができると、写真、録音、録画と、舞台の記憶をとどめるすべは増えてゆく。雑誌、映画、テレビ、DVDと、それらの技術を複合させたメディアも数多く現れてゆく。
歌舞伎の上演の記憶をとどめる絵画、たとえば役者絵に関する言及は、ここ四半世紀ほどで飛躍的に増えた。インターネットの普及によって、膨大な数の絵が、いながらにして見られるようになったメリットも計り知れないほど大きい。この種の、膨大な数が残っている資料について詳しく言及するには、膨大に見ていないと土俵に立てないのである。
ところが、同じように上演の記憶をとどめるよすがである写真については、言及されることが必ずしも多くない。写真について言及する機会は増えているのに、演劇写真はその輪の中に入れてもらえない。なぜか? 演劇写真、とりわけブロマイドや絵はがきは、撮影者を特定できないことの方が多い。写真芸術への言及は、撮影者を作者とみなした作家主義的なものが大勢を占める。誰が撮ったのかわからない写真を、どのように論ずればいいか。いやそもそも、どのように興味を抱けばよいか、わからない向きが多いのだと思う。
しかし、歌舞伎に興味のある立場からすれば、昔の写真ほど興味つきないものはない。実際の舞台を見たこともない役者の顔、形、役者ぶり。文字で書き残された記録と付き合わせれば、なるほどと膝を打つことも少なくない。見たことのない演目も、写真のおかげでイメージがわくといった効用もある。明治以降、写真を印刷する技術が向上するにつれて、写真は雑誌との縁を深めてゆく。演劇写真もご多分にもれず、演劇雑誌を中心とした口絵の花形となって、さらに広い範囲に流布してゆく。写真の種類も、俳優を撮したもの、劇場を撮したもの、劇界の出来事を撮したものなど、多岐にわたる。俳優を撮すにしても、写真館や舞台裏でポーズを撮ったもの、舞台での上演中を撮影したもの(それが可能になるためには、カメラの機能向上が関わる)、
楽屋などの日常の姿、あるいは自宅での姿、後援会との行事など、様々な種類が生まれてゆく。
なかで最も数が多いのは、撮影用にポーズをとった写真、いわゆるブロマイドである。ひいき役者のブロマイドは、持ち主にとっては、それを見ていた自分の人生のかけがえのない時間の思い出であろう。演劇評論家の戸板康二が脚本を書いた、「ばばぬき」というテレビドラマがあった。ある老婆が肌身離さず大事に持っているものを怪しんで、それを狙う三人娘とその家族の思惑が交錯する。ところが没後に開けてみたところ、遺言状や証書のたぐいと思いのほか、それは十五代目市村羽左衛門のブロマイドだったという話である。昭和40年3月12日放送なので、十五代目羽左衛門没後二十年。それでも、多くの反響があって、戸板康二のもとに「私も同じようにブロマイドを持っています」という、往年のファンからの手紙が何通も来たという。
演劇写真の世界の底知れなさは、見れども見れども、「こんな写真見たことない」という案件が出現するところにある。松竹大谷図書館が所蔵する明治期の写真には、鬘を撮影したものが多くある。歌舞伎の鬘の記録は、書籍にもまとめられた松田青風のスケッチが名高いが、写真によって記録しようという動きが明治期から始まっていたことはあまり知られていない。菊吉全盛期の市村座の楽屋の写真もある。これは絵はがきとして売り出されたものなのだが、ほかの博物館等であまり目にしたことがない。江戸三座の名残を引き、劇場内のしきたりでは最も古風を留めていたとされる大正初期の市村座。その楽屋の中や、楽屋への階段がどのようなデザインであったか、一目瞭然とはこのことで、ほとんど驚愕に値する。いかなる雑誌記事、文字資料に
も、こんな光景は書き記されていなかった。
鬘の写真
演劇写真について、より深く知ろうとすると、まず立ちはだかるのは、被写体の特定である。これは誰を撮したものなのか? どこの劇場を撮したものなのか? わずかな経験の上で申し上げると、これはもう、慣れ、しかない。見慣れることで覚えてゆくしかない。従って、過ぎ去った時代の写真を数多く見る機会が増えれば、それらを見慣れる人も増える。今回のような歌舞伎写真デジタル化計画によって、いながらにして昔の写真を見る機会が増えて、そのことが演劇写真に興味を抱く方を少しでも増やすことにつながれば、この上の喜びはない。
2019年9月26日
児玉竜一(早稲田大学教授)
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リターン
3,000円
活動報告+サンクスメール+HPにお名前掲載
■サンクスメール
■4月末に報告メール
■松竹大谷図書館HPに名前を掲載
※ご了承いただいた方のみ掲載いたします
- 申込数
- 69
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2020年4月
5,000円

松竹大谷図書館オリジナル文庫本カバー(2種類1組セット)
3,000円のリターンに加え、
■松竹大谷図書館オリジナル文庫本カバー(2種類1組セット)
当プロジェクト限定 歌舞伎台本『曽我綉侠御所染』と、映画台本『男はつらいよ』第一作の表紙デザイン!
※デザインは全て一緒です
- 申込数
- 59
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3,000円
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