風待ちキャンプ終了!今年も様々な感動がありました【終了報告】
隠岐の島風待ちキャンプ2024
〜 島のやさしい風が背中を押した3日間 〜
< 終 了 報 告 >
7月26日(金)〜28日(日)、学校に行かない子供たちを応援する「隠岐の島風待ちキャンプ2024」を開催、たくさんの皆さんのご支援、学生ボランティアや島のボランティアさんのサポート等により、無事終了することができました。
お力添えいただいたお一人お一人に、そしてこのキャンプを後援してくださった隠岐の島町様、島根県教育委員会様に、心からお礼申し上げます。本当にありがとうございました。
2泊3日の期間中、今年もいろんなドラマが生まれました。ご支援いただいた皆さまへの感謝の気持ちを込めて、キャンプの様子を報告いたします。
【今年の参加者は14名の子供たちと11名の保護者さん】
2023年第1回キャンプでは4名の子供と3名の保護者さんに参加していただきました。
今年は去年を大幅に上回る14名の子供たちと11名の保護者さん。北海道、東京、広島といった遠方から参加してくださる親子もいました。また、出雲市で学校に行かない子供たちの応援活動を行っている「みんなの宇宙村」の皆さんが、我々の趣旨に賛同してくださり、サポーターとして参加してくださいました。
たくさんの方に参加していただき、とても嬉しかったです。来てくださって本当にありがとうございました。
嬉しい反面、人数が増えたことで我々スタッフが対応しきれない点が出てしまったという反省点もありました。そのあたりは後半部分で触れたいと思います。
【緊張気味で隠岐の島に到着】
7月26日(金)朝、ほとんどの参加者は七類港発フェリーおきで隠岐の島入りしました。11時25分到着後のターミナルに14名の子供たちが全員集合。多くのみんなが緊張して、ちょっと辛そうな疲れたような表情で集まりました。そりゃそうです!勇気を出してよく隠岐の島まで来てくれました!それだけでもスゴいことじゃないですか!
【学生ボランティアも合流】
キャンプ中、子供たちと一緒に生活し、直接応援してくれる学生スタッフも全員集合。今年は島根大学から4名、山口大学から1名、岡山ノートルダム清心女子大学から1名の計6名の大学生の皆さん、さらに島前高校卒業生が1名、松江北高校から2名のボランティアスタッフが来てくれました。キャンプを盛り上げてくれたのはこの学生ボランティアさんのおかげ。本当に感謝しています。未来の教育を支える若者です!
【オープニング、いただいた帽子で記念撮影】
それぞれで昼食をとった後、午後2時、隠岐の島町都万のあいらんどパークでキャンプがスタート。コテージに集まってオープニング。
それぞれ自己紹介をした後、帽子製造メーカー株式会社ヨシダ様からいただいた帽子をかぶって記念撮影。株式会社ヨシダ様には、去年に引き続きたくさんの帽子をご寄贈いただきました。ありがとうございました。
【やっぱり海でしょ!】
もともと「やりたいことはやる、やりたくないことはやらなくていい」というユル〜いキャンプ。コテージでお話を聞くより海に行きたいという子がたくさんいたので、当初の予定も変更して午後は思いっきり海遊び。
学生スタッフのリードもあって、海に入ればそれまでの緊張感も吹っ飛び、みんな無邪気に声を上げていました。誰にも気兼ねすることなく、海の気持ちよさの中で感情を表現する大きな声。彼らが過ごした学校も、こんな声が出せる楽しい場所になったらいのになぁって思ったり。。。
