プロジェクト概要

 

ご支援いただいた皆さまへ

皆さまの暖かいご支援のおかげで、無事に目標額を達成することができました。心より感謝しております。既に、基礎工事を終え、6月の上棟に向けて現場は休みなく動いており、とても勇気づけられました。本当にありがとうございました。

私たちは、残りの期間でネクストゴール1,000万円を目指していきたいと思います。

今回のプロジェクトは、上田組さんを始め、南砺市の事業者の方々と共に進めており、研究開発費用も含めて約2,000万円かかる見込みです。「材料と機械さえあれば誰もが家を建てられる未来」の実現を考えると、安いものだと考えていますが、それでも自己資金だけでは限界もあります。

そのため、いただいたご支援は、引き続き建築費用として大切に活用させていただきます。

デジタルファブリケーションを活用し、地域の木材や伝統を活かす。そして、ここでの取り組みを、全国で同じような課題を抱える地域へと分配してきたい。

今回のプロジェクトが、少しでも地域社会や住環境が良くなるきっかけになるよう、私たちは走り続けていきます。

 

重ねてのお願いとなりますが、引き続き応援・ご支援をお願いいたします!

 

2019年5月28日

 

 

 

はじめに

 

越中五箇山の一部、富山県南西部にある南砺市利賀村(とがむら)。標高1,000メートル以上の山々に囲まれ、その面積の97%が森林です。そして村の人口は500人程度。いわゆる限界集落と言われている地域です。

 

標高1000m以上の山々に囲まれた利賀地域


森林資源利活用の文脈でこの地域と関わることになった私たちが、なぜ現代の合掌造り民家「まれびとの家」を建てるのか、その理由からお話させてください。

 

 

 

なぜ、まれびとの家なのか?

 

1「都市」と「地方」を結ぶ

 

高度経済成長期以降、職を求めて人々は都心に向かい、都市の一極集中化が進行しました。その代償として、地方の過疎化・高齢化が進み、いわゆる、限界集落化と呼ばれる社会問題が生じています。

 

そこで、各地域はこの「都市と地方の圧倒的非対称性」に抗おうと、移住者の獲得に力を入れています。インターネットさえあればどこでも働ける時代なので、地域おこし協力隊などの仕組みを通じて、今では地域に参画する若者たちが増えつつあります。

 

ですが、都市で生まれ育った私にとって、移住・定住には心理的にハードルが高く、同様の感覚を持たれている方が大多数なのではないでしょうか。

 

そこで、「観光以上移住未満」の家の在り方を提案することで、都市から地方への人口流動を促進したいと考えています。

 

秋の利賀村の風景

 

2「所有」と「共有」を結ぶ

 

私自身、南砺に訪れる中で、魅力的な人々や風景、文化と出会い、「長期的にこの地域にかかわりたい」と思うようになりました。

 

とはいえ、行くたびに宿に滞在するのは費用がかさむし、居候するには気を遣う。かといって家を借りるほどでもない。そんなことを考えている矢先、ふと「宿泊と定住の間のような家の持ち方」はできないだろうかと考えるようになったのです。

 

つまり、稀に訪れるのだけど、それでも自分の家と思えるような家。一見、別荘と同じように聞こえますが、一定の富裕層しか手にすることができず、所有者が1組なのが別荘であるのに対して、目指しているのは顔の見える100人で1つの家を所有するような仕組みです。

 

冬の利賀村の風景

 

3「消費」と「生産」を結ぶ

 

365日だれかが常にそこにいて、入れ替わり立ち代わりやってくる。そんな状況が作り出せれば、それも立派な地域住民と言えるのではないでしょうか。

 

春口に植えた食材を、秋口にみんなで食べたり、広大な敷地に、思い思いの工作物をみんなで作ったり。家であるからこそ、みんなで手入れをし、毎年継続的に帰りたくなる。

 

観光や別荘が、近場の景観やグルメを模索する「消費の動機」によるものであるのに対して、このような新しい家の在り方は、地域住民と交流する中で何かを生み出していくという「生産の動機」を喚起することでしょう。

 

豊富な山菜を収穫できるのは、山に囲まれる五箇山ならでは

 

ところで、利賀村では毎年、厳しい冬を越えた春先に、住人たちがご祝儀を持って各集落を行き交い、地域の外にいる人たちと共に毎日飲み食いをする「春祭り」というものがあります。

 

このように、貸しを享受し流動させることで、村という共同体を運営していく相互扶助の仕組み「結」の文化が根付いており、その表れとして、五箇山合掌造り集落がありました。

 

そこで私たちは、この利賀村にいま再び、現代のテクノロジーによって、現代の結と、その表れとしての現代の合掌造りをつくれないだろうかと考えました。

 

南砺市が誇る、世界遺産・合掌造り集落の五箇山

 

 

 

地域の木材×伝統×デジタルの融合によって生まれるもの

 

地域の木材の現状

 

今、木材が産地から消費者の手に届くまで、加工業者、商社、施工業者など、多くの中間業者を介しています。そのため、輸送距離が長く、大きな環境負荷や時間、コストがかかってしまいます。

 

