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貧困・格差と闘う思想家ヤニス・バルファキスの名作を翻訳出版したい!

白崎一裕(那須里山舎)

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貧困・格差と闘う思想家ヤニス・バルファキスの名作を翻訳出版したい!

支援総額

1,706,000

目標金額 1,500,000円

支援者
172人
募集終了日
2021年2月22日
プロジェクトは成立しました!
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2021年02月01日 15:51

バルファキス&チョムスキー ニューヨーク対談⑤

バルファキス&チョムスキー ニューヨーク対談 ⑤

 

ニューヨーク対談 財政民主化への道 ④

ヤニス・バルファキス×ノーム・チョムスキー

2016416日 ニューヨーク公共図書館(NYPL

https://www.nypl.org/audiovideo/yanis-varoufakis-noam-chomsky

 

ニューヨーク対談のさらに続きです。後半部分のフロアの質問者に応答している部分を掲載いたします。この対談は2016年のものですが、今回(2021年)の米国大統領就任式で、その「ファッション」が大きな話題となった「サンダース議員」のチョムスキーさん評とバルファキスさんのヨーロッパの今後についてが語られます。

―――――――――――――――――――――

(前回から途中を略しています)

 

質問者4 まず、お二人に面と向かって質問させていただけることを光栄に思います。ヤニスさんに質問です。「ギリシャ政府は悲劇に見舞われており、難しい状況下で最善の選択をした。難民問題に加え、そもそも[覚書に署名しなかった場合は]ユーロ脱退が確定していたからだ」―この見解にあなたは同意しますか。また、チョムスキーさんにも質問です。アメリカの政治におけるバーニー・サンダース現象について見解をお聞かせください。サンダースがアメリカの政治の未来に対してもつ意味は何でしょうか。

 

チョムスキー サンダースはとても興味深い現象だと思う。彼は誠実で真摯な人物だ。政治の世界では滅多にお目にかかれない存在だね(会場笑)。おそらく世界中を探しても[訳注:バルファキスに目をやる]そのような存在は2人しかみつからないだろう(会場笑+拍手)。ところが、サンダースは急進的(ラディカル)で極端な政治家だと思われている。これもまたなかなか興味深い解釈だ。サンダースは要するに本流のニューディール派民主党員だ。アイゼンハワー大統領ならばサンダースの政策提言に少しも驚かなかっただろう。実際、アイゼンハワーは「ニューディール政策を受け入れない人はアメリカの政界にふさわしくない」とまで言っている。それが今日では急進的だということになっている。サンダースの政策提言についてもう一つ興味深いのは、それがもうずっと長い間世論が支持してきた政策と一致しているという点だ。税制にしても、医療保険制度にしてもそうだ。例えば、彼の国民医療保険制度案を思い出してほしい。これはアメリカ以外の先進国にはほぼ例外なくある制度で、アメリカと同等かそれ以上の成果を約半分の医療コストで実現している。ところが、どうやらこれも「急進的」らしい。しかしこれはアメリカの人々の大半が長年支持してきた政策案なんだ。レーガン政権にまでさかのぼってみればわかる。現時点では、世論調査をみてみるとアメリカの人々の約60%がこれを支持している。オバマ大統領が「医療費負担適正化法」(Affordable Care Act、通称オバマケア)を採決させたとき、そこには公共オプション(public option)が含まれていた。覚えているかな? ところがそれは後に撤廃された。国民のおよそ3分の2が支持していたにも関わらずね。

   今度はレーガン期にさかのぼってみよう。アメリカの人々のおよそ70%は、医療保険は当然保障すべき権利であり、憲法でこれを保障すべきだと考えていた。なんと当時の国民の40%はすでにこれが憲法で保障されているものだと思っていたらしい(会場笑)。それほど当然の権利だと思われていたわけだよ。税制に関しても似たような傾向が見て取れる。サンダースはアイゼンハワー期にはもはや常識的だった政策を提言し、国民の大半―場合によっては大多数―が彼の政策を支持している。それにも関わらず、サンダースは「急進的」で「極端」だとして黙殺されている。ここから、新自由主義時代における政界の右傾化が見て取れるだろう。あまりにも右傾化が進んだため、現代の民主党員は過去に「中道派共和党員」と呼ばれた人たちとほぼ同じ立場をとっている。現代の共和党員に関してはもはや臨界点を突破しているといっていい。もはや共和党は正統な連邦議会政党として機能していないからね。サンダースは主流派民主党員を少しだけ進歩的な方向へ動かした。それはクリントンの発言をみればわかる。それに、サンダースはたくさんの若者を動員した。「もうこれ以上黙って承諾を続けるつもりはない」という立場を表明した若者たちだ。これが持続的で組織的で活動的なうねりとなっていけば、アメリカは大きく変わる可能性がある。今回の選挙で一気に変わることはないかもしれない。しかし、長期的には変革の可能性がある(会場拍手)。

