みなさんこんにちは。AMDA-MINDSホンジュラス事務所の陰山亮子です。
今日は日曜日ですね。キリスト教徒が多いホンジュラスでは、日曜日は教会へ行ったり、家族と過ごしたりする時間を大切にしている人が多いです。

 

さて、今日はチャビーこと、ケビンをご紹介します。

 

小さいころから父親を手伝い、路上で物を売り歩いていたケビン。売っていたお菓子が「チャビー」という名前だったことから、ついたあだ名はチャビー。幼い顔立ちのチャビーはいつも照れくさそうな笑顔を浮かべて、あまり発言することはありません。

 

そんな彼がある町内会会合の日、「明日のイベントに僕は来れない」とはっきりと言いました。

 

すかさず、大人のメンバーの一人が「彼のようにはっきり、来れないときは来れないということは素晴らしい。曖昧な返事をすると、皆の迷惑になることがある。いないことがあらかじめわかっていれば、それなりの計画を立てることもできる。突然、連絡もなく来ないことが一番無責任だ。彼のように、前もって予定を伝えられることは素晴らしい。」と褒めると、また照れくさそうなかわいらしい笑顔を浮かべるチャビー。

 

コミュニティ活動グループのみんなと。右から2人目がケビン。

 

会合の後、せっかく準備したのに、なんで行けないの?と聞いてみました。

 

「明日は、せっかく企画したイベントだから来たいんだけど、刑務所にいる兄さんに唯一会いに行ける日だからさ。兄さん、会いに行かないと寂しがるんだよね。え?なんで刑務所にいるかって?窃盗と恐喝。もう2年前くらいから刑務所だよ。イベントの話をしたら兄さんも行きたがるだろうなー」

 

ケビンのように、家族や親せきが刑務所にいる青少年は山ほどいます。貧しい家に生まれ育った兄も、ケビンと同じく、路上での販売を手伝っていたのでしょう。毎日売り歩いても、ものが思うように買えるだけの収入になるわけでもない。欲しいものがたくさんある青少年たちにとっては、それが簡単に手に入る窃盗は、大きな誘惑になることでしょう。

 

そんな環境の中で、貧しい青少年たちの「何とかお金を稼いで母親や家族に楽な生活をさせてあげたい」「欲しいものを買ってあげたい」という純粋な気持ちにつけいるのが、マラスの存在です。

 

「2ブロック先の角に立っている赤いキャップの男性にこの袋を渡してくれば、500レンピーラ(2,500円程度)やるよ」という簡単なお使い。これがいつの間にか、「明日の朝5時にこの先の通りを白い車が通るから、助手席に座っている男性をこの銃で撃てば200,000レンピーラ(100万円程度)やるよ」という大きな犯罪へと変わっていくのです。

 

あるとき、このような状況に巻き込まれかけた男の子から話を聞いたことがあります。彼はある大人の男性に気に入られ、言われた時間に言われた場所に行くだけで、いい金額のお小遣いだけでなく、高い服や靴も買ってくれ、おいしいご飯とお酒もごちそうしてくれることから、毎日のようにその男性と一緒に過ごしていたそうです。それがしばらく続いた15歳の頃、ある人を殺せば大金をやると言って、拳銃を渡されたらしいのです。若干15歳の彼でしたが、ふと我に返り、お金ごときで人を殺して自分の顔に泥を塗るようなことはできない、ときっぱりその男性とは縁を切ったそうです。

 

彼は、若いながらに何とか正しい判断をすることができました。しかし、同年齢の何人の若者が、同じようにここできっぱりと迷わず断れるでしょうか。

 

このようなケースで本当に腹立たしいのは、青少年の純粋さを利用し、悪い道に導こうとしているのが大人であることです。青少年たちを「お金」や「モノ」という甘い餌で釣って、道具のように使おうとする大人の存在があるからこそ、青少年たちが誘惑に負けて犯罪に手を染めていく。そんなケースは少なくないでしょう。

 

ホンジュラスの青少年を取り巻くドラッグの密売、殺人などは、いずれも必ずお金が絡んでいます。お金がない生活に苦しめられてきたからこそお金の誘惑に負けてしまうという現実。いくらモラルがあるからと言っても、食べたいものもろくに食べられない状況では避けられないことではないか、と感じています。

 

簡単に手に入る「お金」の怖さを知ってはいても、これに立ち向かうことは容易なことではありません。この怖さを認識する頃にはすでに後戻りできない状況に陥っている青少年が多くいることと思います。

 

現在挑戦しているこのクラウドファンディング。彼らを支援したいという想いで手を差し伸べてくださる皆さまの「お金」は簡単に手に入るものではないけれど、大変に心がこもった「お金」であることを、青少年たちも活動を通じて理解するに違いありません。

 

コミュニティ活動のためのミーティングに参加するケビン(左手前)

 

ケビンは最近、車の免許を取得し、夜間タクシーの運転手の仕事をしながら、学校に通っています。今年最終学年となった彼が無事に高校を卒業し、未来を切り開いてくれることを心から願っています。

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