プロジェクト概要

松竹大谷図書館が所蔵する、
日本の文化の遺産を守り、復刻させる。

 

こんにちは。松竹大谷図書館の事務局を担当する武藤祥子と申します。このプロジェクトは、演劇・映画専門の松竹大谷図書館の運営費用と、所蔵資料のデジタル化費用についてご支援をお願いするためのプロジェクトです。

 

財政が厳しかった当館は毎年のように事業費が不足、資金面を大きな課題とされていました。そこで平成24年から昨年まで4回に亘り、事業費の不足を補うためクラウドファンディングに挑戦してきました。沢山の方々の支えがあったおかげで、当館は黒字決算が続き、ついに昨年、累計のご支援が1,000万円を超えました。

 

これもひとえに、当館を応援し温かなご支援を続けて下さった多くの皆様のおかげです。これからも皆様からのご支援を力に、松竹大谷図書館は業務を健全に継続し、貴重な所蔵資料のデジタル化を推進していきます。

 

第4弾のプロジェクトで、支援者のお名前を入れた台本カバー

 

 

45万点以上の資料を収める自動書架の故障。運営に支障がないよう急いで修理を進めています。

 

松竹大谷図書館には45万点を越える演劇・映画の資料があります。演劇では、松竹株式会社が製作した歌舞伎や新派、松竹新喜劇などの舞台、本年開場50周年を迎える国立劇場で過去に上演された作品の台本・プログラム、また映画では、小津安二郎監督や木下惠介監督の作品、山田洋次監督の『男はつらいよ』シリーズなど松竹を代表する作品のほか、渥美清さん、原節子さん、高倉健さんが出演した数々の日本映画の台本など、各社の資料が保存されており、どなたでも実際に手に取って読むことができます。

 

45万点を越える演劇・映画の資料

 

当館は閉架式というシステムの図書館で、利用者の方は直接書架にお入りいただけませんが、閲覧のご希望があると、スタッフが資料請求票を手に書庫に走り、電動書架を移動させながら、各所に配架されている資料を集めてお出しします。そのため、日に何度も電動書架を移動させる事となります。現在のビルに移転して以来14年使用している電動書架ですが、ここ2、3ヶ月その書架の調子が悪く、たびたび警告音が鳴って止まってしまう現象が発生していました。

 

膨大な資料の出納業務をするスタッフ

 

業者の方に点検して頂いた結果、実はセンサーの経年劣化が原因で、本来なら適度な距離を保って止まるはずが、ずっと動き続けたり、逆に手前で止まってしまったりする状態と判明、この問題を解消するためには電動書架のセンサーを全て交換しなければならない、という診断結果が出ました。そこで今回は、募集する事業費のうち100万円を書架の修理費として使用させて頂きたいと考えています。

 

 

書架右側ブロックのセンサーを修理中

 

 

色鮮やかなまま現存する希少な「組上燈籠絵」を、デジタル保存し、復刻版を作成する。

 

今回第5弾のプロジェクトでは、当館で所蔵する161枚の「組上燈籠絵」のデジタルアーカイブ化と復刻版の作成を行います。現存するものが希少な組上燈籠絵のコレクション。実際に自分で作ることができる復刻版を作成し、当時の人々が実際に遊んだ「組上燈籠絵」の文化そのものを体感してもらいたいと思います。

 

松竹大谷図書館所蔵の「組上灯籠絵」

 

当館では、2007年に実業家の鈴木三郎助氏から寄贈を受け、明治から大正期の歌舞伎に関する「組上燈籠絵(くみあげどうろうえ)」を161枚所蔵しています。このコレクションは、同じく鈴木家から玉川大学教育博物館に寄贈された、風景、建築物などの「組上燈籠絵」と共に、2010年に玉川大学教育博物館で催された「鈴木コレクション おもちゃ絵の世界」展で、これまで1度だけ展示されました。

 

「おもちゃ絵の世界」展では、当館所蔵の『祇園祭礼信仰記』が復刻出版され、その組立完成形の見本を現在でも当館閲覧室で見ることができますが、この展覧会以降、当館所蔵の「組上燈籠絵」は全て非公開の博物資料として書庫で保管されており、貴重なコレクションが十分に活用されてきませんでした。

