プロジェクト終了のご報告
支援者のみなさま、こんにちは。
生命(いのち) のメッセージ展 in 桐生 実行委員長の長岡昇汰です。
このたびは、プロジェクトへのご支援、本当にありがとうございました!
みなさまからのご支援により、8月16日(金) ~ 22日(木) に桐生市市民文化会館 展示室にて、『生命のメッセージ展 in 桐生 2019 もういちど、あなたと。』を開催することができました。
昨年11月 ~ 12月にかけて みなさまからご支援をいただいたクラウドファンディングにはじまり、2度のプレ・イベント、そしてプレ公開を経て、たどり着いた本開催。
6日間(20日は休館日だったため) の日程で、延べ 982名もの方々にお越しいただくことができました。
テレビのニュースや新聞各社にも取り上げていただき、予想を超える反響に目頭が熱くなりました。
これもひとえに、応援してくださった みなさまのおかげです。
心から感謝申し上げます。本当に、ありがとうございました!
いのちの回廊 ー 桐生だけの特別なメッセージ展
今回のメッセージ展は、会場を大きく4つの「Phase(フェーズ=段階、局面)」に分け、テーマごとにメッセンジャーを分けて配置しました。
今回のテーマは「他者の痛みや見えない部分を想像すること」。
そして「悲しみや痛みに寄り添いながらも、前向きに生きようという気持ちになってもらうこと」でした。
テーマごとにメッセンジャーを分けて展示し、順路(ストーリー)をつくることで、私たちの伝えたいことがより明確になるのではないか、と考えてのことでした。
それぞれの「Phase」のテーマは以下の通り。
11年間にわたる『生命のメッセージ展』と その参加ご家族(犯罪被害者ご遺族) との関わりをとおして、私が大切だと実感したことです。同じ社会において、さまざまな価値観や考え方の異なる人がともに生きていくうえで大切なことでもあると思っています。
・Phase1 覚えていること
・Phase2 目をそらさない
・Phase3 明日(あす) の光をうけて
・My Phase 想像し、共感して生きる
大切な人を覚えていること
最初のテーマは「覚えていること」。
かけがえのない、たったひとりの存在として、誰かのことを覚えていること。
そのことがどれほど大切か、私は参加ご家族との関わりをとおして実感することができました。その経験は、自分が同じように かけがえのない存在として覚えていてもらえることの嬉しさをも実感させてくれました。
最初のブースには、「どんな人で、どんなふうに生き、どんなふうに愛されたのか……」というエピソードが多く記されたメッセンジャーを多く選びました。
演出のテーマは、森。
みんなが集まる憩いの場である公園、というイメージから出発しましたが、今はここにいない人とめぐり会う場だと考えたときに、もっとミステリアスで不思議な空間がふさわしいと思い、森のイメージに行き着きました。
桐生市川内町の福田造園さんのご協力により、さまざまな木や花で彩られた会場。
窓からの光を浴びて、まるで森のなかにメッセンジャーたちがたたずんでいるような空間をつくることができました。
答えがでなくても、目をそらさないこと
ふたつめのテーマは「目をそらさない」。
事件・事故の詳細な状況や家族の心情がストレートに書かれたメッセンジャーを選びました。
なかには、加害者への怒りや憎しみ、世の中への憤り、そして消えることのない深い悲しみ……強く強く感情を揺さぶられるコメントも多数あったと思います。
私たちが生きる世界で起きていること。それらから目をそらさず、そのうえで生きていく希望を考えたい ー そのために必要なブースでした。
メッセージ展とメッセンジャーのご家族は、安易に答えがでなくても考え続ける、ということを私に教えてくれたのです。
『生命のメッセージ展』の目的は、命の尊さを伝えること。
訪れた人に感じてもらうことが、悲しみや怒り、憎しみだけではないようにしたい、というのが私たちの願いでした。
雑然とメッセージを並べるのではなく、テーマごとに並べ、来場者に「こういうふうに見てください」という視点を与えることで、それが実現できるのではないか、と考えたのです。
この第2ブースはできるだけ外光を遮り、第1ブースとは対照的に無機質で重みのある空間を演出しようとしました。
赤や青白い照明も使い、ひりひりと肌が焼けつくような痛みの感覚や、胸が凍るような寂しさや恐怖といった感情を描きました。
四方の壁一面に貼ったのは、メッセンジャーたちのポートレート。
生前の写真です。
どの人も、家族に愛され、私たちと同じように命を燃やして生きていたことが伝わってきます。
メッセンジャーたちの視線から「目をそらない」ということを表現したかったのです。
たくさんの人が、ひとりひとりの前で立ち止まり、ときには しゃがみ込んで、メッセージを丹念に読んでくれていました。ときには、ハンカチで目元を拭う姿もみられました。
明日の光をうけて、前へ進むこと
「覚えていること」「目をそらさないこと」を経てたどり着く Phase 3 のテーマは、「明日(あす) の光をうけて」。
悲しみから目をそらさずに、それでも「生きていこう」という前向きな気持ちになってもらえるメッセ―ジを選びました。
メッセンジャー全員の文章を読み込み、ときには順番をも指定して並べたブースです。
メッセンジャーたちが、私たちは生きているということ、生きていくことが大切なんだ、ということを語りかけているようでした。
「明日の光をうけて」というのは、天井から優しく光が差しこむ、この展示室の構造ありきで決めたテーマ。
ずっしりと重みのある前室から光に向かって進み、会場の外(現実の世界) へと帰っていく ー そんな回廊を目指しました。
最後まで ひとりひとりのメッセージを読んでくださるお客さま。
なかには、「一度で読みきれなかったから」「家族と来たかったから」「子どもに見せたい!」と、会期中に2度、3度 足を運んでくださるお客さまもいらっしゃいました。
もともと、最終日以外の平日は午後8時までの会場でしたが、仕事帰りや家事をすませてから来場してくださる方の多さにびっくり!
