世界初、レーザ視覚支援機器を盲学校に届けたい！

  2014年夏の筑波技術大学にて、ロービジョンの学生さんにレーザ網膜投影アイウェア試作機を使って頂き、「見える」と言っていただきました（新着情報[2014年夏の筑波技術大学]をご参照ください）。当時、私たちに視覚障害や視力についての医学的知識は全くなく、この出来事の意味するところを未だよく分かっていませんでした。眼疾患について学び始め、分かってきたことを今回は書きたいと思います。

注：私は物理工学博士であり、医学の専門教育を受けているわけではなく、QDレーザの薬事責任役員の立場と理解での記述であることをご容赦ください。専門家の方からの御意見、御指摘を歓迎いたします。

 

　私たちの眼疾患への理解は、要約すると次のとおりです：

１）眼科の疾患はその多くが、加齢に従って発症する・進行性である・障害が不可逆であるという特長を有するため、早期に発見し、有効な治療を施すことが最も重要な対処法である。

２）大きく分けると、前眼部（角膜、水晶体等）、硝子体、網膜、視神経の部位別に疾病や症状がある（図１、表１）。

３）部位別の発生率は、１０万にあたり数千人（数％）から数万人（数１０％）に上り、私たちの多くがいずれかを発症する（表１）。

 

図１　眼疾患と症状。表１の疾患とそれによって現れる疾病や症状

（混濁、屈折異常、網膜症、神経異常）を目の断面のイラスト上に記載したものです。

 

表１　眼疾患の部位別発生数

注：表中の数値は、当社が依頼した調査会社であるLampe & Companyが、各国の政府機関や調査機関の発行した学術論文等を参照して算出したものです。「10万人当たりの出現数」及び「部位別合計」は、複数の対象地域で実施された一般的な調査を反映した数値です。

 

４）生来の疾患に加えて、無自覚や医療体制の不備によって、適切な治療を受けずに病気が進行したことによるロービジョン、ブラインドの方々は２．５億人に上る.

（ロービジョン、ブラインドの定義は、新着情報[ロービジョンとブラインドの新しい定義：RETISSAのミッション]をご覧ください。）

 

表３　視覚障害（ブラインド、ロービジョン）の年代別世界人口

https://www.who.int/blindness/GLOBALDATAFINALforweb.pdf

 

　　当初想像していた以上に、眼疾患は身近な病気であることが分かりました。目の寿命は60-70年とも言われているそうですから、人生１００年時代において「見え方の維持」は社会的課題と言えるでしょう。　

　以上の理解のもとで、次の問題設定は、レーザ網膜投影は、

　・疾患ごとに、どのような視力・見え方の改善が可能か？

　・短・長期的に安全であることを証明することは可能か？

を医学の見地から明確にすることです。2015年６月に始まった欧州エッセン大学病院訪問は、この答えを得ることを目的にしたものでした。並行して国内でも活動を開始することになります。

注：当社のレーザ網膜投影機器は、試作品段階から、クラス１という、目に直接入れても安全と分類されるレーザを使用しています。

 

株式会社QDレーザ　代表取締役社長　菅原充４