津波で壊滅した徳泉寺を救った「はがき一文字写経」恩返しを今。

昨日で東京五輪まで1年とか。

正直言って、復興半ばの被災地に暮らしていれば、ほとんどその実感はない。復興五輪などとも言われるが、現実はそう甘くはない。それでも、一昨日東京五輪のゴールドパートナーになっている某生命保険の外交員がみえて、聖火ランナーを募集しているので、是非わが社のサイトから応募してみませんかと誘いを受けた。実はここ山元町も聖火コースになっている。沿岸部を走るようなので、宮城県最南端にある東日本大震災遺構の中浜小学校や徳泉寺のあたりは、コースに適しているだろう。

そして中浜小学校のすぐそばには、東京五輪を意識したわけではないが、大きな五輪塔が建っている。これは大震災直後、日本石塔展覧会事業組合が「鎮魂・東日本大震災日石展」を主催し、その入賞作品を各地の被災地に贈り、追悼の場を提供したい願っていた。

〈写真：千年塔と中浜小学校、震災当時の墓浜墓地〉

津波で壊滅した徳本寺の中浜墓地跡も選ばれ、古代型五輪塔が建立された。茨城県の石工さんが、奈良県西大寺にある日本一高い五輪塔といわれる叡尊塔を等身大モデルにして制作したものだ。約3.8メートルある。

千年に一度といわれる大震災だが、千年先にもそのことを伝え続け、復興の礎になるようにと「千年塔」と名付け、平成25年3月に開眼法要を行った。

叡尊塔は、鎌倉時代の真言律宗の開祖といわれる叡尊を顕彰するために建てられた。叡尊は宗教者ボランティアの草分けのような存在である。ハンセン病者の救済や、橋や港湾の整備、寺社の修造など、社会救済事業に尽力したのである。興法利生（仏法を興し衆生を救済する）を掲げて、慈悲心の具現化に心血を注いだ方である。

そのような尊い方を祀る五輪塔と同じ型の塔が、この被災地に建つ意義はあるということで、現在多くの方にお参りいただいている。みちのく巡礼宮城第三十三札所でもある。復興五輪というなら、是非開催までに、これにて復興完了と宣言できるように、日本国中で復興に向けて、心をひとつに寄せていただきたい。

東京五輪まであと1年、そして徳泉寺復興クラウドファンディン終了まで、あと6日。最後まで応援をよろしくお願いいたします。

合掌