算数パフォーマーが作る！４コマ漫画の万年日めくりカレンダー！

【泣き虫、弱虫、勉強なし、だから東大行けました】
ピカ漫画は、全６５話で、今年の９月より３ヶ月間、
私のブログにて平日更新してきました。
期間中、多くの方に見てもらい、「楽しみにしてるよ。」とのお声がけも頂きました。作は私で、絵はプッカのモデルにもなった娘が描きます。
娘は、現役の大学生で、学校生活との両立で大変だったようです。
毎回、前日までに絵を仕上げて送信されてきます。
時間を見ると、明け方近くだったこともよくありました。
ピカ漫画は、泣き虫で、弱虫で、全く勉強をしなかった長男ピカが、
東大現役合格をしたことから端を発します。
大学受験指導を長くしていた私にとっては、
志望大学に合格するとはどういう事かを検証したかったのです。
長男は、高校の後輩に向けて、大学受験をこう語っています。
「受験は、勉強の成果だけではなく、１８年間生きてきた経験を全て発揮する場であると思います。だから、勉強も勿論ですが、様々な経験を積んで、受験を通して成長できるようにしてください。」
１８年間生きてきた経験全てとは何か？
テレビやゲームばかりをしている息子を叱る私にこう言いました。
「おかん、全てのものはつながっているんよ。
こうしてテレビを見ていても、ゲームをしていても、授業でやった事とどう繋がるか考えてるんよ。」と。
当時小４でした。
息子はその言葉通り、体験と勉強を結びつけ、好きな事だけをして難関大学合格を果たせたのです。
この息子の思考方法は、どこから生まれたのか？
息子は、いつも自分の好きな事だけをして許されてきました。
ピカ漫画にもあるように、
砂場ではすぐいなくなり(4〜6話)、
スーパーでは見るものなんでも指を突っ込み、(7〜８話)
機械を見たら分解し(9話)
本を見れば、読んでとせがみます(2話)
挙句の果てに、パパからは
「つらいときは泣いてもいい。ピカが好きな事をしなさい。」
とのお墨付きまでもらいました(21話〜24話)
(第２４話)

こうして全ての表現を認められるのです。
自分の思いと表現に乖離がない息子は、
次の段階へと進みます。
目の前の物事を俯瞰して見る事が
できるようになるのです。
「あなたの妻がした事です。(20話)」
「やっぱり電車で寝てはいけないね。(33話)」
「じゃがいもを蒸してつぶして丸めて焼くだけ(28〜29話)、
「ホテル代が足りるか足りないかで喧嘩してたでしょ。」(30〜32話)
「おおはくちょうのそらを読んでるオカンが面白い(50〜51話)」
そしてこのピカ漫画幼児編の肝ともいうべき、
「自分が基準でいい。」という人生最大のテーマを、
わずかな信号待ちの間に、自分で気づきます。(54話〜57話)
いつものように、３人で、近くの
サンキューというドラッグストアに
おやつを買いに行きます。
信号待ちをしているピカは、
車の動きに注目します。
サンキューを前にして
保育園方向に行く車が右に行っているんだ。
サンキューを前にして
いまじょう(スーパー)方向に行く車が左に行っているんだ。
ちょっと待て。
すると自分が、反対をむけば
右が、いまじょう
左が保育園？
右と左って
自分が変わると変わって来るんだ！！！
自分が決めて、自分が基準なんだ。
そしてその気づきを、
右と左が分からず苦しんでいる姉のプッカに
教えてあげるのです。

幼い子が、周囲を理解する時、
物の名前やしくみなどは、
絶対的な物で、それは受け入れるしか
ありません。
しかし、世の中には、
相対的な物も存在するのだという気づきは、
子どもを活気づけます。
そしてそれは自分が決めていいのです。
「自分が基準でいい。」
この気づきは、その後のピカの
思考方法に大きく影響して
自信につながっていきます。
そしてもっと重要なことは
それが親の知らないところで
一人静かになされたということです。
今、教育格差を言われ、
良い教育環境がなければ、
子どもが学べないような
風潮があります。
しかし、私はそう思いません。
重要なのは、理解しやすいように
環境を整えることではなく
子どもが、周囲から汲み取る力を
育てた方が、ことはうまく行くという事です。
ではどうやって育てるか？
それは子どもの表現を認めて、
子ども自体が、進化する力を
信じることです。
子どもはいつも自分を表現しています。
ときには、不都合なこともあるでしょう。
しかし、そに中のいくつかでも
そのままの表現を認めてあげると
子どもは目覚ましい進化をとげます。
例えばどういうことかというと
私は、量感を育てるために、多くのフェルトボールを使って
幼児に絵を描かせることをしています。
ある子が、7・8個のフェルトボールで
亀を表しました。当初は、亀に見えなかったのですが
本人が亀だというので、受け入れました。
すると今度は、５個だけで、より端的な亀を描きました。
周囲は驚きました。すると今度は亀の周りに池を作りました。
さらに、亀の家を作り、亀が家に入ろうとする動きまで
作りました。時間にすれば、わずか１０分くらいの間に
子どもはどんどん進化したのです。
そこに、「こんなふうにしたら、亀らしくなるよ。」という
大人の価値観を入れれば、子どもは、大人の価値観にそうことを
考えて、自分なりの進化は望めなかったでしょう。
すぐに辞めてしまうかもしれません。
何が言いたいかというと、
私は、多くの数学学習者を見てきて
人が学ぼうとするモチベーションは
どこから来るのかという
疑問がありました。
高校生になった息子と塾生では、
明らかに学ぶモチベーションが違っていたのです。
息子の学ぶことに対するモチベーションの由来を
探りたかったのです。
今、価値観の転換期とも言われ、
子どもをどうやって育てていいかの
不安が渦巻いています。
過度な情報は、母親たちを翻弄し、
母親一人に孤育てを強いている気がします。
私はそんな母親たちに言いたい。
「子どもを育てるのは、あなたたちの責任ではない。
社会の責任です。
もっと言うなら、子どもは、誰しも生きる力を
学ぼうとする力を持って生まれています。
それに気づけば、子育ては少し楽になりますよ。」と。
子どもが、怪我をしないか？
事故にあわないか？
いじめられないか？
勉強についていけるのか？
親たちは、心配で気が狂いそうになります。
そんなとき、私はいつもこの言葉を念じていました。
「子どもには、必ず守り小人がついている。」
学ぶモチベーションなどと
偉そうな事を書きましたが、
要は私の超手抜き子育てで、
子どもがなすがままに
育ててきました。
案外それがうまくいったよ。
という実例を示したいです（笑）
ピカ漫画をご覧になったみなさまが
少しだけ子育ての肩の力が抜けて
ほっこりした気分になってもらえたら
こんなに嬉しい事はありません。
算数パフォーマー  上野 真弓