急遽、19日(月) と 21日(水) は閉場時間を延長し、午後9時まで公開しました。
「延長してもらったおかげで来られたよ」と言ってくださるお客さまもいらっしゃり、とても嬉しかったです。
想像し、共感して生きること
メッセンジャーたちと出会う旅はここまで。
My Phase と題した最終ブースでは、「想像し、共感して生きる」というテーマで私たちのこれまでの歩みを写真で紹介しました。
これほどまでに、多くの方にご来場いただき、メッセージを受けとっていただけたのは、プレ・イベントやプレ公開でたびたび周知を図ることができたからだと感じています。
それぞれのイベントが素敵なイメージとともに、今までのメッセージ展になかったユニークなコンセプトで開催できたことで、「私でも気軽に行っていいイベントなんだ」「僕も行ってみよう」という気持ちが来場者される方のなかに芽生えたのだと思います。受付で多くのお客さまの横顔を見ていて、そう思いました。
また、会場を彩った樹木をはじめ、エントランスの映像や紗幕、オリジナルグッズなど、多くの方のご協力で素敵な会場がつくれました。
クラウドファンディングでご支援いただいた方のなかには、物品や技術の提供、それらを実現してくださる方の紹介など、寄付にとどまらないご支援をしてくださった方々もいらっしゃいました。
私の想いやアイディアをベースにしながらも、実行委員をはじめ、地元・桐生の支援者のみなさまの想いやワザが積み重なった、みんなでつくりあげたメッセージ展だったと思います。
誰も見たことがない、新しいメッセージ展。
クラウドファンディングにチャレンジする際に掲げた夢を、実現することができました。
これもすべて、ご支援いただいたみなさまのおかげです。
感謝の気持ちでいっぱいです。
みなさまからいただいた資金は、次のとおり、大切に使わせていただきました。
・会場使用料 10万円
・メッセンジャーほか、荷物の輸送費 17万円
・ポスター、チラシ等の印刷費 15万円
・リターンの発送や参加ご家族への案内等にかかる通信費 5万円
・その他、備品等の購入費 2万1千円
・Readyfor の利用手数料 7万3千円
計 56万4千円
次の夢 ー
想像力をキーワードに つながるためのイベント へ
私が生命のメッセージ展と出会ってからの11年間で、活動のテーマにしたこと。
それは「想像すること」です。
想像力こそが、さまざまな立場の人たちがともに生きていくうえで、大切なものだと思っています。今回のプロジェクトをとおして、その想いをより強くすることができました。
今後は、この「想像力」の輪を、どんどん広げていきたいと思っています。
大切な人を病気で失った人。災害で失った人。そして、事件や事故で失った人。
また、何らかの伝えたいという想いをもって生きている人 ー たとえば、戦争や震災を経験した人やハンディキャップをもっている人、日本で生きる外国の人……など。
さまざまな人たちが、自分のかたちで想いや感情を表現する。
来場者は、作品をとおして想像し、対話することができる。
近い将来、そんなイベントに発展させていきたいと夢見ています。
私は、犯罪被害者などの、いわゆる「当事者」と呼ばれる立場ではありません。
本当の苦しみや悲しみはわからないのかもしれませんが、だからこそ、想像力をもっていたい。そして、さまざまな「当事者」の方たちをつなぎ、さらには その「当事者」の方たちと「来場者」の方たちを つなぐ役割ができたらと思っています。
他者の想いに共感し、喜んだり、涙を流したりして生きることは、やさしさという想像力があふれる社会をつくることにつながると、私は思っています。
私の次の夢を、応援していただけたら嬉しいです。
最後にもういちど。
今回の私のプロジェクトに対し、全国各地から本当にたくさんのみなさまに ご支援をいただきました。重ねて感謝を申し上げます。
遠方からも多数ご来場いただき、また、寄付のみならず激励のコメントをいただけたことが、大きな勇気になりました。感謝の気持ちでいっぱいです。
みなさまのように、誰かの気持ちに共感し、後押ししてあげられる、やさしさをもった人間になれるよう、また その気持ちを多くの人に伝えられるよう、これからも活動を続けていきます。
1年間のご支援、力強い応援に心から感謝を捧げます。
本当にありがとうございました!
生命のメッセージ展 in 桐生 実行委員会
長岡昇汰