 

バルファキス もうひとつの質問に答えるにあたって、まず言っておきたいのだが、どうか僕の答えを攻撃として受け取らないでほしい。その上で言うのだが、あなたのその質問には、「他に道はない」(There is no alternative、通称TINA)というあの命題が、最も有毒な形で埋め込まれている。「降伏しなければもっとひどいことになっただけだ」などという考えは、僕らに戦い続けるように命令した62%のギリシャ国民への侮辱でしかない。それは政権を取った僕らへの侮辱でもある。あなたの言葉がもし正しければ、僕らは単にナイーブだったということになるからね。僕らが「理性と人徳の力を使えば債権者トロイカを説得できるだろう、債権者に情けをかけてもらえるだろう」という甘い考えを胸に交渉に臨んだとでもお考えなのだろうか。だとしたらそれは間違いだ。僕らはそんなにナイーブではない。2012年から2013年にかけて、僕はチームの一員として数々の議論を重ねてきた―これは後の交渉チームとなり、僕らはこの少数精鋭チームを「戦時内閣」(war cabinet)と呼ぶようになった。銀行閉鎖通告という、政権交代初日に想定される事態への対抗策を僕らは議論し、反撃を計画した。今日はこれについて詳しく語る時間がないから、詳細は省くことにする。他の場所ですでに長々と語ったことがあるテーマでもあるからね。要するに、僕らはECBが保有する債券を償却するつもりでいた。ギリシャの法律に則ればわりと簡単にできることだ。アルゼンチンのような惨事に陥る心配もない。ギリシャの法律に即して償却するわけだから、ECBが異議申し立てをする場合にはギリシャの法廷で争う必要がある。ギリシャがルクセンブルクやロンドンやニューヨークへ引きずり出される心配はなかったわけだ。一度ギリシャ国債が償却されてしまえば、量的緩和政策が大きな打撃を受け、かなりの確率でユーロ通貨そのものが破綻しただろう。よって、もし先方がギリシャの銀行を閉鎖した場合は、こちらにも反撃に転じる準備が整っていたんだ。銀行制度全体が瓦解したとき(すなわち銀行がもはや決済手段として機能しなくなったとき)に備えて、並行決済システム(parallel payment system)も準備していた。僕らは一致団結していた。僕がギリシャの人々の前に立って僕に投票するよう呼びかけたのも、ひとえにこうした下準備があったからだ。ユーログループに行ってきれいごとを言い、あとは天に任せようなどという態度で選挙に臨んだのではない。ところが、僕らのチームは初志を貫徹しなかったのだ! それを「他に道はなかった」などという風に解釈するのは、蛮行(barbarism)の他に道はないと言うのと同じだ。僕はそのような見方には断じて賛成できない(会場拍手)。

 

司会 ところで、ここからはいくつかの質問をまとめるという形で進めても良いでしょうか。お二人には3つの質問に一度に答えていただきましょう。質問を3つしてください。

 

バルファキス 一人当たり3つという意味ではないからね(会場笑)。

 

司会 最初の方が1つ、次の方が1つ、そしてそのうしろの男性の方が1つ、それぞれ質問をしてください。彼のうしろに並んでいる方々は…… [自分の番がまわってくるだけの時間が残っているはずだという]楽観に敬意を表します(会場笑)。

 

質問者5 今日は本当にすばらしいお話を聞かせていただきありがとうございました。お二人に質問です。スペインの情勢についてさきほど話しておられましたが、4ヶ月も政権確立ができない状態が続いた末、626日に新たな総選挙が開催されることがつい今日決まりました。ヨーロッパにおける理念の闘争(battle of ideas)が迎えたこの重要な局面で、スペインの人々やポデモス党に向けてメッセージがあればお願いします。ありがとうございました。

