支援総額
目標金額 470,000円
- 支援者
- 35人
- 募集終了日
- 2020年8月5日
土壌に腐植が増えることの、農業としての意義(その②)
今回は、土壌に腐植が増えていくと、農業としてどのような良いことがあるかを考えてみる2回目としたいと思います。
土壌に腐植が増えていくと、土は黒くなります。この土を黒くする正体の一つが、腐植酸とフルボ酸です。腐植酸とフルボ酸は、土壌中の粘土と砂を糊のようにくっつけて団粒構造にする、と以前書きました。今回は、さらに重要な効果についてお話ししたいと思います。
化学肥料や未熟な堆肥をたくさん土に入れていくと、最初の3年から4年は、土に肥料分が多くなりますので収穫量は増加します。ところが、だんだんと収穫量が思うように上がらなくなります。これは、粘土が部分的に壊れてきていることが原因の一つです。化学肥料や未熟な堆肥が土の中で微生物に分解されていくと、窒素が硝酸態窒素の形になります。この硝酸態窒素が粘土に触れると、粘土が部分的に壊れます。粘土はケイ素とアルミニウムが数珠つなぎになった結晶です。それが端っこから壊れていきます。そうすると、土壌の水の中にふわっと遊離したケイ素とアルミニウムが増えます。特に、アルミニウムが増えることが問題です。
土の水の中にアルミニウムが増えると、牧草や作物の根がグッと短くなります。根が張らなくなるのです。ところが、雑草はアルミニウムがあっても、あまり影響を受けません。牧草や作物の根がやられたところに、雑草の根が張って行って、結果的に雑草が多くなる。さらに、根が張らないものですから、肥料の利きも悪くなっていく、そんな悪循環にはまってしまいます。
さて、ふわっと溶けだしたアルミニウムはもうどうしようもないのでしょうか? 実は、腐植酸とフルボ酸が、ここで大事な働きをします。ふわっと溶けだしたアルミニウムを、腐植酸とフルボ酸は包み込んで、害が少ない状態にしてくれます。
2006年に約30カ所の草地を調査した結果、腐植酸やフルボ酸が多いとふわっと溶けだしたアルミニウムが少なくなっていることがわかりました。それだけではなく、アルミニウムが多い培地に腐植酸を添加すると、根の伸びが格段に良くなることも実験的に確認できました。
ふわっと溶けだしてしまったアルミニウムを包み込むためにも、腐植酸やフルボ酸は大事な働きをしています。このことが、腐植・土壌炭素を増やしていった方が農業がやりやすくなる理由の一つなのです。
リターン
10,000円
土と水を保全する研究成果2020
このプロジェクトで明らかになった研究成果・データを,支援者の皆様にご提供いたします。データの活用は特に制限を設けないこととします。メール添付をご希望の場合は、メールをご選択ください。郵送をご希望の方は、郵送をご選択ください。郵送でお送りします。
- 支援者
- 34人
- 在庫数
- 50
- 発送完了予定月
- 2021年3月
10,000円
ニシベツ伝記(小説)
今までの研究成果を小説化してみました。
架空の根釧原野に存在する、付属短期大学を持つニシベツ実業高校を舞台として、地域の課題を生徒たちが解決していく、と言ったストーリーです。
- 支援者
- 1人
- 在庫数
- 99
- 発送完了予定月
- 2020年10月