CRAFT MILK をつくりたい!街の牛乳屋が乳業メーカーに挑戦

支援総額

1,759,000

目標金額 1,200,000円

支援者
150人
募集終了日
2024年4月30日

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2024年04月16日 19:09

応援コメントVol.6 「ありがとう牧場」(北海道・足寄)吉川さん

『CRAFT MILK をつくりたい!街の牛乳屋が乳業メーカーに挑戦』に応援をいただきありがとうございます。

 

ここでは、ページ本文ではご紹介できなかった、プロジェクトにご賛同いただいた皆様からの応援メッセージを紹介させていただきます。

 

本日ご紹介するのは、北海道東部の山間にある足寄町にある「ありがとう牧場」の吉川さんからのメッセージです。

 

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私がCRAFT MILKの取り組みをやりたいと思ったきっかけとなった一人がありがとう牧場の吉川さんです。

 

牛乳嫌いの私が牛乳を飲めるきっかけになった放牧ミルク。

 

しかし、初期はその価値をよくわかっていませんでした。

 

放牧ミルクの美味しさは理解していましたが、理想を追求して儲からない酪農だと思っていました(私がただの無知だっただけですが)。

 

吉川さんはそんな私に放牧がいかに経営的に効率的か教えてくれました。

 

そして、毎日のようにずっと働く酪農に対して、しっかり休みながら牛だけでなく人間も健康でいられるニュージーランド式の近代的な放牧酪農の魅力をたっぷり語ってくれました。

 

通常の酪農では年中ミルクを搾り続けますが、子牛を産む時期を春先に統一して(ミルクは子牛が生まれることで出すことができます)、春から秋にかけてミルクを搾り、冬は搾乳をお休みする。

 

そして、来年もまた春から搾る。…というようにリズムを作り、冬にしっかり休めるような仕組みにしていました。

 

人間も幸せであるからこそ持続可能な酪農が維持できるんだなと実感しました。

放牧、酪農の奥深さを実感し、「私も何かやってみたい!」そんな思いが生まれました。

 

今回、そんな私の原点となる放牧、酪農の魅力を教えてくれた吉川さんに応援メッセージをいただきました。

 

吉川さんから改めて放牧の魅力をたっぷり語ってもらいました。ものすごい長いですが(失礼)、ぜひご覧ください。

 

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吉川友二 「ありがとう牧場」(北海道・足寄)牧場主

 

image.png

 

 

武蔵野デーリーさんのCraft Milk’s Projectを応援します

消費者と農業者が協力して創り出す

土壌を再生する農業

 

 北海道足寄町(あしょろちょう)で酪農をしている「ありがとう牧場」の𠮷川友二です。

 木村義之さん充慶さんにお会いしたのは、木村さん親子が「武蔵野デーリー(2022年)」を立ち上げられる時でした。牛乳への情熱が親から子へ引き継がれたのでしょうか。情熱をデーモンと呼ぶ人もいますが、情熱に取りつかれた人にお会いすると、理屈ではなしに応援したくなります。

 「武蔵野デーリー」を理屈なしに応援するマル 以上、終わり。でいいのですが、応援したくなるわけがもう一つあります。木村さん親子は消費者と農業者を結びつけてくれる大切な役割を果たしていることです。デーモンに突き動かされて、木村さん親子の牛乳への旅は今「Craft Milk’s Project」にたどり着きました。日本全国の酪農家をご自分の足で訪ね、その牧場を見て感じて、話を聞いて、牛乳を飲む。全国の酪農家が何を思い、何を考えて酪農をやっているのかをご存知です。その経験の積み重ねがこれからも木村さん親子をどこに導いていくのか楽しみです。私の酪農に対する考え方と重なる部分もあるだろうし、違うところもあるでしょう。この機会に私の酪農に対する考えも書かせていただきます。

 私はデーモンに導かれて2000年に足寄町にたどり着きました。私は幼少期に自然の中で至福の時を過ごしていました。その遊び場をどんどん破壊していってしまう社会。私のデーモンは日本の社会への「怒りと悲しみ」です。それを大切に生きてきました。

