プロジェクト終了報告

2017年09月30日

ベトナムからのご報告

ご支援を頂きました皆様へ

プロジェクトThreadsの代表を務めております東山です。

4月にスタートした今回のプロジェクトも、その後の5ヶ月の活動期間を得て、終了の時を迎えることになります。

改めまして、弊団体の活動に甚大なるご協力を頂き、誠にありがとうございました。お陰様で、弊団体がサポートしているベトナム貧困地域の女性たちは技術訓練を受けることができ、収入を高めることができました。お手元に届きました商品にはまだまだ瑕疵はあるかと思いますが、皆様への感謝を込めて一つ一つ作ったものには違いはありません。

【まとめ】

今回頂きました109万円は主にTaphin村、Hatay村、FVの三つの村の開発及び関連の職業訓練に使わせて頂きました。結果を先に申し上げますと、Taphin村では皮の上で直接刺繍することに成功し、一部材料の仕入れからロジスティックまで少数民族の女性たち自身で運用できるようになりました。Hatay村では、馴染みのない立体ビーズ刺繍をできるようになり、FVでは10種類以上の模様を織ることができるようになりました。お陰様で、Ipadケース9種る、立体刺繍バック3種る、立体刺繍iphoneケースに種類、ニット膝掛け、iphoneケース10種類、商品として完成することができました。

 

『Taphin村』

始まりー

それは人身売買に遭われた娘の母をたまたま取材していたことがすべての始まりでした。元々ザオ族に特別な感情を持っていたわけではなく、独特な民族模様の刺繍自体には感心したものの、深入りするつもりはありませんでした。しかし、人身売買事件は皮切りに、徐々に村のいろんな話を聞くようになり、気づいたらサパのザオ族をメインにプロジェクトを立ち上げていました。

 

問題と解決への道

なぜ”刺繍のIpadケースにしたの?、しかも革製”という質問をよく受けますが、その答えは何かと言いますと、”現地の既存の技術と文化を最大限に生かしつつ、競争優位性のあるものを作りたかったから”です。

僕が支援している少数民族の最大の問題点は、型にはまったものしか作れないことです、それがほんの少しの変化ですら彼女たちにとっては大変難しいことです。恐らく世界中のいろんなデザイナーさん、メーカーさんがこれまで色んな試みをされて、少数民族と一緒に商品開発をしようとしたのであろう。しかし、現在も継続しているところは少ない。なぜなら、自分の名前ですら書けない彼女たちに、デザイン図を渡して、”はい、このデザイン通りに作ってください”とお願いしてもうまくいけるはずがないからです。

そのため、全く同じ刺繍でも、色の組み合わせを変えるだけでもすごく大変です。刺繍模様の大きさを変えることはなおさら不可能に近いと言っても過言ではない。

そこはどう解決したかと言いますと、まあ色んなところで彼女たちが理解しやすいように工夫しました。例えば、すべてのプロセスを分解し、できるだけ見て触って分かりやすいように紙のマニュアルを作るなど工夫をしました。結論から申し上げますと、特別な策はなく、地道に毎週足を運んで、交流を深めるのみです。

ハノイから深夜バス8時間をかけてやっとたどり着く村ですが、多い時は週2で行ってます。そのくらいの頻度を行く見えないことが見えてくるようになります。

 

女性への差別と暴力—

村の女性と関わりを持った最初の頃はみんなに歓迎されました、老若男女問わずに。しかし、仕事の量が増えるにつれ、一部の男性が不満を持つようになりました。それはなぜかと言いますと、女性が家事をする時間が減ったからです。それは立場を換えればわからなくもないことです。これまで、家事も仕事も奥さんに任せて自分は楽に生きていたのに、現在は自分も家事を手伝わなければいけい。にも関わらず、その稼いだお金は奥さんが握っているため、短期的に見て自分にとって何一つ得したことないことになる。そのように一部の不満が暴力に変え、一時期問題になりました。結局、村のリーダーと一緒にこの男性を説得し、落ち着かせました。

この問題を男女不平等というカテゴリで片付くのは簡単だが、それだとその男が全部悪いってことになります。しかし、それを既得権益層とその他の闘争という風に見れば、また別の世界が見えてくるでしょう。

単に男尊女卑はいけないという思想論を繰り返すだけではなく、山岳という閉ざされた環境の中に、いかに競争と公平な利益分配を作り出すことも問題解決にとても重要だと思います。

 

結果

現在ではローカルメンターを中心に、約5人の製造のグループで回っております。冒頭では申し上げたように、彼女たち自身で材料の仕入れから完成品をハノイにある弊社まで 輸送できるようになりました。また、お互いのクオリティチェックの体制も出来つつあります。

3ヶ月の間に、5名の女性を支援し、22,466,000VNDの賃金を支払いました。それは一人月平均1,497,000VNDとなり、彼女たちの元々の平均月収を足すと、3,497,000 VNDになり、ベトナムの平均給料の約2万5千円(5million VND 2016 data )に近づくことが出来ました。

 

『Hatay 村』

始まりー

場所はハノイの郊外にあるHatayという村。そこは本プロジェクトの本文にも記載させていただきました通り、“写真絵”を作ってる場所でもあります。幾つかのリサーチトリップを行った結果、“写真絵”の作り手はベトナムそして中国に大勢いらっしゃることが判明しました(大勢と言っても、全体人口と比べれば微々たる数にはなりますが、需給バランスそして業界の集約性を考えれば確かに“大勢”かもしれません)。そして作り手の能力次第ですが、よりリアルの“写真絵”を作るためには抜群の色彩センスと長年の経験が必要であることも間違いない。

