プロジェクト概要

 

山形県で現在5箇所にしか残されていない貴重な山伏神楽の一種「番楽」を伝承する活動をしています。

 

はじめまして。山形県で「真室川町伝承文化を伝える会」の事務局長を務めています、新田寿昭と申します。

 

真室川町には、多くの伝承文化が今でも残っています。特に秋田県と山形県北部に伝わる伝承文化「番楽」は、山形県でも5か所にしか残されていない貴重な無形民俗文化財です。真室川町では平枝地区、釜渕地区、八敷代地区の3地区に受け継がれています。

 

私は町役場職員として関わる中で、素晴らしい伝承文化を後世に受け継いでいきたいという強い思いに駆られ、有志を集めて「真室川町伝承文化を伝える会」を設立しました。そこでは主に「番楽」を次世代に伝えていくための活動を行なっています。

 

八敷代番楽で「もちつき」を舞う子どもたち

 

 

350年以上前に伝わった番学は、地域に根付きながら伝承され続けてきました。

 

「番楽」は神事芸で、特に鳥海山麓に分布しているものは、寛永年間に京都三宝院に属する修験者芸能に優れた僧、本海行人によって伝えられたと言われています。真室川町の「番楽」もここから伝わったとされています。

 

釜淵地区の「番楽」では、毎年9月13日に行われる虚空蔵(こくぞう)神社祭で、虚空蔵神社に獅子舞を奉納し、その後、さらに、山の上にある風呂輪(ほろは)神社に獅子舞を奉納しています。その後、各家々で「門獅子」(かどじし)という名の邪鬼払いを行っています。

 

また、八敷代地区でも毎年、9月12日に行われる山神社祭において、獅子舞を奉納し宿公演を行ったり、平枝地区でも、旧暦8月1日に神明神社へ獅子舞を奉納した後、保存会と少年番楽による番楽公演会が行われるなど、地域に根付いて活動を行っています。

 

能の舞に近い八敷代番楽「鈴木の舞」

 

 

人口減少により失われていく伝承文化を、地域のみんなで一丸となり守りたい。

 

「番楽」は以前、確認できるものだけで、町内11か所に残されていました。ですが、少子高齢化の影響もあり、現在は平枝地区、釜渕地区、八敷代地区の3地区にしか残っていません。

 

いま、どの伝承文化を継承する団体でも、後継者不足が大きな課題として取り上げられています。少子高齢化にともなう人口減、学校の統廃合問題を抱える真室川町も例外ではありません。

 

番楽を記録するため、プロの写真家の方に撮りためていただいてきた写真で、守り続けるために何かできないか。番楽を舞い躍動する舞手の息遣いや力強さ、そして番楽を受け継ぐ人たちの歴史などが詰まった写真で、魅力を発信するための写真集を制作します。

 

1m以上飛び跳ねる釜淵番楽の「鳥舞」

 

プロ民族写真家による躍動感あふれる写真と伝承文化研究の第一人者による解説で、歴史的な価値の高いA4フルカラー見開きの写真集を製作します。


写真集の制作にあたって、2人の強力な助っ人に協力いただいています。

 

1人は、民俗写真家の松田高明さんです。新庄市でフォトスタジオを営んでいる傍ら、最上地区全体に残されている様々な伝承文化や文化財に光をあてて撮影していただいています。国際写真コンテストでも入賞されている実績もある方です。

 

もう1人は、民俗学を研究し、自らも伝承文化の発展にご尽力されている東北文教大学短期大学部特任教授の菊地和博先生です。伝承文化研究における第一人者であり、真室川町では伝承文化を中心にアドバイザーとして指導助言をいただいております。

 

菊地先生からは番楽の解説をいただき、単なる写真集としてではなく、歴史的な付加価値を積み上げていきたいと考えています。

 

女甑山のご神木(オオカツラ)に奉納する平枝番楽の「獅子舞」

 

番楽の基本は、五穀豊穣、身体堅固などを祈願する獅子舞であり、3地区とも今も神社祭礼行事に奉納されています。掲載される写真は、こうした獅子舞のほか、3人の若者が勇ましく舞い踊り、最後に輪になりくぐる抜ける「三人太刀」や修験流の荒々しい舞である「剣の舞」など、各地域に伝わる演目などを網羅し掲載予定です。

 

なんといっても番楽は山伏神楽とも呼ばれていることから、力強さや荒々しさ、躍動感が特徴です。こうした特徴を切り取られた写真を通して、番楽のすばらしさとして、みなさんに伝えていきたいと考えています。

 

完成した写真集は、最上管内の書店や真室川町教育委員会で販売を予定してます。

 

力強い舞の八敷代番楽の「剣の舞」

 

 

地域に根付いて頑張っている子どもたち、大人たちに写真集という形で光を当て、真室川町だけでなく山形の宝としても発信していきたい。

 

活動を通して、真室川町に伝わる番楽を多くの人に知ってもらい、山形の宝として発信して地域を元気にしていきたいという思いがあります。

 

町内の番楽保存会では、番楽を1地区だけで受け継ぐのではなく、地域の垣根を超えて希望者を募ることで、子どもは増え、活気を取り戻しました。それにともない指導する大人たちも指導する喜びだけでなく、技術力の向上というプラスの連鎖が生まれています。

 

今回のプロジェクトが、こうした伝承文化を受け継ぐ人たちへ、更なる活力を吹き込むための追い風になればと考えています。

 

まだまだ走り出したばかりの組織・プロジェクトではありますが、私たちと一緒に育て上げていただけますよう、みなさんの支援をお願いいたします。

 

山頂の保呂輪神社に獅子舞を奉納するため道太鼓を鳴らしながら登る釜淵番楽

 


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