中国朝鮮民族の「今」を映す、ドキュメンタリー映画を世界へ

中国朝鮮民族の「今」を映す、ドキュメンタリー映画を世界へ

支援総額

580,000

目標金額 500,000円

支援者
51人
募集終了日
2018年3月15日

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2019年05月24日 11:28

投稿⑰【音楽・郷古廉~6年越しのソナタ~】(あと8日)

 

 

【音楽・郷古廉】
 

(去年2月、クラウドファンディングで得た資金で、映画『血筋』の音楽制作の依頼のためウィーンまで訪れた。

 こじゃれたレストランに入ってぎこちない会話をそこそこに音楽制作の依頼をした。企画書を渡しながら「切なさ7割、悲しみ2割、希望1割」の音楽を頼むとかなんとか(今思えば)よくわからないことを言ってお願いした。

 彼はビールとカルボナーラ、ボクは白ワインを飲んだのは覚えているが、何を食べていたかは思い出せない。その代わり彼のつるっとした長い指は、やけに印象に残っている。
 ウィーンという場所にまで「わざわざ」訪れたことが、何かしらの成果に繋がったんじゃないかと振りかえって時々思う。オリジナル音楽で、作品を観ずに制作している。)





去年暮れ大阪シンフォニーホールで久々に郷古くんの演奏を聴いた。聴きに行くのは6年ぶり2回目で、その6年間ボクは映画を作り、彼は相変わらず第一線でバイオリニストとして活躍していた。
彼は中学生時代の同級生だが、実はそれほど面識があったわけではなく、今まで関係が繋がっているのが不思議なくらいである。
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初めて彼の演奏を聴きに行ったのは、ボクが浪人生のときだった。
当時、ボクは19歳で、身の入らない浪人生活を送りながら、喫茶店でぼーっと妄想に耽るだけの日々を送る、生産性の欠けらも無い人間だった。(今となってはそれが本職だが…。)
そんなときウィーン留学から一時帰国した彼が演奏会をするというので、興味半分でチケットを買った。
*
*
彼はオーケストラをバックにステージの上でバイオリンの独奏していた。
観衆の前で堂々とした面持ち現れ、怖気付く様子も無く、さらっと弾いては拍手喝采のうちに幕の袖へと消えていった。
*
演奏後、ホールを出るとそこには長蛇の列があった。
一つの長テーブルの前に、育ちの良さそうなお嬢さんたちが花束を持って、列を成して彼のサインを待っていたのだ。
*
*
興味も無い古文単語を覚えるボクの日々に比べて、彼の世界はあまりにも華やかに見えた。
「同じ人間なのに、なぜこれほど遠いんだ…?」と。
圧倒的な能力の差の前で、自己を立たせる場所を見つけることができなかった。
そして何より、酷く嫉妬した。
*
*
ボクは''あえて''そのサイン会に並んだ。彼のCDを購入し、自分の番がくるまで「さん」付けにするべきか、「君」付けするべきか、悩みながら、並んだ。

そもそもボクのことなんて覚えているのだろうか?

「おう、久しぶりだな、元気か?」

ウィーン帰りの彼は、少し外国訛りがかかった日本語でボクに挨拶したくれた。彼の承認によって満たされる自尊心が、さらにイラつかせた。
*
「J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ No.1」
そのとき購入したCDである。何度聴き返した分からない。少しでも彼に近づきたかった。ボクが踏み込んだことの無い世界を少しでも理解したかった。
あるいは劣等感がただそうさせただけなのかもしれない。
*
*
*

*
6年越しのその日も彼は同じように舞台に立っていた。
いくぶん老けてはいたけど、幾度も生意気と言われたであろう角立った雰囲気が、時の流れのうちに多少丸くなったようにみえた。
*
あの日と同じように幕のうちに消え去ると、今度はアンコールの拍手が鳴った。
再びステージ現れた彼は、聴き馴染んだあの「バッハ無伴奏ヴァイオリンソナタ」を弾き始めた。
鳥肌が立った。
*
*
*
演奏を聴いてすぐに分かった。
6年前は彼にとって明らかに過去だ。
無我に巨大な「何か」に向き合って、イラつきながら、失望しながら、葛藤しながら「今」を生きている。
*
*
ホールに響きわだる音の残像が、過去の自分を酷く懐かしがらせた。

 

 

角田龍一

 

 

リターン

5,000


【5000円】お名前のクレジット

【5000円】お名前のクレジット

・サンクスメール
・映画の最後に名前のクレジット

支援者
26人
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2018年9月

10,000


【10000円】試写会へご招待+お名前クレジット

【10000円】試写会へご招待+お名前クレジット

・サンクスメール
・試写会へご招待
・映画の最後に名前のクレジット

支援者
17人
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2018年9月

30,000


【30000円】試写会へご招待+お名前クレジット

【30000円】試写会へご招待+お名前クレジット

・サンクスメール
・試写会へご招待
・映画の最後に名前のクレジット

支援者
6人
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2018年9月

50,000


【50000円】試写会へご招待+お名前クレジット

【50000円】試写会へご招待+お名前クレジット

・サンクスメール
・試写会へご招待
・映画の最後に名前のクレジット

支援者
2人
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2018年9月

100,000


【100,000円|企業・団体様向け】個別試写会の開催+企業団体様のロゴをクレジット(エンドロ―ル)

【100,000円|企業・団体様向け】個別試写会の開催+企業団体様のロゴをクレジット(エンドロ―ル)

・サンクスメール
・試写会へご招待
・映画の最後に名前のクレジット
・個別試写会の開催(※交通費別途)
・映画の最後に企業・団体のロゴを掲載

支援者
0人
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2018年9月

150,000


【150,000円|企業・団体様向け】個別試写会の開催+企業団体様のロゴをクレジット(エンドロール+パンフレット)

【150,000円|企業・団体様向け】個別試写会の開催+企業団体様のロゴをクレジット(エンドロール+パンフレット)

・サンクスメール
・試写会へご招待
・映画の最後に名前のクレジット
・個別試写会の開催(※交通費別途)
・映画の最後に企業・団体のロゴを掲載
・映画パンフレットに企業・団体のロゴを掲載

支援者
0人
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2018年9月

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