READYFOR
クラウドファンディングとははじめる
ログインログイン・登録
成立

土と水を保全する農業や漁業応援プロジェクト

koezo

koezo

土と水を保全する農業や漁業応援プロジェクト

支援総額

500,000

目標金額 470,000円

支援者
35人
募集終了日
2020年8月5日
プロジェクトは成立しました!
6人がお気に入りしています

終了報告を読む


6人がお気に入りしています
2020年07月24日 16:58

農業と水産業の折り合いをどのように考える? その1

 ちょっと硬い文章ですが、農業と水産業との折り合いを考えるために、大事な情報だと思いますので、これから何回かに分けて掲載します。

 元の文章は、私の博士論文です。読みにくいかもしれませんが、どう考えて言ったらよいのか、多くの方々のヒントになりましたら幸いです。

 元の掲載先は、以下のアドレスになります。

https://ynu.repo.nii.ac.jp/index.php?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_snippet&pn=1&count=20&order=16&lang=japanese&creator=%E4%BD%90%E3%80%85%E6%9C%A8+%E7%AB%A0%E6%99%B4&page_id=59&block_id=74

 

 5.管理目標と根室経済
5.1.はじめに
 第2章において,特にサケマス増殖業の成否を左右するサケマス稚魚の保全のために,河川水中のイオン態Al 濃度を低減させる必要があることを指摘した(橋本1989)。そのためには,流域草地への人為的窒素投入量を抑制する必要性(佐々木2009,佐々木2016,佐々木2017),流域の森林率を回復させる必要性(佐々木2009),流域草地土壌の塩基飽和度を高める必要性(越川ら2004)について指摘した。

 しかしながら第3章において,人為的窒素投入量は,単位面積当たりの乳生産量を左右することも指摘した(干場2007,干場2008a,干場2008b,干場2008c,干場2008d,佐々木2014,佐々木2017)。すなわち,人為的窒素投入量を抑制することは,生産乳量も低下させることを意味する。
 これらのことは,2重の意味で根釧地方の経済に影響を与えることが予想される。まず人為的窒素投入量を抑制することは,化学肥料と購入飼料の消費量を抑制することにつながる。これらの消費量抑制は,生産するメーカー,流通,販売関連産業に負の影響を与える。そして,乳生産量の減少は,生乳を取り扱う流通,乳製品製造,小売などの関連産業に負の影響を与える(岩崎2006,岩崎2010,吉野2008)。
 またこれまでの議論において,河川環境すなわち自然環境と水産業に影響を与えているのは酪農開発であり,河川環境に変化を与えている当事者は酪農業,河川環境の変化の影響を受ける当事者は水産業であることも明らかになった。
 そこで本章では,自然環境と産業が持続的に存続しうる河川水中イオン態Al 濃度を地域住民間で合意できる値として設定し,それを管理目標値として定義するとともに,様々に想定される各管理目標値にした場合の根釧経済全体への影響について考察する。

 

 5.3.結果
5.3.1.管理目標値の推定と乳生産性および土地利用と草地土壌
 サケマス稚魚の保全のためには,半数致死濃度であるイオン態Al 濃度0.13mg/l 以下にすることが求められ(橋本1989),これを第一段階の管理目標値とした。この理由として,現状の河川水中イオン態Al 濃度は西別川本流中流域で平均0.18mg/l であり,半数致死濃度0.13mg/l よりも大きいことがまず挙げられる(橋本1989)。ただし,上流が森林でふ化場が存在する西別川本流上流でもイオン態Al 濃度は平均0.13mg/l ある。つまり西別川では,わずかなイオン態Al の増加がサケマス稚魚に大きな影響を与えている可能性がある。

 そこで第一段階の管理目標値として合意できる最低限のイオン態Al 濃度として,西別川上流の実態の平均値および半数致死濃度であるイオン態Al 0.13mg/l を設定した。この時の河川水中酸可溶Al 濃度は100mg/l 程度であった(Fig.5-1)。この時の河川水中硝酸態窒素濃度は1.3mg/l 程度であり(Fig.5-2),人為的窒素投入量は80kg/ha が限度と考えられた(Fig.5-3)。この場合の乳量は年間約6300kg/ha と考えられた(Fig.5-4)。

 また,マイペース酪農運動による人為的窒素投入量は50kg/ha 程度でありこの場合の乳量は年間約5020kg/ha と考えられた(Fig.5-4)。

 現状の人為的窒素投入量の平均は113kg/ha,年間乳量は7732kg/ha であることから(Table1-5,Fig.5-4),第一段階の管理目標値以下を維持するために中投入化した場合,少なくとも人為的窒素投入量で3割減,年間乳量で2割減となった。低投入化した場合の減少率はより大きく,人為的窒素投入量で6 割減,年間乳量で4 割減となった。

