全日本ロードレース選手権 菅生Rd.を終えて
皆さま、こんにちは。
宇井陽一です。
5月25日(土)・26日(日)に開催された全日本ロードレース選手権 菅生Rd.参戦を終えました。
皆さまのあたたかいご支援により、またレースに復帰できたこと、
心より御礼申し上げます。
クラウドファンディングのプロジェクトを終え、
菅生に向けて全力で準備をして参りましたが、
5月24日(金)の練習走行が、マシンの初走行になりました。
練習走行を終え、サスペンションに大きな問題がみつかったため、
次の日の予選に向けて、その日の夜修正をしました。
5月25日(土)、予選でピットを出て行き、感触もわるくなく、
(ようやくバイクがノーマルの状態になった)と感じていましたが、
計測がはじまった1周目の3コーナーにて転倒をしてしまいました。
フィーリングが良くなっていたので、自分のその時のパッケージが、
即座に攻められない事を忘れていました….
このタイミングで転倒したのは、僕のミスです。
どんな状況であれ、計測ができる段階までは調整をしながら走るべきです。
生涯、やったことのないミスをしてしまいました。焦りだったのかもしれません。
幸いなことに、バイクには大きなダメージはなかったのですが、
足の靭帯を痛め、肋骨を骨折してしまいました。
「とにかくレースに出るために、最善を尽くそう」と
せめて足の状態だけでもよくなるよう、処置をしました。
5月26日(日)決勝の朝、目覚めて足の具合は多少よくなっていました。
予選で計測が出来なかったため、レースに出るためには、
ウォームアップで予選の最低基準タイムを通過することが条件でした。
ウォームアップでバイクは問題がなく、
予選タイムも通過できたのですが、肋骨をさらに痛めてしまいました。
ウォームアップが終わり、ダンロップ様からもチームスタッフからも
「いつでも戻ってきていいから、絶対に無理しないでください。
無理そうなら、レースに出ない選択もありますから。」
と言われていました。
ただ、これだけは守ってきたことがあります。
それは走り出したら重大なトラブルがバイクにない限り、走りきるということです。
たとえそれが後に大変になっても、走り始めたら途中で諦めないということです。
走ってやっぱり駄目だった~ということは僕には許されません。
周回遅れになっても走り始めたなら走りきる。それだけは守れました。
過去に何度か遭遇した同じようなシチュエーションの中でも最上位レベルの決断でしたが、
一度自分のレース人生が終わりかけた状況から、救って頂いた皆さまとの約束は果たすべきと、
心に決めてスタートしました。
切り返すたびに左胸脇で何かが動く違和感と、呼吸ができない時が続きました。
背中に背負っていた水もほとんど飲む余裕もなく、ストレートは息を整えて
コーナに入る時の痛みと戦っていました。その結果、一周減りましたが、
完走することができました。
事件が起こってからの約3か月間、トラックの盗難の対応、
アジア選手権、チャイナ選手権、KTM車両のための海外とのやりとりなど
肉体的にはかなり厳しい日々ではありましたが、
皆さまから大きな力をいただき、
今までの僕の人生を大きく変える3か月間でもありました。
僕のレース人生の始まりは、小学校5年生の時に、
担任の先生のバイクに乗せてもらった時に「これだ!」と感じたことがきっかけです。
学校の文集や、家の冷蔵庫に「レーサーになる!」と張り紙をしていました。
それからずっとバイクに乗ることだけを考え、
青春時代から今まで、僕の傍らにはずっとバイクがいてくれました。
自分が「やりたい!」と自分のために始めたレースでしたが、
今回、皆さまからのあたたかいコメントを読ませていただき、
「こんなにも多くの方々が僕が走ることを認めてくれるんだ。。。僕は走っていいんだ。。。」と、心の底から涙が出てきました。
こんな風に自分のやっていることを認めていただいていることを実感したのは
世界グランプリを含めても、初めてでした。
レースの結果は悔しいものになりましたが、
またレースができる喜びを感じさせていただいています。
本当にありがとうございます。
これからも、皆さまに少しでもなにかをお返しできるよう、
レースに精いっぱい取り組んで参ります。
尚、皆さまにいただいたご支援は全額レース機材に使用させていただきました。
改めて御礼申し上げます。
これをもって、リターンの御礼メールとさせていただきますが、
次戦以降も、メッセージでレースの内容などご報告させていただきますので、
ご拝読いただけたら幸いです。
また、今週末6月1日(土)・2日(日)アジア選手権タイRd.が開催されます。
僕がエンジニア兼コーチとして参戦しているYamaha Thailand Racing Teamと、
僕自身のチームTeam One For Allも参戦していますので、
アジア特有の熱いレースを、ぜひご覧になっていただけたらと思います。
レースの様子は
Facebookページ:Asia Road Racing Championship
Youtubeチャンネル:AsiaRoadRacing
でご覧いただけます。
5月31日(金)より走行が始まりますので、
気持ちを切り替えて、しっかりライダーを走らせてあげられるよう力を注ぎます。
ライダーとしての参戦だけではなく、
こういった形でも僕の持てるものを渡していきたいと思いますので、
これからも、様々な活動を見守っていただけたら幸いです。
41プランニング
宇井陽一