プロジェクト概要

プロジェクトの終了が報告されました

 

わびさびの世界だから、日本美術ってむずかしい?イヤイヤほんとはド派手!

幻の屏風を完全復元!

 

こんにちは。デジタル復元師の小林泰三と申します。コンピューターで、日本美術の絵画を中心に、昔の色を復元する仕事をしています。この仕事を25年間続けてきて、ぜひ叶えたい夢のひとつが今回のプロジェクトです。

 

国宝に指定されている「花下遊楽図屏風(かかゆうらくずびょうぶ) 」をデジタル復元し、当時の色彩を取り戻したきらびやかな姿で屏風へ復元、そして実際にみなさんに当時の人たちのように、その屏風を見て、体感してほしいと考えています。

 

そのための復元にかかる費用の一部が足りていません。ぜひこの展示を成功させ、多くの方に日本美術を体感して頂くために、皆さんのお力をお借りできればと思います。

 

 

※このプロジェクトは独自のものであり、東京国立博物館は関係しておりません。

 

日本美術の当時の姿を取り戻す"デジタル復元師のしごと"

 

デジタル復元という仕事をしたときの初めての仕事が、この「花下遊楽図屏風」の失われた部分をよみがえらせるものでした。大学時代に「美学美術史」を専攻し、その後仕事として美術の画像をレタッチする現場に入りました。そこで学んだ技術を活かし、「経年変化などで失われた色を、デジタル的に復元できるのでは?」と着想を得ました。

 

国宝に指定されている「花下遊楽図屏風 」 は、向かって右の屏風の中央部分が関東大震災に巻き込まれ失われてしまっていました。デジタル復元師の仕事として、まずはこの屏風の失われてしまった部分の復元を手がけることにしました。この作品は、残っている部分が多く現存しているので、そこから流用することができます。また失われている部分がこの屏風の主役が描かれている部分は、保存されていた大正時代の白黒写真から、その様子が分かります。このようなかたちで、失われてしまった部分を取り戻していきました。

 

こうして、昔失われて現代人の誰もが目にすることができない世界を、この手でよみがえらせる「デジタル復元師」の仕事がはじまりました。絵をじっくり復元していると、絵師とお話しているような気がしてきます。筆の後をトレースすると、絵師の息遣いが分かるのです。そして、昔の人々の作品に込められたメッセージを、今日も皆様にお伝えしております。

 

デジタル復元作業の様子

 

江戸初期に狩野派によって描かれた

豪華絢爛・花見の図「花下遊楽図屏風(かかゆうらくずびょうぶ)」

 

「花下遊楽図屏風(かかゆうらくずびょうぶ)」(東京国立博物館所蔵)は、桃山時代の花見の風景を描いた国宝の屏風、浮世絵とつながる初期風俗画の代表作です。制作されたのは江戸時代初頭の1600年頃とされています。描いたのは狩野長信(かのうながのぶ)、狩野派を大成させた巨匠・狩野永徳(かのうえいとく)の年の離れた弟で、江戸時代に入ってからも狩野派の大きな組織を陰から支えました。

 

この絵の舞台となっている「醍醐の花見」は、豊臣秀吉が晩年、贅をつくして開催した伝説的な大宴会です。元々豪華絢爛とされる桃山文化のなかでも、贅をつくした「醍醐の花見」は、華麗な淀殿を中心にどんな色彩世界をきらめかせていたのでしょう……。

 

その一部が関東大震災のため失われていたのですが、そのデジタル復元はすでに終わっております。震災で失われたところには淀殿が描かれていました。 これは、年月を経て汚れている様子も復元している状態です。その屏風を今度は描かれたばかりのきれいな姿にデジタル復元し、きらきら輝く姿にして、あたらめて鑑賞したいと思い、このプロジェクトを立ち上げました。

 

 

なんで、古びた美術を新しくするの? 

それは、本当の日本美術を体感するため。

 

日本美術ってむずかしいと思っていませんか?特に「わびさび」となると、まったく分からない人も多いのではないでしょうか。でも、日本美術のもともとは、ド派手な色彩をしていたものがほとんど。

 

なので、単純にそのきれいさを「かわいい」「かっこいい」と楽しんでしまえばいいのです! とくに屏風はジグザクにすることが、大切。なぜかというと、絵師は、ジグザクにすることを前提に描いているからです。 この作品も平らにしたまま踊り子たちを見ていると、横に並んでいるように見えるのですが、ジグザクにすると前に進んだり、後ずさったりして本当に踊っているように動き出すのです。

 

そしてペアの屏風で構成されるこの作品は、ややハの字に配置するのがベストです。 向かって右側の屏風の下に座って見上げると、手前には桜が大きく描かれ覆いかぶさるように感じられ、それでいて遠い左側の屏風に描かれた霞んだ山並みが、実にいい眺めに目に写ります。

 

茶けた背景でなく白のくっきりとした背景に、きらきらたなびく金の霞、そしてさらに白さ際立つ桜に、色鮮やかにきらびやかな衣装がひらめいていたら……。それこそ、まるで自分が花見に参加しているような気分で、心浮き立つ「醍醐の花見」の光景を目の当たりにすることになるでしょう。

 

尾形月耕の「醍醐の花」Wikipediaより

 

■復元について

まずは、すでにデータ化してある現状の汚れた画面と復元した部分の合成画を、デジタル画像処理をおこなっていきます。 今回のプロジェクトでは、まずは淀殿が描かれている右側より復元を行う予定です。

 

復元予定サイズ:80㎝×150㎝

 

ジグザグの状態で見ることが、屏風を楽しむ醍醐味です。

 

日本人が、日本の美術を知る、楽しむ、そして発信する。

 

 デジタル復元によって、作られた当時の色彩に戻した日本美術を「作られた当時と同じように見てみるだけ、それだけ」「 ジグザクにして、座って下から見上げる」すると描かれた風景、人物が動き出します。他の日本美術作品も、もともとは手で触っていじって楽しんでいたもの。生活の中の道具だったものも多く、今の美術館での鑑賞のように、ガラス越しに広げっぱなしの古ぼけた作品を遠くから眺めるものとは全く違っていました。

 

デジタル復元によって日本美術も美しい色彩を取り戻し、実際に触れる機会も作れるようになりました。これはもう触って、体感してみるしかありません!そうすれば、「目からウロコ」の発見がたくさんあります。

 

日本人なのに、日本文化のことがよくわからず説明できない方がほとんどなのが現実です。でも、デジタル復元で体感して楽しく日本美術を鑑賞できるようになるとで、日本美術を楽しむ感覚を取り戻し、生活にちょっとずつ取り込んでいってほしいと思っています。

 

また、2020年の東京オリンピックに向けて海外からのお客様が増えるといわれている今、こういったかたちで文化を伝えていくことは、大切なことだと考えております。 そのような大きなビジョンの中で、今回の屏風の復元は、その素材となる貴重な作品をどうやって増やしていくか、に対する一つの大きな可能性を秘めています。ぜひ応援、よろしくお願いします!そして、ご一緒に日本美術を体感しましょう。

 

遠くから見るだけではなく、触れることで身近な存在となります。

 


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