 

組上燈籠『祇園祭礼信仰記』復刻版 組立て完成形

 

組上燈籠『祇園祭礼信仰記』復刻版 組立て完成形【部分】

 

 

切り抜いて、組み上げる過程を楽しむ、
アナログ遊びの結晶「組上燈籠絵」。

 

「組上燈籠絵」とは、江戸期から昭和期まで広く流行した錦絵の一種です。風景や、建物、そして庶民の娯楽として人気の高かった歌舞伎の演目などを描いたものですが、錦絵として鑑賞して楽しむだけではなく、絵の中の部品を切り出して、立体に組み立てて遊ぶ、いわば現代のペーパークラフトのようなものです。1枚の錦絵の中には多数の部品が緻密に配置され描かれており、1枚から小さな作品が複数出来るものから、5枚組、6枚組など複数枚で1つの大型の作品ができるものまで様々な種類があります。

 

「組上燈籠絵」は、切り抜いて、糊付けし、組み上げて遊ぶ玩具のため、錦絵そのままの形で後世に残されたものが少なく、当館で所蔵しているような保存状態のよいものはたいへん希少です。また、現存するものが少ないため、「組上燈籠絵」に関する研究もあまり進んでいません。

 

この貴重な資料をデジタル化し画像公開することで、多くの方に「組上燈籠絵」の存在を知っていただき、アーカイブが研究に活用される事を期待しています。また、「組上燈籠絵」は本来玩具として遊ぶ事を目的に作られたものです。そこで実際に当時の遊び方を体感し楽しんでもらうことは非常に重要と考え、今回、所蔵する資料の中から、代表的な3点を選び復刻版の作成を計画致しました。

 

 

復刻する組上燈籠絵

 

今回、復刻を予定している「組上燈籠絵」は、浮世絵研究家の新藤茂先生にもご覧いただきまして、保存状態、資料的価値、鑑賞上の観点から以下の3組を選びました。

 

新藤茂先生に所蔵する全組上燈籠をチェックして頂きました

 


1.『菅原天神記車引組上ケ五枚続』明治35年4月10日 牧金之助発行 5枚

 

 

5枚組の中の1枚

 

歌舞伎の三大名作の一つ『菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)』の「車引」の場が描かれた5枚組の大型の「組上燈籠絵」で、登場人物たけでなく、舞台となった吉田神社の鳥居や玉垣、石燈籠や植栽に至るまで細かく部品が配置されています。1枚目の組上燈籠絵には、俳優の名がそれぞれ役名の横に入っています。

 

実際には、この配役での上演の記録は残されていませんが、当時この「組上燈籠絵」を買った人は、この夢の配役の舞台を自宅に作り上げ、楽しんだに違いありません。

時平公(市川猿之助=2代目市川段四郎)、松王丸(市川八百蔵=7代目市川中車)、梅王丸(市川高麗蔵)、桜丸(中村芝翫=5代目中村歌右衛門)、杉乙丸※通常は杉王丸(初代中村吉右衛門)

 

1枚目の人物部分 時平公(市川猿之助=2代目市川段四郎)【左】、杉乙丸(初代中村吉右衛門)【拡大】

 

5枚続きとは5枚の絵の部品を組み立てて1つの作品を作り上げるものです。1枚目の絵の中にある出来上がり図の寸法によると「間口三尺五寸(106cm)、奥行一尺五寸(45.5cm)、ダイノアト(台の後)三寸(9cm)上リ」とあり、完成品は幅106㎝、奥行は約45cmと非常に大きいものになり、また組み上がった燈籠を置く台の後方を9cmほど高くして傾斜をつけて飾るように指示があり、より奥行きを感じさせる仕上がりになることがわかります。

 

組上燈籠『菅原天神記 車引』の出来上がり図部分。左上部に寸法と指示【拡大】

 


2.『新板飾立一の谷の図』歌川芳藤作 樋口銀太郎発行 1枚

 

 

