中学1年のAさんはお父さん、お母さん、妹の4人家族です。お母さんは、離れて暮らしているおばあちゃんの介護に追われて、実際Aさんの家庭はお父さんの収入でやりくりしています。けれど、お父さんの収入だけでは日々の生活を送るだけで大変な状況です。いわゆる貧困家庭です。お父さんに収入があるので公的補助も受けていない状況です。

そんなAさんがヴァパウスの教室に来始めたのは、お父さんがAさんの夢―音楽学校に進学したい―を叶えさせたいと考え、そのための学力を身につけさせるには家庭学習でサポートするには限度があると感じたからだそうです。

 

初日、Aさんが持ってきた勉強道具を見ると、鉛筆1本と消しゴムをむき出しで持ってきていました。「あれ?筆箱は?」と聞くと、「まぁ、ちょっといろいろありまして…」という返事。あまり言いたくないようだったので、そのことについてはそれ以上追及せず、「鉛筆削りはここにあるから使ってね。」とだけ言って授業に入りました。

 

ヴァパウスの授業は、家庭でも自分で勉強できるような方法を教えています。用意するのは、教科書とノート(ノートがなければ紙でも)。そして学校で配られている補助ワーク。これらを使って、英語は音読や本文を英作文する練習をし、数学は問題を自力で解けるまで、何度も解く練習をしていきます。

 

特に英語は家に帰って音読練習ができるように、教室で正しい発音をできるようにします。

さて、Aさんの授業をしているときに、気になることがありました。勉強道具についてもそうでしたが、もっと気になることが…

彼女の返答の口癖が、「はい、すみません」ということです。「ここはこうだよ」とアドバイスした時も「はい、すみません」。「ここはこうする方法もあるよ」といった時も「はい、すみません」…
そして、なんとなくいつも自信なさげに話をしたりします。

この癖の背景がどんなものなのか、いろいろ想像したりしますが、その一つはやはり生活の困窮にあるのかと思ったりします。自分を無意識に卑下している感じがします。

私は、Aさんに「謝る必要ないよ。『はい、わかりました』って、堂々と言えばいいよ。恥かしいことなんてないし、自分を卑下することもないよ。」と言いました。これからここで教えることを自分なりに身につけていって、自分に自信をつけていってほしい、そして自分の夢を実現してほしい。そのために私たちもAさんを応援しているんだから…そんなことを言いました。

Aさんがヴァパウスに通い始めて3か月ほどが経ちました。最近では声も大きく明るく、表情も生き生きしてきたように思います。返事もしっかりしたものになってきました。
 

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