 自分で酪農を始めてみると、日本の酪農は環境に自分が思っていた以上に大きな負荷をかけている産業でした。ふん尿を河川に意図的に廃棄している酪農家を見て、もう酪農をやめてしまおうとしたこともあります。しかし、私が環境を破壊している酪農産業に導かれた意味は、未来の子供たちのために日本の酪農を変えること。環境を守るために放牧の普及をすることであると今は考えています。

 日本の消費者は、農業・畜産業・酪農の現状をほとんど知りません。スーパーでパックに入った牛乳・トレイに入っているお肉しか見たことがないでしょう。私も酪農を始める前はそうでした。スーパーに並ぶまでに、どれだけ多くの人の手がかかっていることでしょう。日本は農業を消費者に身近なものにする努力が必要です。放牧をしている、していないなどの、スーパーでの食品表示をまずは義務付けることです。食品表示の義務がほぼない日本に比べて、お隣の韓国、中国は事細かな表示義務があるそうです。ゆくゆくはスイスのように価格が高くても自国の農産物を買う人が多くなるような、農業者と消費者の信頼関係が築けるようにしたいものです。

 「こんな酪農産業ならいらない」と消費者に見限られる前に、本来は酪農産業が率先をして、環境に調和をした産業に変わらなければなりません。しかし、残念ながら今の酪農産業は穀物の輸入・販売・ペーパーマージン・企業、団体の既得権益で成り立っています。国は私たちの税金を大量に補助金として使って、いまだに酪農の工業化・大規模化を進めています。今の酪農を変えるためには、どうしても消費者・納税者の協力が必要です。

 今の酪農とは、大規模工業型・大量浪費型の酪農です。工業型の酪農とは、牛に大穀物を大量に与えて一頭当たりの乳量を最大にする、牛を畜舎に閉じ込めて運動エネルギーを最小にすることによって一頭当たりの乳量を最大にする(ニワトリのケージ飼いと同じ理屈です)、畜舎に閉じ込めることによって狭い面積で多頭数の牛を飼えるようにする、ことです。

 大量浪費型の酪農とは、穀物の浪費、牛の命の浪費(穀物を過食させられ、一年中コンクリートの上で生活させられるストレスで短命になる)、ふん尿の浪費(本来ふん尿は土を豊かにする大切な資源であったのが、畑で循環できる量をオーバーしてしまい廃棄物となって環境を汚染している)、という資源を大量に浪費する酪農です。

 北海道の酪農というと、牛たちがのびのびと放牧されている風景をイメージすると思いますが、実際は放牧をしている酪農家は1割程度です。企業は乳製品の宣伝販売のために消費者の好むイメージを使うので、このような誤解を生みだしています。乳製品の販売を促進するために意図的に行われている食品偽装です。

 かつて(1950年以前)の北海道の酪農家はみな放牧をしていました。しかし、放牧などは効率が悪い、これからの日本の酪農が生き残るためには、工業型の酪農をしなければならない。そのように酪農家は普及員・農協に指導をされてきました。2002年頃にも普及員が足寄町に来て、工業化しなければ生き残れないと講演をして帰っていきました。

 酪農の大規模工業化は、余剰穀物を日本に売りつけるためのアメリカの戦略でした。アメリカ穀物協会は、日本の普及員をアメリカに招待して、これからの酪農は工業型でなければ生き残れないと、まずは普及員を洗脳したのでした。日本人が直接穀物を食べるよりも日本人に家畜の飼料として使ってもらった方が、たくさんの穀物を輸出できます。鶏肉で倍、豚肉で3倍、牛肉で9倍の穀物をやらなければ、同じカロリーのお肉が生産できません。アメリカにとってみれば穀物を飼料転換効率(飼料をお肉に転換をする効率)の一番悪い牛に食べてもらうことが、一番効率よく穀物を輸出できるわけです。地球上の今の飢餓の問題を考えると、お金があるからと言って日本が穀物を買って家畜に与えることは倫理的にも問題があります。

 この牛の飼料転換効率が悪いということが、実は自然の妙なのです。飼料のエネルギーをすべて自分が肉として利用をして牧草地の地力を奪うのではなく、ふん尿として9割は土に還して土壌を肥やし、牧草地が永続する生態系のバランスをつくりだして、自分で自分の食料を生み出しているのです。牛の家畜としての価値は、人間の食べられない草を、人間の食べられる乳・肉に変えることです。草しか育たない気象条件の厳しい地域で人間が豊かに暮らしてこられたのは、反芻動物(牛、羊、山羊、ヤク、ラクダ、ラマ、)のおかげです。