大きなエチゼンクラゲがいたのにはビックリ!恐る恐るもツンツンつついていました(^_^)
【ハーバリウムでオリジナルペンづくり】
当初はみんなでやろうと思っていたのですが、海遊びに夢中になる子が多かったので、「海はちょっと」っていう子や保護者の皆さんで、ハーバリウムを使ったオリジナルペンづくりをしました。
教えてくれたのは地元都万で習字教室を経営する阿部さん。なんと活動に必要なすべての材料を提供してくださいました。本当にありがとうございました。
ハーバリウムの小さな草木や花を、透明なペンの筒の中に入れ、オイルを流し込みます。細かい手作業ですが、皆さん真剣な表情で夢中になって取り組んでいました。
【1日目の夜はBBQ】
この日の夜は海辺でバーベキュー。準備をしてくださったのは隠岐の島町内の有志の皆さん。10人ほどの皆さんがボランティアとして集まってくださり、調理や食材準備、それにたくさんの食材の差し入れまでしていただきました。こうした温かい有志の方々がいらっしゃるからこそ、このキャンプに魂が吹き込まれる、そんな感じがします。僕らが「島のDNA」と呼んでいる島ならではのホスピタリティ、おもてなしの心、誰もを受け入れる温かさがあふれていました。
また、このBBQにあわせて、今回のキャンプを後援してくださった隠岐の島町からもたくさんのサザエやバイ貝を差し入れしていただきました。心から感謝申し上げます。
【TOKIライブで発表する曲づくり】
今回のキャンプの大きな目玉商品とも言える、2日目の夜に開催する「TOKI Talk & Live」でのキャンプ参加メンバーによる自作曲発表。
27日の午前中、曲の歌詞を創るためにみんなで集まってワークショップを行いました。TOKIさんが中心にみんなと話をしながらテーマを決め、テーマに沿って言葉を紡いでいきます。「ここでの出会いを大事にしたい」「つながりを大事にしたい」という思いをテーマに据え、言葉を探します。ある女の子がたまたま知っていた「ネリネ」という花の花言葉「また会う日を楽しみに」をベースに、最終的に出来た曲がこちら。
この歌詞にTOKIさんが、その日の午後の時間だけで作曲し歌を完成させました!やっぱりプロはすごい!
この曲は一般社団法人アナザーステージのYouTubeチャンネルで公開しています。(このあとにリンクあり)
「ネリネをつみながら」
ワクワクも心配も 勇気を出したらそう楽しかったの
みんなが優しかった いっぱい笑いあったし
しゃべる勇気が湧いてきたようだな
また会える日は 笑ってよう
昨夜眺めたポラリスみたいな
揺るがない絆 一緒に笑ってよう
「また会えたら嬉しいな」
ネリネをつみながら ネリネをつみながら
I can be a supper star 本当の自分は誰も知らない
白紙を染めるのは僕
どんな自分にでもなれるから ここから
昨夜眺めたポラリスみたいな
揺るがない絆 一緒に笑ってよう
「また会えたら嬉しいな」
ネリネをつみながら ネリネをつみながら
「また会えたら嬉しいな」
【朝ご飯と昼食は「みんなの宇宙村」さんが準備してくださいました】
朝ご飯と昼ご飯は、出雲市から助っ人として参加してくれた「みんなの宇宙村」さんにお願いしました。4人のママさん達が30名以上分の食事を。大変な作業だったと思います。でもおいしいご飯のおかげで、3日間みんな元気に活動できました。本当にありがとうございました!