『一谷嫩軍記(いちのたにふたばぐんき)』は一ノ谷での源平合戦を題材とした作品ですが、こちらはその中の源氏の武将熊谷次郎直実と、平家の公達平敦盛の「組打」の場を描いたものです。1枚ものですが、躍動感あふれる騎馬武者のほか、通常歌舞伎で上演する際は舞台上にはない周囲の海岸や海上の大船団まで描きこんで、スケールの大きい場面が展開しています。

 

初版の時は出版年月日が入っていたと思われますが、恐らく人気の作品だったのでしょう、こちらは版年に関わらず売り続けるために、版年を削って作られた、再版と思われます。

 

『新板飾立一の谷の図』歌川芳藤作 樋口銀太郎発行 


3.『石橋』 明治26年5月15日 片田長次郎発行 1枚

 

 

能の『石橋(しゃっきょう)』に取材した歌舞伎舞踊を「石橋もの」といいます。中国の聖地、清涼山にある石橋に、文殊菩薩の眷属である獅子が現れて、牡丹の花に遊び戯れ、毛を振って勇壮に舞うという舞踊です。この組上燈籠絵は『石橋』を題材にしたもので「明治廿六年四月一日印刷 五月一五日発行」とあり、尾上菊五郎の名前があること、獅子が三人いるところから、明治24(1891)年12月深野座で5代目尾上菊五郎が2代目尾上菊之助、5 代目尾上栄三郎(後の6代目尾上梅幸)という二人の養子と共に踊った『雪礫巌石橋(ゆきつぶていわおのしゃっきょう)』を想定して描かれたものと思われます。

 

明治24年12月深野座絵本筋書『石礫巌石橋』部分

 

よく見ると、獅子の頭の扇や、衣裳の模様部分、裾についた馬簾(ばれん)という房飾りなどが光っており、銀摺(実際には鉛を用いている)という手法が使われている事が分かります。

 

房飾りなどが光って見える

 

今回のプロジェクトで復刻した「組上燈籠絵」は、それぞれ1,000セットを印刷し、3万円以上のご支援をいただいた方にお礼としてお送りするほか、当館でも販売する予定です。

 

 

目標金額の内訳

 

■4月末報告書(2017.04.28 更新):平成28年度 支援者様へのご報告

 

今回皆様にご支援いただく250万円は、平成28年度の図書館事業費の一部と「組上燈籠」のデジタル化・復刻版の印刷費用に充てさせていただきます。

 

【「組上燈籠絵」デジタル化費・復刻版の印刷費用】70万円を予定

・デジタル化費:12万円

・復刻版の印刷費用:58万円

 

【平成28年度事業費】180万円を予定

・電動書架修理費及びメンテナンス費:100万円

・図書費として    :60万円

・消耗品費として   :20万円

 

【事業費の内容】

・電動書架修理費及びメンテナンス費

書架の正常な動きを取り戻すための、電動書架のメンテナンス費と、センサーの交換費です。

・図書費

主に定期購読雑誌・新聞等の購入に充てます。

・消耗品費

台本カバーや雑誌を保護するためのカバーの材料である板目紙や綿テープ、製本用綴り紐、図書を整理する際に貼る請求記号ラベル、コピー用紙などを主に購入します。

 

 

リターンについて

 

◆ 松竹大谷図書館オリジナル文庫本カバー2種類1組セット

※デザインは全て同じです

 

本物の台本[大きい方]と文庫本カバー ※文庫本カバーは見本です

 

■ 「歌舞伎」文庫本カバー

当館所蔵「歌舞伎台本」(『菅原伝授手習鑑』平成27年3月歌舞伎座公演)の表紙を文庫本サイズの特製ブックカバーにします。

■ 「映画台本」文庫本カバー

当館所蔵映画台本(『二十四の瞳』木下惠介監督作品)の表紙を、文庫本サイズの特製ブックカバーにします。

 

 

◆ 映画や歌舞伎の台本を保護するカバーに支援者として皆様のお名前を記載

 

※写真はイメージです

 

※写真はイメージです

 

第4弾のプロジェクトで支援者のお名前を入れた台本カバー

 

