いつも応援していただきありがとうございます。スタジオスルメの菊池光義です。本日は旅する仏壇に使用されている「唐木銘木」についてご紹介できたらと思います。唐木とは基本的に水に沈むくらい堅くて重く、表面がざらざらとしている輸入木材の総称です。近くは中国からインド、遠くはアフリカまで世界中に様々な種類の唐木が存在します。そんな唐木ですが、その堅さのため釘などがほとんど使えず、また割れやすく加工が難しいといった特徴もあります。しかしその分職人の技で加工されて磨き上げられると、とてもきれいな木目と光沢、そしてずっしりとした質感と滑らかな手触りといった魅力が際立ちます。もちろん、丈夫で長持ち。日本では紫檀、黒檀、鉄刀木が「三大銘木」とされていて、昔から高級材として家具や楽器、茶道具や指物などに使われてきました。最も古いものでは遣唐使の時代のものが、いまでも現存しているそうです。

 

唐木銘木 黒檀の箸の制作風景。光沢と独特の縞柄の木目が本当にきれいです。

そんな美しさから木のダイアモンドとも呼ばれる唐木銘木ですが、実は過去の伐採の影響でいまではほとんど輸入禁止の状態です。多少は出回ることもあるのですが、それでも少量がびっくりするくらい高値で取引されています。さすが木のダイアモンド。ここでひとつ忘れてはいけないのが、木材はほかの材料と違って湿気によって反ったり割れたりすることがあるため、一度乾燥させる必要があるということ。木材産業では高温で人工乾燥させるという方法があるのですが、唐木銘木は丈夫な反面、急激な環境の変化に弱く人工乾燥させると割れたり沿ったりしてしまいます。ではどうするかというと、雨風のあたらないところで自然乾燥。人工乾燥と違って、これに5~6年がかかるそうです。ずいぶん気の長い話ですが、そんな手間暇をかけてようやく材料として使用することができるのです。

 

織田さんと福田さんの工房で自然乾燥される木のダイアモンドたち。

 

湿気の多い季節には水分を含んで少し膨らみ、乾燥する季節には水分が抜けて少し縮み、そうして数年をかけてゆっくりゆっくり膨らんだり縮んだりを繰り返すうちに、徐々に乾燥が馴染んで安定していくそうです。旅する仏壇には、そんな自然乾燥すること堂々の数十年、狂いも反りもほとんどない最高の状態の唐木材を使わせていただいています。織田さんと福田さんがゆっくり買い足して、じっくり乾燥させたとても貴重な材料。もう一生使いきれない分を買い込んだと豪快に笑うおふたりですが、決して少しも無駄にはできないと背筋の伸びる思いです。伝統工芸というとどうしても技術に目が向きがちになってしまうのですが、今回はそんな大切な大切な材料のお話でした。最後まで読んでいただきありがとうございます。

 

 

菊池光義

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