福島県大熊町。木村紀夫さんの一時帰宅に同行しました。現在年間30日だけ許されている一時帰宅で、行方が分からなくなっている娘の汐凪ちゃんの捜索をしています。

今回は、農地の耕うんを行いました。木村さんは汐凪ちゃんの捜索と並行して、大熊町の自宅跡をきれいにしていきたいと思っています。それは、「この場所が唯一、汐凪ちゃんら家族とつながることができる場所だから」と感じているからです。大熊の自宅に通うことで汐凪ちゃんを感じられるーー。

「汐凪たちにきれいな花畑を見せてあげたい」。そんな木村さんの願いから、昨年末にはその自宅近くの農地を耕し、菜の花の種をみんなで植えました。その菜の花は今春に黄色の花を咲かせる予定です。今回は菜の花を植えた場所の隣の農地をさらに耕うんし、ひまわり畑にしようとしています。

 

 

原発事故による「帰還困難区域」になっているこの場所は、誰も住んでおらず立ち入りも許可無くできないので、農地は5年間ほったらかし。背の高い雑草、長く伸びたツル、立派に育った柳の木が農地を覆っています。それを人力で取り除いていかなければならず、本当に骨の折れる作業です。手伝うのは南相馬市の上野敬幸さんと福興浜団の仲間たち。この捨て置かれた場所に一面の花を咲かせようと懸命に作業しました。

 

トラクターで農地を耕す上野さん

 

一日の作業で、1haの農地をなんとか耕すことができました。

ここにまく予定のひまわりの種は、上野さんが昨年南相馬市で咲かせたひまわりのものです。菜の花も、昨年南相馬で上野さんが育てた菜の花の種。南相馬から大熊へ。命のリレーのようにつながっています。

 

昨夏、南相馬市の萱浜で咲いたひまわり

 

花畑の作業でいっぱいだったこの日ですが、最後の方に仲間の数人ががれき置き場となっている場所を見ていると、津波で流された木村さんのものが出てきました。その周辺を捜してみると汐凪ちゃんら家族のものが多く発見されました。今まで捜索の中心にやっていた場所とは少し違う場所から見つかったことに、皆のテンションもあがりました。しかし、その時はもう立ち入りが許されている5時間が迫っている時でした。

満足に捜すことができず町を出なければなりませんでしたが、新たな期待も高まりました。

 

自分の写真などが見つかり、木村さんも笑顔を見せる

 

 

汐凪ちゃんたちのために自宅裏の丘に建てたお地蔵さんに、花を手向ける

 

 

現在、汐凪ちゃんの捜索で、このように大熊町に入れるのは年間最大30回、1日最大5時間だけ。それも2015年末までは、年間最大15回しか入れませんでした。自分の娘を捜してあげることすらままならないーー。ここではその状況がずっと続いています。

 

 

 

 

 

 

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