戦没学生の音楽作品よ、甦れ!いま戦争の記憶を語り継ぐ

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2,112,000

目標金額 1,500,000円

寄付者
127人
募集終了日
2020年6月12日

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2020年05月09日 18:00

草川宏《Die Doppelfuge》~作曲の課題

今回初めて演奏する曲②

 今回の演奏会で初めて取り上げる曲、2回目は草川宏さんの《Die Doppelfuge》です。前回の「新着情報」でも書きましたが、草川さんの譜面は演奏可能なものだけでも30曲以上あります。今までその半数ほどに当たる15曲を演奏してきましたが、その中には第2回コンサートで取り上げた《昭南島入城祝歌》のように、明らかに未完の作品を補作して演奏したケースもあります。そして今回は、作曲の勉強のために書かれたと思われる曲を取り上げます。

 

入学当時の草川宏さん(大学史史料室所蔵)

 

◆草川宏《Die Doppelfuge》

 曲名の《Die Doppelfuge》はドイツ語で、”Fuge”は「フーガ」、”Doppel”は「二重の」ですから「二重フーガ」という意味になります。草川さんは作曲や理論を信時潔、下總皖一、橋本國彦、H.フェルマーといった先生方に学びました。草川さんの日記の昭和19年1月11日に、次のような記述があります。

「ドツペルフーゲ第一部分を作つて行つて見て貰ふ。僕としては珍しく比較的アントヴオルトに対するコントラプンクトも良く出来た(原文のママ)」   

 ここに書かれている「ドッペルフーゲ」を見てもらった相手はフェルマー先生ですから、彼から与えられた課題だったと思われます。ヘルムート・フェルマー先生はドイツ人で、昭和13年に着任し、昭和20年8月まで管弦楽指揮、作曲、合唱の指導に当たりました。

 

ヘルムート・フェルマー先生(大学史史料室所蔵)

 

 「フーガ(イタリア語:Fuga)」は、音楽ファンの方であれば、バッハの《トッカータとフーガ ニ短調》などで耳なじみのある言葉だと思います。カノンと並んで対位法による音楽形式のひとつで、日本語では「遁走(とんそう)曲」と呼ばれます。「遁走」と書くと何のことと思われるかもしれませんが、「逃走」とほぼ同じ意味で「逃げること」です。メロディが次から次へと、まるで追いかけっこをするようにつながっていくというイメージでしょうか。

 複数のメロディが重なる音楽という点ではカノンと同じですが、カノンが単純に前の声部を模倣して追いかけるのに対して、フーガは音楽的にもっと複雑に組み立てられます。そこには厳格なルールがあるので、作曲のテクニックとしてはカノンよりフーガのほうが難しいということになります。さらに二重フーガであれば、展開される主題が二つあることになりますから、より難易度があがります。

 専門的な話になるのであまり深くは立ち入りませんが、たとえば3声のフーガであれば、冒頭、主題は通常次のように提示されます。

⑴最初にある声部で主題を提示します(主唱)。

⑵次に別の声部で、5度上、あるいは4度下で再度主題を提示します(応唱)。この時、最初の声部は主題に調和する別のメロディを演奏します(対唱)。

⑶さらに第3の声部で主唱を提示。この時、第2の声部が対唱、最初の声部は対唱とも異なる新しいメロディを演奏します。

 このように、複数のメロディを絡み合わせて展開していくためには、高度なテクニック(対位法)が要求され、J.S.バッハはその達人だったわけです。音楽は「メロディ」「ハーモニー」「リズム」の3つの要素からなりますが、対位法は特にメロディを扱う時に重要な技法です。そこで作曲を学ぶ学生たちに対位法の技術を身につけさせるために、カノンやフーガの作曲が課題として与えられたのです。これは草川さんたちが学んだ戦時中から現在に至るまで、変わることのない作曲科の教育です。

 

《Die Doppelfuge》手稿譜複製(草川誠氏提供)
4段目から5段目にかけて5小節カットの指示あり

 

 曲はト長調、2/4拍子、三声部で書かれた二重フーガです。曲の冒頭を見てみましょう。中声部に提示された8小節の主題が、2回目は4度下、3回目は5度上で提示されます。ただし前述したように、3声のフーガであれば、普通は主唱(主調)➡応唱(属調)➡主唱(主調)という順番で提示されますが、この曲では3回目が主唱でなく応唱になっている点が、学習のためのフーガとしては珍しいと言えるでしょう。

 草川さんの手稿譜は全7ページ215小節に及ぶかなり長いものですが、途中に2か所、合計で11小節のカットの書き込みがあります。また終止線の後に新たに6小節のコーダが追加され、元の譜面の最後の25小節の代わりに、その6小節を演奏するようにという印があります。この新たなコーダには、16分音符による音の細かい動きがあるので、元の譜面より明らかに切迫感が感じられる終わり方になっています。今回はそれらの変更を反映させた、全185小節の譜面に基づいて演奏いたします。(大石泰)

 

 

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