プロジェクト完了のご報告と御礼
札幌市電リバイバルカラープロジェクトは、5月10日の貸切ラストランをもって無事に終了することができました。
このプロジェクトは、沿線にお住まいの皆さま、市民や企業の皆さま、全国の鉄道・路面電車ファンの皆さまなどの思いと応援に支えられて実現しました。そして、多くの皆さまのご指導とご協力がなければ、最初の一歩を踏み出すことさえできませんでした。皆さまのご支援とご協力に、心から御礼申し上げます。本当にありがとうございました。
そして、札幌市交通事業振興公社様にはクラウドファンディングの準備段階から多くのご協力とご指導をいただきました。最後まで無事故で運行できたことは何よりもうれしい結果であり、職員の皆さまのおかげです。深く深く、御礼申し上げます。
プロジェクトの軌跡
2023年5月11日
クラウドファンディング開始、目標額は550万円。
2023年6月25日
目標額に到達し、プロジェクト成立が確定。セカンドゴールは650万円。
2023年6月28日
セカンドゴールに到達し、運行期間中に赤帯に塗り替えることが確定。
2023年6月30日
クラウドファンディング終了、支援総額は724万2,000円。
2023年7月13日
札幌市交通事業振興公社様と協定書を締結。
2023年7月18日
243号車の既存のラッピングフィルムを剥離する作業。
2023年7月24日〜28日
243号車への塗装作業(白帯)。
2023年8月1日
お披露目貸切運行。
2023年8月2日
白帯での営業運転を開始。
2023年8月6日
リターン貸切運行(昼の部)および撮影会。
2023年10月1日
復刻塗装記念乗車券発売開始。
2023年10月14日
リターン貸切運行(夜の部)。
2023年10月15日
リターン貸切運行(昼の部)。
2024年2月20日
243号車への塗装変更作業(赤帯)。
2024年2月21日
赤帯での営業運転を開始。
2024年4月27日
追加リターン貸切運行および撮影会。
2024年5月9日
営業運転が終了。
2024年5月10日
追加リターン貸切運行。18:25頃に最後の運行を終了。
プロジェクトの収支について
皆さまからお預かりした約724万円は、次のように支出させていただきました。RADYFORシステム使用料として約158万円、243号車の塗装や車体広告料として約500万円、ヘッドマーク制作などの事業費として約16万円、リターン貸切やその食事、返礼品の制作や発送などの費用として約50万円。残金はございません。
リターンの発送・実施について
ご支援をいただいた皆さまへのリターンは、1件(和田の講演をご希望された方のうち1名様分の実施日程が未定)を除き、発送・実施が完了しております。残る1件につきましてもなるべく早く日程を調整し、実施いたします。
また、当初の予定にはなかった2024年4月27日・5月10日にも貸切運行を実施し、ご支援をいただいた皆さまをご招待させていただきました。
札幌の産業遺産でもある車両に、感謝を
243号車をはじめとする210〜250形の丸みを帯びた車両は、昭和30年代に「道内企業を育成したい」という考えから地元で製造された車両群。札幌の中小の鉄道車両整備会社や鉄工業の会社が結成する「札幌綜合鉄工協同組合」が手がけました。その後、市電の新造車両が2両連結タイプが中心になると地元での製造はなくなり、現在に至るまで道外の車両メーカーによる製造が続いています。
道産電車の多くは後に台車を道外製のものに交換されましたが、243号車は道産の台車を使用した最後の一両でもありました。このプロジェクトには、札幌の町工場の技術と誇りの結晶であり、60年以上街を支えてくれた道産電車群への感謝も込めさせていただきました。
車両は残らないけれど、記憶に残したい
現役を退いた243号車は、今後解体される予定です。「保存できないのか」というご質問やご意見を私たちにも多数いただきましたが、すでに他の現役車両への部品流用が決まっているとのことです。子供の頃から市電に育てられたファンの一人としてはとても寂しいのですが、解体が決まっているからこそ、243号車のリバイバルカラー塗装が実現したという経緯があります。形を残すことはできないのですが、札幌の産業遺産である243号車が往年のツートンカラーで街を駆け抜けた夢のような9カ月間を皆さまの記憶に刻み、心の中でいつまでも走り続けさせていただければ幸いです。
北海道鉄道観光資源研究会では、今ある鉄道、かつてあった鉄道、おもちゃの鉄道などに光を当てる取り組みを今後も続けてまいります。お見守りいただき、ご助言を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
皆さま、本当にありがとうございました!
北海道鉄道観光資源研究会
札幌市電リバイバルカラープロジェクト代表
街歩き研究家 和田 哲