【午後は再び海へ!カヤックや魚釣り】
2日目の午後は海でカヤックやSUP。ほとんどの子が初めての体験でちょっと怖がってたけど、あっという間になれて上手に乗れてました。
大学生のお兄さん、お姉さんと一緒に沖まで漕ぎ出す人もいて、ちゃんと帰ってこれるか少々心配でした。
海には入らずひたすら釣り糸を垂らす人も。自称釣りプロと豪語する大学生ひろみくんが率いる釣りチーム、暑くてとても釣れる環境じゃないと周りの人はあきらめムードの中、何時間もねばって可愛い魚を釣り上げていました。途中40㎝のチヌを釣り上げたと後で聞きましたが、本当かどうかは定かではありません(^_^)
【保護者の皆さんは隠岐の島ミニツアーへ】
午後の時間、保護者の皆さんは、島のお母さん達と一緒に隠岐の島巡りへ。数台の車に分乗して、隠岐の島の景色を楽しみました。親としてのいろんな思いもお話しできたようで、とってもいい時間になったようです。
【夜は隠岐島文化会館でTOKIライブ】
2日目27日の夜は隠岐島文化会館でのTOKIライブ。
広島県三次市から来てくれたTOKI SHIMIZUさんは、ホームスクーリングで育ち一度も学校には行ったことがないというプロミュージシャン。彼の代表曲「学校には行きたくなくなった」、ぜひ聴いてみてください。
https://www.youtube.com/watch?v=jt8M6XNVdtc
ライブではTOKIさんと一緒に来てくれたのぶさんがパーカッション兼コーラスとして参加。
あわせてこの日、もう一人の特別ゲストがオンラインで参加してくださいました。
その特別ゲストは、木村泰子さん。大阪市立大空小学校の初代校長で、「みんなの学校」という映画の舞台となった学校の元校長先生。「誰一人取り残さない学校づくり」に長年取り組んでこられたスゴい方です。
ライブでは、まず木村泰子さんが温かいメッセージを届けてくださいました。
泰子さんのメッセージは会場の全ての人の心を打ち、中には涙を浮かべる子供や保護者も。泰子さんの言葉は、みんなにとって、これからの心の支えになるものでした。
泰子さん、本当にありがとうございました。
「選択できる教育」を訴えるTOKIさんの歌声は、会場にいる参加者の皆さんの心にストレートに突き刺さりました。勇気をもらった人もたくさんいたことでしょう。ライブの様子はYouTubeでリアルタイム配信され、応援してくださる方や学校に行かない子供たち・保護者の方々へ直接歌声を届けました。
ライブの途中で「オープンマイク」のコーナーが設けられました。オープンマイクとは、飛び入り参加で歌いたい人が歌うというコーナー。恥ずかしがって誰もステージには上がらないだろうと思っていましたが、なんと2人の女の子がチャレンジしたのです。この勇気、スゴいです。足や手を震わせながらステージに立ち、たくさんの人たちの前で歌う。すごい力です。きっとこの経験は、これからの人生の中で大きな自信となっていつまでも残ることでしょう。2人ともメチャメチャ上手で、ホント、スゴかった!
そして後半には、参加者のみんなが創った歌「ネリネをつみながら」が披露されました。みんなが相談しながら、みんなの気持ちや思いを言葉に紡いだ歌詞にTOKIさんがメロディをつけた曲で、とってもいい曲が出来ました。
「ネリネをつみながら」MVはこちら
全員ではないですが曲を創った参加者もステージに上がって曲をお披露目。とっても感動的なシーンでした。
会場には隠岐の島町の皆さんにもたくさん来ていただきました。ありがたいです。みんなで応援したいっていう優しい空気に包まれていました。
会場の入口には参加した子供たちがつくった募金箱も置かれていました。隠岐の島町の皆さんにもご寄付をいただきました。この場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございました。
【最終日は藁葺き体験】
最終日は、キャンプ場を片付けて隠岐の島町五箇の「都万目の民家」へ。このキャンプを支えていただいている吉崎工務店様のお力添えで、めったに経験できない茅葺き作業の体験にチャレンジしました。暑い中でしたのでみんなで参加とははなりませんでしたが、古来から伝わる伝統的な技法に興味津々の人たちも。実際にはさみを使って、屋根に葺いた茅をザックザックと切りました。こんな経験が案外自分の何かを変化させるきっかけとしてヒットすることがあるんですよね。
