脳卒中者が使用する装具を管理する新しいアプリケーションを開発したい

▼自己紹介

　NPO法人FSA（エフエスエー）という理学療法士が中心に運営している非営利団体で、理事長をしております田代耕一と申します。NPO法人FSAでは、「リハビリテーションを通した社会貢献」という理念を掲げ、「人と人との繋がりを広げ、支え合う喜びをカタチにしたい」というテーマで事業を展開しております。

　私どもは、10年ほど前から「装具連携の会」という組織を福岡市で発足し、脳卒中片麻痺の方が使用される下肢装具のフォローアップの重要性を説き、医療従事者を対象に装具の作り方、使い方、修繕の仕方など装具にまつわる研修会を実践して参りました。

▼プロジェクトを立ち上げたきっかけ

　脳卒中片麻痺の方は、弛緩性麻痺、痙性麻痺といった後遺症により足関節の変形をきたすことが多く見受けられます。そのため、足関節の良肢位保持を保つ目的で下肢装具を用いることがあります。しかし、下肢装具は靴などと同様に消耗品であり、経年劣化を生じたり、足のむくみなどで合わなくなったりと作製した後に問題が生じることがあります。そこで、装具の作製後にフォローアップを行っていく必要性があります。

　大抵、装具は医療機関で処方、作製されることが多く、劣化する頃には医療機関を離れていることがほとんどです。そのため、相談窓口が分からずに破損した装具を使用しケガをしたり、装具を履かずに足が変形したりとフォローアップがなされないことによる弊害も生じています。その主たる原因は、装具を処方している医療機関（装具製作所を含む）、装具を使用しているユーザー、生活場面で装具ユーザーに関わっている従事者が装具のことについて連携を取れていない現状があります。

　本プロジェクトでは、主たる原因と考えられる連携を円滑にするためのアプリを開発し社会で実装していくことが目的となります。

▼プロジェクトの内容

　装具作製後に装具の情報を一括管理できるアプリを開発し、医療機関、装具製作所、装具ユーザーで装具の情報を共有します。アプリ内では、装具を製作した日付、耐用年数に応じてフォローアップを促す通知機能、装具の相談窓口の情報など装具ユーザーにとって必要となる情報提供がなされます。また、装具ユーザーはアプリ内から相談窓口へ問い合わせることが可能となります。この装具情報を管理するアプリを情報共有ツールとして使用し、地域社会において装具でお困りの方々にとって有意義なプロジェクトとなればと思います。

▼プロジェクトの展望・ビジョン

　今回のプロジェクトを通じて、これまで「装具連携の会」で目指していた装具作製後のフォローアップ確立に向けて、アプリという情報管理ツールが社会に流通すること情報の管理、共有を円滑に行うことが可能となる。つまり、脳卒中の後遺症に悩む方々にとって、医療機関から離れたあとも支援が可能となる。