ではなぜ、そんな職人技を持ちながら給料は低いままなのか?それは以下の例えなら分かって頂けるだろう。一枚の綺麗な写真を前に、大抵の人はその写真の撮り手のセンスや場所選びの良さを褒めるだろう。逆に、プリンターの良さを褒める人はどのくらいいるのでしょう、きっと極少数にとどまるに違いない。“写真絵”も同じで、どうしても作り手よりは絵の設計者に価値判断の軸を置く人が多いようです。それは70年代に流行ったスーパーリアリズムと一緒で、写真みたいですごいね>なら写真でよくない?と多くの人はそう捉えて、人が機械に果敢に挑戦し、負けた一例である(もちろんスーパーリアリズムの元々の思想は機械に挑戦することではないが)。

その技術をうまく生かして、もっと機械と差別化できるものにできないか。そう考えて私は色々動き始めました。

問題と解決への道

上記の理由と弊社が提供できるバリューアドを考えた結果、写真絵を諦めて、より機械で真似できない近年ブームになりつつあるフランスの立体刺繍を教えることにしました。

 

問題1、そもそもフランス刺繍なので、アジアでそれをまともにできる人が少ない。少ない故に、賃金の値段は高い。一人の”先生”を雇って、何ヶ月か教え込むことはまず無理でした。

問題2、歩留まりが悪い。繊細な手作りものなので、一つ一つに大変な注意を払う必要があり、一歩でも間違えれば全体のバランスが悪くなる可能性がある。要は、ちょっとだけ雑に作れば、”手作り満載”のアマチュア作品になりかねません。そのため、この何ヶ月間はひたすら作り直し作業を行っていました。

問題3、材料管理。個人レベルの共同作業になると、どうしても管理が怠ってしまいがちです。誰が誰に何をどのくらい渡したかのトラッキングがなかなかできないのがザ・ローカルの特徴です。

 

問題1は結局僕自身も長い時間をかけてフランス刺繍を練習し、問題指摘くらいの基礎を身につけました。ちなみに、刺繍というのは車の運転と一緒にです、理論的な部分はすぐ習得できますが、本当に上手くなるためには長年の経験が必要です。

問題2と3は習慣・意識による部分が多いです。もちろん飴と鞭、人を送り込んで時間をたくさん使えば状況は良くなるでしょう。しかし、”静かな村を規律正しい、ある意味で生活と仕事の分離がはっきりした工業社会に変えるべきなのか?私にそんなことする資格があるのか”その疑問を常に自分に問い続けました。結論が出ないまま、プロジェクトは進行し続け、状況もだいぶ良くなりました。この種の問題は継続的に彼女たちと一緒に考えていく所存です。

結果

現在ではローカルリーダーを中心に、約4人の製造のグループで回っております。現在3種類の商品を作れるようになり、品質も安定しております。

3ヶ月の間に、4名の女性を支援し、16,600,000VNDの賃金を支払いました。それは一人月平均1,383,000円となり、彼女たちの元々の平均月収を足すと、3,383,000になり、ベトナムの平均給料の約2万5千円(5million VND 2016 data ) に近づくことが出来ました 。

 

『FV』

 始まりー フィッシャービレッジとの出会いは特別なきっかけではありません。そもそもそこはハノイのど真ん中あり、ボランティ界では誰も知る場所です。特に日本人のボランティアが挙って必ずというくらい訪れる場所です。しかし、現地の人にとってそこは犯罪者の古巣でとても危険な場所で、なぜ行くかとても理解ができない場所です。僕もその日本人ボランティアの一人として、早い段階からその村を訪ねました。犯罪者の面影はありませんが、狂犬に囲まれるリスクは多いにあるところです(笑)。

問題と解決への道

 

FVの一番の問題点はそこの人々にはなにか特徴があるわけでもないし、特段すごい技術を持ってるわけでもないが、いろんな団体から何となく暮らせていける程度の支援を受けていることにあります。私からして見れば、一番悩ましいケースです。 なぜなら、何となく暮らせるため特に頑張らなくても暮らせていけます、しかし大きい病気になると確実に死に至るパターンです。死ぬって言葉は別に冗談ではなく、頻繁に起きている現実です。そして親を失った子供たちはまた再び都市の片隅で彷徨い、負の連鎖です。

 

私はそのような現状を見て、まずは職業訓練だと思いました。何か技術を身につけないには何も始まらない。もともと別の団体のプロジェクトで少しだけニットをやったこともあって、私もニットにフォーカスして、ニットクラスを開きました。ベトナム人の先生を雇い、週二回のクラスを続けました。もちろん、いろんな団体から支援をもらってる分、モチベーションも高くない。色々葛藤はありましたが、最終的には練習すればお金を出すという形をとりました。

 

結果

現在ではローカルリーダーを中心に、約3人の製造のグループで回っております。基礎のテクニックをすでに習得し、現在10種類の商品を作れるようになました。

4ヶ月の間に、3名の女性を支援し、9,054,000VNDの賃金を支払いました。それは一人月平均753,000VND円となり、彼女たちの元々の平均月収を足すと、4,753,000VNDになり、ベトナムの平均給料の約2万5千円(5million VND 2016 data )とほぼ同水準になります。

 

収支状況

 

これからのThreads

Threadsはこれから11月をメドに自社ウェブサイトにて一般販売を開始する予定です。より多くの受注を頂いて、彼女たちにより安定の収入が得られるように努めてまいります。

それと同時に、商品開発と職業訓練を継続し、皆様により良い商品をお届けできるように、さらなる磨きをかけていきます。

今後、弊団体の活動及び販売状況(ウェブサイト完成情報等)は弊団体のFBページにて随時更新しておりますので、

https://www.facebook.com/threads.jp/

そちらも合わせまして、今後ともご支援とご愛顧のほど

よろしくお願い申し上げます。

 

Threads代表

東山 豊