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貧困・格差と闘う思想家ヤニス・バルファキスの名作を翻訳出版したい!

白崎一裕(那須里山舎)

白崎一裕(那須里山舎)

貧困・格差と闘う思想家ヤニス・バルファキスの名作を翻訳出版したい!

支援総額

1,706,000

目標金額 1,500,000円

支援者
172人
募集終了日
2021年2月22日
プロジェクトは成立しました!
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2021年01月28日 17:51

バルファキス&チョムスキー ニューヨーク対談③

ニューヨーク対談 財政民主化への道 ③

ヤニス・バルファキス×ノーム・チョムスキー

2016416日 ニューヨーク公共図書館(NYPL

https://www.nypl.org/audiovideo/yanis-varoufakis-noam-chomsky

 

バルファキスさんとチョムスキーさんの対談第三回をお届けします。今回は、前回の部分からの間を略して、重要と思われるところを掲載します。ギリシャ経済危機のときに、トロイカ(EUECBIMF)は、ギリシャに「緊縮財政」を強いたわけですが、その裏には

「ドイツの銀行を救済する」ということが隠されていた!というお話です。

 

(前回よりの続き・途中は略してあります)

 

チョムスキー でも、IMFは緊縮策を強く推進していたよね。これはどういうからくりなんだろうか。

 

バルファキス 良い質問だね。これについては、今日まで続くある現象に注目すれば答えが見えてくる。僕の古きよき友人のポール・トムセンは、ギリシャ経済を崩壊させたご褒美にIMFの欧州局長に任命されたわけだけど、彼の後継者であるルーマニアの女性デリア・ヴェルクレスクと彼との会話をウィキリークスがリークした。実に面白い会話だ。ぜひ読んでみてほしい。ほんの数週間前に公開されたんだ。何がすばらしいって、二人は真実を述べているんだよ。きみが言っていたとおりのことをね。それは僕がトムセンと話したことでもあった。IMF欧州局長と初めて話したのはパリのホテルでのことだった。僕はギリシャ債務の減免を交渉すると約束して議会に当選した。それは債権者であるトロイカの意志に反する交渉となるはずだった。それでも、それは「抗争」ではなくあくまで「交渉」だ。もちろん、必要あらば抗争する構えもとっていたけれど、僕はあくまで両者が納得できるような形での合意を望んでいた。当時、ドイツの連邦政府はある政治的課題を抱えていた。「ギリシャにあげたお金は実はギリシャへの援助ではなく、ドイツ銀行への援助であった。そのため、連邦議会(ブンデスターグ)は借金の返済など本当は期待していない。ギリシャに債務減免を許すのはこのためである」―これを率直に認めるという選択肢はドイツ政府になかったからだ。もちろん、本来ならばメルケル首相はブンデスターグに素直にこう述べるべきだったのだけど、いうまでもなくこんなことを言ってなおドイツの首相でい続けることはできない。僕はドイツが直面していたこの政治的課題をよくわかっていた。ギリシャにお金をあげたことになっていたのに、実はそれはドイツやスロバキア等々の納税者のお金を使って12ヶ月以内に2度目の銀行救済をしただけ―ドイツの銀行も金融家のご多分に洩れずヨーロッパの他国銀行へリスクをしっかり分散させていたからね。これを認めることなどドイツにはできない。だからこそ、僕はむしろギリシャの債務から毒を抜き、なんとか管理可能な形にしつつ、同時にドイツ連邦政府が「Ja(ヤー)」と言ってくれるような政治的合意を取り付けたいと思っていた。

   この文脈でポール・トムセンとの最初の会議に臨んだ僕は、金融工学を駆使してウォール街がやるような債務スワップを提案した。左派の財務相がこんな提案をするのは意外に思えるかもしれない。でも、そのとき僕は抗争を避けてとにかく目の前の問題を解決する方を優先していた。トムセンの返事を予想できるかな? 彼はこう言った。「きみの案はおとなしすぎる。もっと思い切った金額の債務をただちに帳消しにすべきだよ」。僕はこう答えた。「それは願ってもないことだけど、ポール、きみはウォルフガング・ショイブレをどう説得するつもりなんだ?」「たしかに」と彼は言った。「それは一筋縄ではいかないだろうね。でも、きっと何とかなるはずさ」。つまりこの段階での二者間協議では、IMFのトップでさえ問題を把握しており、自分たちが押し付けた過去の合意のひどさを自覚しており、苦しむ国への助け舟という建前で諸銀行の救済を行った自分たちの欺瞞を認めており、そうした問題を解決する意志をもっているものだという印象を与えてきた。ところが、いざ合意を結ぶ段階になると、債権者たちは一致団結して少しも譲歩しなかった。「ギリシャ政府は無理な要求をするばかりで具体的な解決策は何一つ提示していないぞ」などという噂を広げたのだ。こちらがウォール街ばりの金融工学に基づいた解決策を提示していたにも関わらずだ! 代案を出さずに空虚な言葉ばかり並べていたのはむしろあちら様だったというのに。

   僕にとって最も重要なやりとりは、IMFのトップ中のトップと交わしたある会話だ。誰とは言わないが、ポール・トムセンよりも上の人物とだけ言っておこう(会場笑)。その日、僕らは10時間にも及ぶ交渉を終えたばかりだった。付言すると、この手の交渉は絶望的なまでに無味乾燥で、政策秘書たちや政策顧問たちを交え、年金委員会や付加価値税委員会などともやりとりをし、実に細かい駆け引きを重ねていく。その末に、僕はようやくこの人のところへたどり着き、一対一の内密な議論をした。そのときこの人は僕にこう言った。「ヤニス、あなたは正しい」―これを聞いたとき僕はがっくりしたよ。心のすみっこで僕は密かにある期待を抱いていたからだ。ノーム・チョムスキーほどの人物ならばこんなことは思わないのだろうけど、僕はまだこのレベルで権力と闘うことに慣れていなかったから、心のどこか深いところでこう願っていた―「大人たちは自分たちのやっていることをよくわかっている。僕がギャーギャーと子どもみたいに騒ぐかたわらで、IMFのトップをはじめ権力者たちはより深い見識に基づいて判断をしているのだ。僕からの批判や抗議は実は勘違いに基づいているのかもしれない。僕が知らない何かをこの人たちは知っているのかもしれない」―僕はそう思いたかった。そこへ権力者が振り返って「きみは正しい」って言うんだから、たまったもんじゃないよね。そのときこの人はこう続けた。「でもね、ヤニス、わかってほしい。私たちはこのプログラムにあまりに多くの政治的資本(political capital)を投資した。だからもう後戻りはできない。あなたの信頼性も」―僕の信頼性のことだ―「このプログラムを受け入れるかどうかにかかっている」。

   これがきみの質問への答えだ。

(次回に続く)

 

バルファキス&チョムスキー ニューヨーク対談②バルファキス&チョムスキー ニューヨーク対談 ④
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那須里山舎と『世界牛魔人ーグローバルミノタウロス』翻訳出版プロジェクトを応援してくださる方に、㈱那須里山舎より心を込めて感謝のお手紙をお送りいたします。

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