 

質問者6 生き生きとしたお話をありがとうございました。緊縮政策はもはや破綻しています。経験的にも知的にも破綻した政策です。それでも、ヨーロッパの人々は相変わらず緊縮政策を押し付けられています。今夕、あなた方はこれをドイツとフランスの対立を軸とした政治闘争として解釈しましたね。しかし、これは党派や国家の間での争いの外にいる人たちが、ドイツを含む欧州の核の部分にレーガン=サッチャー式の資本主義体制を無理矢理根付かせようとしているのだ、とも理解できると思うのですが、いかがでしょうか。終局が近づくにつれて、ドイツの年金制度はどうなってしまうのでしょうか。

 

質問者7 アイルランドやスペイン、イタリアなどの、ヨーロッパ周縁諸国に関する質問です。今挙げた国々は昨年のギリシャ債務危機であなた方を支持しませんでした。それについてお聞かせください。また、こうした国々における経済的な展望についてもご意見をお願いします。

 

チョムスキー スペインの人々へのメッセージはこれだ[訳注:聴衆に向けてDiEMのピンバッジを掲げてみせる](会場拍手)。これ[民主主義]のために一票を投じれば、きっとこれ[民主主義]を実現できる。デイヴィッド・ヒュームの言葉を覚えておいてほしい。権力は承諾を拒む人々の手にある。これは本当に大切なことだよ。

 

バルファキス これについてはこれ以上僕が言えることはない(会場笑)。残りの2つの質問に一緒に答えたいと思う。スペインの人々について言えることは、イタリアやフランスの人々、ひいてはドイツの人々についても言えるからね。僕らはみんな同じ問題を共有している。「ヨーロッパは北と南に分かれていて、アリたちはみんな北部へ集合しており、キリギリスたちは南部とアイルランドへ集まっている」などという見方があるみたいだけど、実に奇妙な考え方だといわざるを得ない。ヨーロッパ全土にアリとキリギリスが混在しているのが現実だ。2008年までの年月で何が起こったのかといえば、北のキリギリスと南のキリギリスが目を見張るようなすばらしい結束を示しつつ負債ドリヴンなお祭り騒ぎをやってのけた。そこには色々な人たちが含まれていた。銀行家たちやいかがわしい連中もいれば、EU予算を使って無意味な高速道路をつくったり、ギリシャに巨大なカジノをつくったりした奴らもいた。この人たちはみんな超大金持ちになった。これがキリギリス同盟だ。アリたちはというと、一生懸命働いていたにも関わらず、好景気時にさえも食べていくのがやっとだった。キリギリス帝国が音を立てて崩れたとき、これの救済をさせられたのは北と南のアリたちだった。この狂った社会体制を変えるために、北のアリたちと南のアリたちは今こそヨーロッパの名の下に一致団結すべきなんだ(会場拍手)。

(以上)

バルファキス&チョムスキー ニューヨーク対談 ④深く御礼申し上げます!プロジェクトを達成いたしました!!
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3,000

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那須里山舎と『世界牛魔人ーグローバルミノタウロス』翻訳出版プロジェクトを応援してくださる方に、㈱那須里山舎より心を込めて感謝のお手紙をお送りいたします。

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出版プロジェクトを応援しつつ『世界牛魔人ーグローバルミノタウロス』を本棚に置きたいという方へ。那須里山舎から本書を一冊、発売日前にお送りします。あわせて、感謝のお手紙も同封いたします。

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がっつりと応援しつつ制作チームと共に出版を祝いたいという方へ。那須里山舎より以下の三点セットをお送りいたします。
1、ご賛同者様限定先行出版記念イベントの招待状(オンライン開催を予定しておりますが、開催日程については調整中です)
2、『世界牛魔人ーグローバルミノタウロス』翻訳本一冊(発売日前)
3、那須里山舎より感謝のお手紙

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 <*注意事項:このリターンに関する条件の詳細については、リンク先
(https://readyfor.jp/terms_of_service#appendix)の「リターンに関するご留意事項」をご確認ください。>

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