ミュージカルの音楽

　プチミュージカルの作品の音楽はすべてオリジナル作品です。時々既存の音楽を使った方が効果的な時もありますが、どうしても著作権の問題がクリアできません。今回の１００００円のリターンについているサウンドトラックCDは非買品です。かつては販売していた時もありましたが、今は劇団員が記念に置いておくためだけに制作しております。今回はリターンの内容としてオリジナルサウンドトラック盤をご用意させていただきました。歌だけでなく舞台転換の音楽も入っています。

　私はミュージカルの音楽について、ひとつの考えを持っています。かつての日本のミュージカルは、ミュージカルというよりも、歌のついているドラマのように感じていました。その場その場にあった歌、ダンスをするための曲、感情を表すBGM、相互関係のない音楽が流れていたように思います。ウェストサイド物語やロンドンミュージカルを聴くと、一曲一曲がその場に合わせた楽曲でなく、相互に関連性をもっているのです。自分のミュージカルも全体がひとつのシンフォニーのように作ろうと考えています。音楽は再現芸術で、初めて聴いた曲よりも一度聴いたメロディーが再現されることによって感動が深まります。つまりひとつの歌が始まる前に、その曲のメロディーや雰囲気をあらかじめ、前奏曲や舞台転換のBGMで聴かせておくのです。無意識ですが、そのメロディーがもう一度再現された時、より深く心に入ります。サウンドトラックにはそのBGMも含まれています。実際はこの曲はあの曲を変化させたものであるということは種明かしをしないと分からないようなものもありますが、無意識に人は感じ取っているのです。

　さて、実は「海色のインクに恋して」の中で、島崎藤村作詩・大中寅二作曲の「椰子の実」を入れたかったのですが、大中寅二さんの著作権が残っており、実現できませんでした。そこで著作権が切れている島崎藤村の詩に、新たに作曲しました。最初は団員が、元の曲の印象が強く、覚えられないと言っていましたが、今は新しい「椰子の実」がしっくりいっています。

　本番は前に並べたマイクや髪の中に仕込んだマイクの音が届いていますが、サウンドトラック盤はライブ盤ではなく、あらかじめ録音したものです。

世界で５００本しか製造されていないお気に入りのマイクで録音しています。