 第一段階の管理目標値以下にする流域森林率は,40%程度と考えられた(Fig.5-5)。西別川中下流域および支流流域の流域森林率は29.4-2.1%であり(Table 2-6),第一段階の管理目標値以下にするためには流域森林率を増加させる必要があると考えられた。
 第一段階の管理目標値以下にする流域の草地土壌塩基飽和度は,70%以上必要と考えられた(Fig.5-6,Fig.5-7)。また,草地土壌塩基飽和度は,草地土壌交換性CaO によって直線的に増加する傾向があり(Fig.5-8),草地土壌塩基飽和度を70%以上にするためには,草地土壌交換性CaO を400mg/100g 乾土以上にする必要があると考えられた(Fig.5-8)。
 このように,第一段階の管理目標値を左右する土地利用および草地管理の要因として,流域の人為的窒素投入量,流域森林率,草地土壌塩基飽和度および草地土壌交換性CaO の存在が考えられた。そこで,これらが第一段階の管理目標値にどの程度影響しているかを次に検討することとした。
 流域の人為的窒素投入量および流域森林率は,河川水中硝酸態窒素濃度に影響を与えると考えられることから,流域の人為的窒素投入量をX1,流域森林率をX2,河川水中硝酸態窒素濃度をY として数値を標準化後,重回帰分析を行った(Table 5-1,Fig.5-9)。

 標準偏回帰係数を求めた結果,流域の人為的窒素投入量は0.11,流域森林率は-0.83 となり(Table 5-1),流域森林率の方が絶対値としての値は大きく,河川水中硝酸態窒素濃度は流域森林率の方に大きく影響されていることが示された。
 河川水中硝酸態窒素濃度および流域の草地土壌塩基飽和度は,河川水中酸可溶アルミニウムに影響を与えると考えられることから(越川ら2004),河川水中硝酸態窒素濃度をX1,流域の草地土壌塩基飽和度をX2,河川水中酸可溶アルミニウム濃度をY として数値を標準化後,重回帰分析を行った(Table 5-2,Fig.5-10)。

 標準偏回帰係数を求めた結果,河川水中硝酸態窒素濃度は0.50,流域の草地土壌塩基飽和度は-0.71 となり(Table 5-2),流域の草地土壌塩基飽和度の方が絶対値としての値は大きく,河川水中酸可溶アルミニウム濃度は流域の草地土壌塩基飽和度の方に大きく影響されていることが示された。
 河川水中硝酸態窒素濃度および流域の草地土壌塩基飽和度は,河川水中アルミノン反応性アルミニウムに影響を与えると考えられることから,河川水中硝酸態窒素濃度をX1,流域の草地土壌塩基飽和度をX2,河川水中アルミノン反応性アルミニウム濃度をY として数値を標準化後,重回帰分析を行った(Table 5-3)。標準偏回帰係数を求めた結果,河川水中硝酸態窒素濃度は0.21,流域の草地土壌塩基飽和度は-0.85 となり(Table 5-3,Fig.5-11),流域の草地土壌塩基飽和度の方が絶対値としての値は大きく,河川水中アルミノン反応性アル
ミニウム濃度は流域の草地土壌塩基飽和度の方に大きく影響されていることが示された。

 

 5.3.2.乳生産性と根室経済の関連
 地域内で合意形成が最も難しいと考えられる窒素投入量の抑制を入口に,窒素投入量の抑制度合いの変化による地域経済への影響について考えたい。
 「農業部門から各産業への生産物の販路構成額」は,第一段階の管理目標値以下を維持するために窒素投入量を削減した場合(以下中投入化とした),年間乳量で2 割減となることから,13 部門全体に現状の販路構成額割合が変化しないと仮定した場合,13 部門とも2 割減となることが予想された(Table 5-4)。減少額が大きいのは製造業であり,517 億4270 万円から422 億3610 万円に減少することが予想される。サービス業も減少額が大きく,11 億7970 万円から9 億6290 万円に減少することが予想される(Table 5-4)。
 「各産業部門から農業部門への原材料等の費用構成割合」は,第一段階の管理目標値以下を維持するために中投入化した場合,人為的窒素投入量で3 割減となることから,13 部門全体に現状の費用構成割合が変化しないと仮定した場合,13 部門とも3 割減となることが予想された(Table 5-5)。減少額が大きいのは製造業であり,27525.5 百万円から19497.1百万円に減少することが予想される。商業も減少額が大きく,7352.3 百万円から5205.2 百万円に減少することが予想される(Table 5-5)。
 「農業部門から各産業への生産物の販路構成額」「各産業部門から農業部門への原材料等の費用構成割合」ともに,マイペース酪農と同程度に窒素投入量を削減した場合(以下低投入化とした)の減少率,減少額ともに中投入化に比べて大きくなった(三友2000,吉野2008)。

化学肥料や濃厚飼料が増えていくと土壌はどうなるか(その⑤)農業と水産業の折り合いをどのように考える? その2
一覧に戻る

リターン

10,000


土と水を保全する研究成果2020

土と水を保全する研究成果2020

このプロジェクトで明らかになった研究成果・データを,支援者の皆様にご提供いたします。データの活用は特に制限を設けないこととします。メール添付をご希望の場合は、メールをご選択ください。郵送をご希望の方は、郵送をご選択ください。郵送でお送りします。

支援者
34人
在庫数
50
発送完了予定月
2021年3月

10,000


ニシベツ伝記(小説)

ニシベツ伝記(小説)

今までの研究成果を小説化してみました。
架空の根釧原野に存在する、付属短期大学を持つニシベツ実業高校を舞台として、地域の課題を生徒たちが解決していく、と言ったストーリーです。

支援者
1人
在庫数
99
発送完了予定月
2020年10月
プロジェクトの相談をする