また、多くの木材は、規格に沿って販売されているため、丁寧に太く育てた良質材が細切れにされてしまったり、はたまたバイオマスに直行し燃料になるなど、木の良し悪しに関係のないものとして活用されています。

 

このように、今の林業の産業体系では、地域の生産者の努力が報われず、利益が残りにくい構造となっているのです。

 

そこで私たちは、デジタル時代における新しい木の流通・生産システムの構築と、それによって生まれる建築自体がどうあるべきなのかを問い直す必要があると考えています。

 

太った木材の幅を活かすための製材

 

デジタル技術を活用することで、生まれるもの

 

生産者自身が加工技術を活用できるようになる【だれでも】

現代のデジタル技術を活用すれば、専門性のないひとでも木工ができるようになります。そのため、素材生産者が木材をデジタル加工することで、既存のバリューチェーンを介さずに、直接エンドユーザーに製品を届けられるようになります。

 

五箇山の木材を用いたワークショップ「南砺七人衆」

 

非規格材に付加価値を与え、地域の利益を増やすことができる【どんな材でも】

積雪量の多い利賀村では、木の根元が曲がってしまっている材が多く見受けられます。このような「根曲がり材」も、デジタル加工技術を用いれば加工可能です。地域材を地域で加工し出荷できるようになれば、再び地域に雇用が生まれ、次の世代のための植林にまで踏み込むことができるようになります。

 

木材調達から施工までを地域内で完結

 

全国の中山間村地に製品データを共有することができる【どこでも】

これは単に利賀村だけのことではなく、今回建てる「まれびとの家」のデータも、他の地域に送付し共有することで、どこの地域でも建てることができるようになります。これまでの時代は家や材料という物質を送ることで、住まいに関する需要に応えてきましたが、これからの時代はデータを送るだけで対応可能になります。

 

まれびとの家の加工に用いるデジタル木工機械「SHOPBOT」は日本に35台存在する

 

 

ーーーーーー

 

デジタルファブリケーションとは_コンピュータと接続されたデジタル工作機械によって、3DCGなどのデジタルデータを木材、アクリルなどの様々な素材から切り出し、成形する技術のことをいいます。

 

中でも私たちVUILD株式会社は、ShopBot(ショップボット)という木材などをコンピュータ上の設計データの通りに削りだせる機材を導入しています。

 

このような技術を駆使することで、大工道具やコンピューターが人間の手の延長線上に存在するように、人間の能力を拡張し、専門性が高くなくても「ものづくり」に取り組めるようになり、「だれもが大工や建築家になれる世界への回路をひらく」ことが可能になります。

 

ーーーーーー

 

 

 

「まれびとの家」ができるまで

 

 

01_利賀村で廃村になった草嶺地域にある神社の「御神木」を伐採しました。かつての住民の方より、地域のためにということでご提供いただきました。

 

 

 

02_伐採した材を丸太にして運び、同じ五箇山内の長田組で製材を行い、板に挽いていきます。

 

 

 

03_デジタル加工技術ShopBotを活用し、家を構成する部材を出力していきます。

 

 

 

04_板にすることで木の幅を活かし、デジタル加工によって木を組んでいきます。

 

 

 

05_出力された部材を、合掌の形に組んでいきます。

 

 

 

 

06_完成イメージ。合掌上部にロフトが2か所あり、西側の窓から光と風が差し込みます。

 

 

「まれびとの家」の詳細

 

設備_ベット、厨房設備、風呂

料金_1泊30,000円 (1棟貸し切りのみ)最大宿泊可能人数 6名

アクセス_(公共交通)JR越中八尾駅から南砺市営バスで80分。利賀八尾線乗車、利賀行政センター経由、「千束」下車/(自家用車)北陸自動車道砺波ICから車で60分・東海北陸自動車道五箇山ICから車で30分

 

断面図

 

平面図

 

 

 

さいごに

 

このプロジェクトは、まれびとの家という新しい「住まい方」のコンセプトと、現代の合掌造りという具体的な「住まいの形」を提案しています。

 

このことを通して、他の地方が同様に抱えている①限界集落化や②林業衰退、③職人不足といった、普遍的な社会課題に挑んでいます。したがって、単に利賀村という一地域の未来のために投資するのではなく、日本全国の未来に対して投資する感覚でご支援頂けたらと思います。

 

2018年10月29日に地鎮祭を行いました


 

プロジェクトメンバー

 

上田英夫さん、明美さん夫妻

 

 

「まれびとの家」の運営を行う。まれびとの家の周辺は、山菜の宝庫であり、明美さんは「山菜料理」の名人。季節に応じて、美味しい山菜料理を振る舞います。

 

 

VUILD株式会社

 

 

まれびとの家を設計し建てる人々。「誰もが大工や建築家になれる生き生きとした社会」の実現を目指し、全国の中山間村地へのSHOPBOTの導入と、SHOPBOTを活用した設計施工を行っている建築系スタートアップ。

 

 

 

いただいたご支援の使い道

 

皆様からいただいたご支援は、「まれびとの家」建築のためにかかる費用の一部として大切に活用させていただきます。

 

 

「まれびとの家」は、建築家の登竜門であるSDレビュー2018(Space Designレビュー)に入選しました。詳しくはこちらをご覧ください。

 


最新の新着情報