【いよいよお別れ、お見送り】
2泊3日のキャンプも終了し、フェリーで隠岐の島を離れる時がやって来ました。最後は参加した皆さんを、隠岐のみんなでお見送り。七色の鮮やかな紙テープをフェリーにはって別れを惜しみます。
遠いところから来てくれてありがとう!一緒に過ごした3日で、ずいぶん表情が変わったなと思いました。
それまではずっと外せなかったマスクを、キャンプ期間中は一度もつけなかった女の子。ひとりステージに立って、たくさんの人の前で歌いました。
始めは苦しくてみんなと一緒に活動できなかったけど、ライブでは手を叩き参加し、最後の日の夜大きな声を出して遊んでた女の子も。
人と一緒に何かをするのがいやで一人でずっとゲームしてた男の子、カブトムシを捕った話を聞いて、その子のそばまで行って一緒に話に加わりました。
初日に熱を出してログハウスで寝てた男の子、2日目から元気になって、ライブのステージで大きな声で歌ってました。
学校では辛い思いばっかりしてた女の子、歌詞作りでは先頭に立ち、ステージでも一人で歌い、たくさん自信をつけました。
みんながみんな全員が何か大きな活動をしたわけではないですが、この3日間の経験がきっとそれぞれの記憶の中に残り、いつか動き出そうとした時に力を与え、背中を押してくれると信じています。
それぞれの思いを胸に、隠岐の島を離れていきました。
【キャンプを通して】
私たち一般社団法人アナザーステージは、学校に行かない子を「支援する」というスタンスではなく、ともに活動し「応援する」という考え方で活動しています。このキャンプが、参加した彼らにとってどのような意味を持つことになるのか、どのような効果があるかはわかりません。単に楽しんだだけで、その後の生活は特に変わらない場合も多いでしょう。
しかし、この3日間で感じた空間や空気、人との距離、優しくしてくれる人たちの温かさ、勇気を出して行動したことなどは、きっと子供たちの心のどこかにいつまでの存在し続けると信じています。それが再び芽を出すのはずっと後かもしれませんが、いつか必ずこの日を振り返り、自分の人生においての意味を見出すこともあるかもしれません。
そんなキャンプをこれからも続けていきたいと願っています。
【課題】
今年は参加者が多くて嬉しかった反面、様々な課題も見つかりました。
・アナザーステージのメンバーと保護者とが接する時間がなかった
・子供一人一人と関わる時間が極めて少なかった
・人数が多く、それぞれの状況把握が十分にできず、ニーズに応えられない面があった
・参加者の当事者意識を高めることが十分に出来なかった
・子供同士の横のつながりを深めることが困難だった
などなど、始めは予想していなかったことが次々と起こり、運営側がバタバタする結果となってしまいました。
次年度以降はやり方を変更し、もっと密な関係の中で濃厚な体験が出来るよう改善していこうと考えています。
【いただいた資金の活用について】
皆さまからいただいた支援金は、以下のように使わせていただきました。
風待ちキャンプの決算書をもって報告に代えさせていただきます。
【リターンの発送状況について】
リターンについては8月14日に発送いたします。3万円以上いただいた方々へのリターンについては、別途メール等で連絡させていただき、ご要望の日時などを打ち合わせして対応させていただきます。
【今後ともよろしくお願いします】
風待ちキャンプはこれからも継続して行います。形を変えながら、例えばお父さんだけを対象にしたワークショップキャンプなども検討していこうと考えています。
また「社会を居場所にするプロジェクト」も推進していければと願っています。学校に行かない子が、自由に社会の中で活動でき、自分の学びを深めていける地域社会づくりに寄与していきたいと考えています。
また、法人メンバーで全国を歩いてお話を聞いていただくような活動も始めました。学校に行かない子供たちの親の会や支援団体の集まりなどで、我々の経験や考えていることをお伝えすることで、学校に行かない子供たちを取り巻く社会環境の改善に寄与できればと願っています。
つきましては、継続型クラウドファンディングも行っておりますので、引き続きご支援のほどよろしくお願いいたします。
皆さま、本当にありがとうございました。
これからもどうぞよろしくお願いいたします。
一般社団法人アナザーステージ
代表理事 渡部正嗣