 余談になりますが、私は小学生の時から、「農業ほど効率の悪い産業はない。日本には農業なんていらない。日本は工業製品を輸出して食料は輸入すればいいのだ」、と聞かされて育ちました(私は1964年生まれ、高度経済成長期(1956年~73年)の真っただ中に生まれて育ちました)。農業は効率が悪いといまだに思い込んでいる、私と同世代の方は多いと思います。

 これも余談になりますが、トヨタ自動車の創業期の苦難を映像化した作品を見ました。豊田喜一郎氏が自動車部を作ったのは1933年。金持ちのバカ息子と喜一郎氏は呼ばれていました。「日本で車を作るのは無理だ、車は外国から輸入をすればいいのだ」という考えが当時の常識であったからです。経営が苦しい時に多くの市中銀行・日銀から、お金の貸し出しを断られました(その時にいじめられた銀行とはその後も取引をしなかったそうです)。しかし、この一人のバカ息子がいなければ、今のトヨタ自動車はないし、自動車産業がなければ、日本の国は今のようには経済的に豊かになっていなかったでしょう。

 時代は変わって、今は経済の成長よりも、何にもまして地球の存続が一番の課題です。これからの地球の未来に貢献をする産業は自動車産業やIT産業ではなく農業です。その理由を書いてみます。

 農業は無から富を生み出す唯一の産業です。無とはいっても、お日様・土壌・水が必要ですが。1粒の種もみを春に蒔けば、600~1000粒のお米が秋には実るのです。目に見えないほどの小さいレタスの種(0.0005g~0.0012g)を蒔くと、大きなレタス(乾物重量で15g)に生長します。約半年で資源が1000倍に増える、60日で資源が12,500~30,000倍に増える。こんなに効率の良い産業は他にはないでしょう。それなのに「農業なんて効率が悪い」と言われてきたのは、農業は成長しないからです。農業は循環です。

 私たちは成長しないもの・ことを見ると、感情的にも身体感覚的にも嫌悪感を覚えるほどです。成長は良いことであるという価値観を持つ社会に生まれて育ち、この価値観が身にしみ込んでしまっています。すべてのことを無意識のうちに、成長の価値観で判断をしています。そしてそういう人が集まって社会をつくっているわけです。

 成長を求めて酪農は大規模工業型になってしまいました。成長するために資源を大量浪費しているのは酪農だけではないでしょう。自動車産業を例に取ると、次々とモデルチェンジ・マイナーチェンジをして消費者の欲望をかき立てます。しかし、新車を作れば作るほど、地球温暖化ガスの排出量も増えます。現在の自動車産業を変えるのにも、酪農産業(こちらは国の補助金でゆがめられているので、有権者の力も必要です)と同じように消費者一人一人の力が必要になります。

 子供たち・地球の未来のために、資源を浪費する経済成長よりも、資源を大切に有効利用する循環型の社会が求められています。そのような、企業、産業、社会を生み出すためには成長価値観と循環価値観とを共に意識しながら生きることでしょう。「農業は成長しない、循環するのみ」と価値観を転換すると、土・自然とより深く向き合えるようになって、農業が楽しくなります。自分自身と向き合う時も、同じことが言えるかもしれません。この循環と成長をではなく成熟と呼ぶのかもしれません。北海道の酪農の生みの親の黒澤酉蔵氏はこれを「循環進展無窮也」と言っています。

 「自然の力を最大限に引き出すこと」。これが無から富を生み出す農業で一番大切なことです。牛に任せていれば、牛は自分で歩いて、草を食べて、ふん尿をまいて、ふんと一緒に草の種も蒔いてくれます。牛が草を食べること、土壌を適切に踏みつけることによって、牛は荒廃した土地を牧草地に変えてしまいます。酪農が大好きで、しかし普及員の言う通りに畜舎で牛を飼っている酪農家は、牛の本当の偉大さを知らないのが残念です。放牧をされている牛を見ていると、荒廃地を牧草地に変えて、何一つ偉そうな顔などしていません。