当館では映画と演劇合わせて年間1,500冊以上の台本が整理されます。保存方法にも独自の工夫を凝らしています。図書のようにしっかりした作りではない台本などは書架に立てにくいので、板目紙でカバーを作って長期保存に耐えられるように補強を施しています。

 

後世まで残したい日本の文化の命ともいえる映画や歌舞伎の上演台本を保護するカバーに、支援者として皆様のお名前を刻み、ここ松竹大谷図書館でずっと大切に保存させていただきます。下記リンク先の作品リストから一つ、お好きな作品の台本カバーにお名前を記載いたします。

 

※ 一つの作品に対してお名前の記載を希望される方が多い場合は、並べて記載します。また、カバーに入りきらないほど多数のご希望があった場合は、皆様のお名前をリストにして台本と共にカバーに入れて保存します。

※台本が今すぐ決まらない方は、プロジェクト達成後にもご希望をお伺いします。

※台本カバー自体は非公開です。お名入れをした方のみ、その台本カバーを特別にご覧いただけます。

 

台本カバー作成の様子

 

【歌舞伎・新派台本】作品リストは【こちら】からご覧ください。

昨年11月より今年10月の興行の上演台本を中心とした歌舞伎及び新派台本のカバー

 

【映画台本】 作品リストは【こちら】からご覧ください。

渥美清出演作、原節子出演作、高倉健出演作品の台本、キネマ旬報ベストテン受賞作品よりセレクトした映画台本のカバー

 

【寅さん台本】 作品リストは【こちら】からご覧ください。

恒例、映画「男はつらいよ」シリーズ全48作のうちお好きな作品の台本カバー。根強い人気です!

 

 

◆ 本プロジェクトで作成する3組の組上燈籠絵復刻版

 

玉川大学教育博物館「鈴木コレクション おもちゃ絵の世界」展(2010年)
にて展示された組上燈籠『石橋』復刻版 組立て完成形

 

■『菅原天神記車引組上ケ五枚続』
■『新板飾立一の谷の図』
■『石橋』

 

試作品の組み立ての様子。描かれている「出来上がり図」を確認

 

試作品の組み立ての様子。切り出し段階

 

試作品の組み立ての様子。糊付け段階

 

 

◆ 当館の見学会に御招待

 

11月24日(木)午前の部10:00~/午後の部14:00~の2回を予定(1回15名程)午前の部、もしくは午後の部のいずれかご希望の回をお選び下さい。(先着順)

 

1.松竹大谷図書館ってこんな図書館(説明会)公立図書館とは違う、専門図書館ならではの特徴を、利用の方法などを交えてスタッフよりご説明いたします。

2.非公開の書庫(電動移動書架)の見学職員以外立ち入ることのできない書庫の移動書架を開いて資料が本棚にずらりと並ぶ様子を特別にご案内いたします。劇場別年代順に整理された演劇プログラムや、製作年代順に配架された映画シナリオなど、専門図書館ならではの資料を細かくご紹介いたします。

3.非公開の博物資料の見学非公開の博物資料を特別に展示して間近でご覧いただきます。

4.司書体験

カバー作りやラベル貼りなど、図書館員の仕事を体験していただきます。

(去年の見学会の様子はこちら

 

◆11月24日に見学会に参加出来ない方には

予約制で、松竹大谷図書館の書庫を、1時間ご案内するガイドツアーへの参加券をお送りします。有効期限:平成28年12月~平成29年7月の平日(開館日及び整理休館中)

事前にお電話でのご予約をお願いいたします。

※日時のご希望に添えない場合もございますので、予め何日か候補日をご設定下さい。

 

 

運営

 

公益財団法人松竹大谷図書館

〒104-0045 東京都中央区築地 1-13-1 銀座松竹スクエア3階

Tel:03-5550-1694

HP:http://www.shochiku.co.jp/shochiku-otani-toshokan/

 

松竹大谷図書館の閲覧室


※支援者様へ

当財団は公益財団ですが、この支援に関しては購入型のクラウドファンディングを利用しているため、寄附者への税制の優遇措置は受けられません。

 


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