突如、八丈島に現れたザトウクジラ。変化する生態系の謎に迫る!

突如、八丈島に現れたザトウクジラ。変化する生態系の謎に迫る!

寄付総額

2,127,000

目標金額 1,500,000円

寄付者
152人
募集終了日
2018年12月21日

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2018年11月22日 12:33

くじら小話:鯨類の分類について

 ご覧いただきありがとうございます。

 クラウドファンドでは合計497,000円のご支援を頂いており、目標の33%に到達しました。皆さまの温かいご支援とご声援に心から感謝いたします。

 研究室では、調査の準備に授業にゼミに…と後輩たちがあわただしくしております。今週末からの八丈島沖調査でも良い発見があることを期待するばかりです。

 

 今回は鯨類を分類学的な観点から皆様にご紹介しようと思います。

(※この話題を多くの方に身近に感じていただけるように、簡潔な表現をしましたので厳密な言い表し方とは少し異なる部分もあることをご了承ください。)

 

 まず、大きなくくりから考えると鯨類は「哺乳類の動物」ですね。これを分類学的に言いますと、「動物界(Kingdom Animalia)」で「脊索動物門(Phylum Chordata)」の「哺乳綱(Class Mammalia)」という分類になります。図1のように段々と鯨類が絞り込まれてきています。この段階まで、私たちヒトも鯨類も同じグループに分類されています。

図1 分類の概略を示す図

 

 哺乳綱の次に、「鯨目(Order Cetacea)」もしくは「鯨偶蹄目(Order Cetartiodactyla)」という分類に鯨類が含まれ、霊長目のヒトとは別の区分になります。

 「『もしくは』というのは?」と疑問に感じる方も多いと思います。小・中・高校と勉強をしてきますと、昔から積み重ねられてきた研究が生き物の分類に「これだ!!」という揺るぎない答えを出していると思い込んでしまうものです。しかし、常に最新の研究によってこれまでの考え方というのは更新されていきます。

 分類学も同様で、遺伝子の分析によって鯨類は偶蹄類(ウシやキリンの仲間)に近い種類だということがわかりました。その中でも、鯨類はカバに近いことが示されています。

 

 クジラとカバ…見た目、つまり形態からこの2つの生き物を結び付けるのは難しいのですが、遺伝子の分析手法が開発されたことで、このようなつながりが明らかになりました。この発見に基づいて、これまで別々にされていた「偶蹄目」と「鯨目」を合わせ「鯨偶蹄目」と改めるべきではないか、という意見が出ました。

 

 鯨目とすべきか鯨偶蹄目とすべきかここで結論を出す必要はありませんので、ここでは両方の考え方を紹介した上で、一般にイルカやクジラと呼ばれる生き物の分類についてさらに考えていきます。余談ですが、生き物をどう分類するか、は非常に哲学的なテーマだと個人的には考えています。膨大な情報をもとに個々の生物の違いや共通点をどのように考えて整理していくのか…という問題は難しく、それだけにやりがいのある研究テーマです。話すと長く深く止まらない分類学について、このコラムで取り上げたことは無謀だったと感じてさえいます。

 

 さて、イルカやクジラと呼ばれる仲間は、2つのグループから成り立っています。「ハクジラ類(Odontoceti)」と「ヒゲクジラ類(Mysticeti)」です(図2)。分類を示す用語は「鯨目」の立場を取るか「鯨偶蹄目」の立場を取るかで違ってしまうので、ここでは「類」というあいまいな表現を取りました。

図2 ハクジラ類とヒゲクジラ類の特徴を示す図

 

 ハクジラ類は水族館で見ることのできる、いわゆるイルカを含む分類です。代表的なところではシャチもハクジラ類に含まれます。この種類の特徴は、口の中に歯を持つことです。

 クジラと言ったときに、お腹と口にシマシマのあるイラストをイメージする方が多いと思いますが、これはヒゲクジラ類の特徴です。お腹のシマシマは畝(ウネ)と呼ばれる部分で、必ずしもすべてのヒゲクジラ類に明瞭に存在するわけではありません。口のシマシマはクジラヒゲと呼ばれる器官で、私たちの爪と同じような成分でできており、細かい毛の生えた三角形の板のような形をしています。

 

 今回のプロジェクトの主役、ザトウクジラはヒゲクジラ類に含まれます。本プロジェクトのトップ画像も、よ~く見ると…

 

図3 ザトウクジラの腹面に確認された畝を黄色く強調した図

 

 が確認できました(図3、黄色の点線)。ザトウクジラはヒゲクジラ類の中の「ナガスクジラ科(Family Balaenopteridae)」に分類されます。このナガスクジラ科の仲間は、口を大きく開けて海水ごと餌を口の中に入れてから、餌生物(オキアミや群れを作る魚)だけを飲み込みます。畝の伸縮性を活かして口の中の容積をめいっぱい拡げ、クジラヒゲを使って海水と餌生物とをより分けます。

 ヒゲクジラ類の形態的な特徴、畝とクジラヒゲは食事をするときに役立つ器官だったのです!

 

 ヒゲクジラ類にはナガスクジラ科の他にも、セミクジラ科、コセミクジラ科、コククジラ科が分類されており、食事の方法や食べている生物がナガスクジラ科とは異なります。そのため、畝やクジラヒゲの形態にもグループによって特徴があります。

 

 科より細かい分類は属、種と続きます。ザトウクジラは「Megaptera属」に含まれます。ザトウクジラという種を表す学名はMegaptera novaeangliaeと書きますが、これは前半部分に「属」も示しています。これで種の分類単位まで到達しましたので、今回はここで小話を終わりにします。

 

 最後になりましたが、ここで説明したことは分類学のごく一部で、他にもさまざまな説や分類方法があることを述べておきます。難しいところもあったかもしれませんが、このコラムで、ザトウクジラという生き物について、そして研究の世界について、身近に感じていただければ嬉しいです。(廣瀬)

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