松竹大谷図書館｜演劇・映画の宝箱、貴重資料を未来へ【第13弾】

プロジェクト開始から8日目となりました。現在78名の方から1,222,000円のご支援をいただき、達成率40%となりました。ご支援・ご協力いただきました皆さま、本当にありがとうございます！

さて、今回は当館の活動についてのご報告です。

当館では、毎月10日に「松竹大谷図書館ニューズレター」を発行し、日々の活動を皆さまにご報告しております。こちらも是非ご一読いただければ幸いです。

当館HPより、PDFファイルでご覧いただけます。

当館の閲覧室では現在、北條秀司スクラップブック保存プロジェクト特別企画展「初展示！劇作家・北條秀司の貴重資料たち」を開催中です。

当館では、劇作家・北條秀司（明治35[1902]年11月7日～平成8[1996]年5月19日）が作品の上演ごとに作成し、昭和58[1983]年に当館へ寄贈されたスクラップブックなど約600点を所蔵しています。

これらの資料は、作品の上演や研究などに長年役立てられてきた貴重な資料ですが、経年劣化のため傷みが進んでおり、資料を閲覧していただくことさえ困難な状況となってきています。

そこでこの度、北條秀司が当館に託した唯一無二の資料を守り、次世代まで活用していくため、クラウドファンディングにて保存箱制作費のご支援をお願いした次第です。

これまでは、主に北條作品を再演する際の参考資料として演出家が使用することが多かった資料ですが、この機会に、ぜひ皆さまにもスクラップブックの原物資料をご覧いただこうと、今回の特別企画展を開催する運びとなりました。

北條秀司スクラップブックの存在をより多くの方に知っていただくとともに、この資料を遺し、末永く活用していくことの意義を感じていただけましたら幸いです。

さて今回の企画展では、北條秀司スクラップブックのなかから比較的状態の良い3点を展示しております。写真は、展示資料のうち北條秀司スクラップブック「井伊大老　白鸚襲名」と、『井伊大老』改修原稿です。

昭和56[1981]年11月歌舞伎座の高麗屋三代襲名興行の際に作成された資料で、自筆の原稿はスクラップブックに挟み込まれていました。

このほか、背表紙に「大谷賞」と記されたスクラップブックも展示しております。

こちらは北條秀司が、昭和49[1974]年5月歌舞伎座で上演された『春日局』において、優れた新作歌舞伎に贈られる「大谷竹次郎賞」を受賞した際に作成されたスクラップブックです。

華やかな授賞式の写真や、各方面より贈られた電報が貼り込まれており、二世中村鴈治郎ら歌舞伎俳優の名前もみることができます。当時の演劇界の交流の様子や、世相までうかがい知ることができる資料となっています。

また、『春日局』は大谷賞受賞後、幾度も再演されることとなる名作で、スクラップブックも再演の度に一冊ずつ作成されています。

初演時には製作意図から登場人物の年齢を一覧にした表まで貼り込まれており、再演の度に台本を推敲した様子もわかります。

なお今回、『春日局』スクラップブックは展示しておりませんが、初演から各上演時の台本はお読みいただけますので、その違いを読み比べてみても興味深いかもしれません。

このように、北條秀司スクラップブックは各作品の制作過程をも知ることができる重要な資料であり、北條作品を今後も上演し続けるためにも、欠かせない資料となっています。

改めまして、北條秀司スクラップブックを次世代まで守るための今回のプロジェクトに、皆さまのご支援をどうぞよろしくお願い申し上げます。

特別企画展では、スクラップブックブックや色紙、自筆原稿などをご覧いただけるほか、ブックトラック上の戯曲全集や書籍、プログラムなどは手にとってお席でゆっくりとお読みいただくことができますので、皆さまのご来館を心よりお待ちしております！