 一方、工業型の酪農は、牛を畜舎に閉じ込めて飼います。食の世話から、下の世話まで人間がしなければなりません。口の悪い人は介護酪農と呼んでいます。下の図は荒木和秋先生が作ったのですが、これを見ると、いかに放牧は効率が良くて、舎飼いは効率が悪いかがわかります。荒木先生は「工業型酪農は運搬業」だと言っていました。

 

 

 放牧酪農によって地球温暖化ガスの排出量を削減できます。図からもわかる通りに、機械作業が必要ないので、機械から排出される二酸化炭素を減らします。牛が健康で長生きをするので、育成牛(牛は生まれてから2年で子供を産んで乳を出し始めます)の頭数・経産牛の頭数を減らすことができます。牛はゲップでメタンガス(メタンガスの温室効果は二酸化炭素の約28倍)を出します。メタンガスを減らすためには牛の頭数を減らすことです。工業型の酪農は穀物をアメリカまたは地球の反対側から大量に輸入します。その時の輸送にかかる二酸化炭素を減らすことができます。

 Regenerative Farming (再生農業)について、放牧で肉牛を飼養している農家の方のお話を聞きました。再生農業とは、今までの慣行農法で破壊されてしまった土壌の健康を取り戻す(再生させる)農業です。土壌微生物が多い健康な牧草地の土壌は、温室効果ガス(二酸化炭素とメタンを含む)をヘクタール当たり1年間10.03トンも土壌微生物の力で土壌に取り込むのだそうです。再生農業というと反芻動物の放牧を意味するくらいに、土壌の健康を取り戻すためには反芻動物の放牧が有効です。牧草地の光合成量は、熱帯雨林の光合成量よりも多いで、大気中の二酸化炭素を土壌中に取り込む量も多いのです。しかし機械を使って牧草を収穫していると、5年から10年で牧草地が雑草畑になってしまい、畑を耕して、種を蒔き直さなければならなくなります。そして牧草地を耕起すると土壌中に取り込まれていた二酸化炭素はまた大気中に放出されてしまいます。放牧酪農は牧草地を耕起する必要はありません。

 再生農業は「環境再生型農業」とも日本語に訳されているようです。土壌の健康を回復すれば、環境も再生できる。それくらいに土壌は地球環境に重要な役割をはたしています。有機物を含んだ土壌は、地球の表面の約30センチの厚さです。その薄い膜に大気中の二酸化炭素の3倍から4倍以上の二酸化炭素を蓄えています。土壌有機炭素の量を1年に0.4%増やすことができれば、大気中の二酸化炭素の増加をゼロにできます。この30センチの土壌を大切に守ることが、地球温暖化を解決するための重要なカギの1つです。

 そして健康な土壌から、健康で栄養のある農産物が生まれます。土壌の健康以上に健康な作物はできません。土壌を良くすることは、私たちの健康を良くすることでもあるのです。 放牧酪農・畜産の魅力に引き付けられて、足寄町の農村に徐々にですが新しい住民が還ってきています。高度成長期に農村に住んでいた多くの農家は離農をして、労働力として都会に移住しました。私の今住んでいる集落では、約8割がその時期に離農をしました。農村の過疎・崩壊です。2000年から2024年の間でも、北海道の酪農家の戸数は半減しています。現在の酪農家の離農の一番の大きな理由は後継者がいないことです。

 放牧酪農にチャレンジしてみてください。耕作がされていない農地が北海道には沢山あります。子供の頃を思い出してみてください。何か思い当たること、感じることがある人は自分のデーモンに素直に農村へ来てください。今は農村にお年寄りが残され、若者は都会に住んでいますが、若いうちは農村で汗水たらして働いて、年を取ったら病院の近い都会に住む、そんな農村と都会との人の循環ができる社会も面白いでしょう。

 農村の人口が復活して、チーズ屋さんとお肉屋さんくらいがある、農家以外の人も住む村になる。循環の価値を大切に自然と向かいあう。日々を豊かな心で暮らす。自然が豊かで、心の豊かな人たちが住む、そんな農村が生まれることを願います。

 お話が思いのほか長くなってしまいました。

 お待たせしました。では一番肝心の牛乳のお味のほうはいかがなのでしょうか?

 みなさん、「武蔵野デーリー」のCraft Milk’s Projectをお楽しみにしていてください。

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