プロジェクト概要

経験に勝る知識はない!ミャンマーの医師・看護師たちへの
BLS(一次救命処置)訓練実施のために、皆様のお力をお貸しください。

 

こんにちは。ジャパンハートの長期ボランティア医師の大江将史です。

 

私たちジャパンハートは、東南アジア諸国を中心に、「医療の届かないところに医療を届ける」をミッションに活動しているNGOです。私は、2018年4月からカンボジア、そして5月からミャンマーに入り、日本の総合診療・救急診療を伝えることを目標に活動を続けてきました。

 

熱心に学ぼうとするミャンマーの看護師や医師たちへ、1年間を通じて日本の優れた先生達から学んだ知識・技術・態度を伝えようとしてきましたが、そのなかで、「救急救命の知識を得ていても、いざ目の前で人が倒れた時に、身体が動かなくなってしまう」という状況に遭遇しました。

 

一分一秒の違いが救命率を大きく左右することもあり得る、BLS(Basic Life Support、一次救命処置)は、座学や講習による知識の獲得も重要なのですが、実技による経験に勝るものはありません。

 

現在、近くの町で購入したぬいぐるみを用いた胸骨圧迫(心臓マッサージ/心マ)の想定訓練や、ペットボトルを用いた心肺蘇生訓練など、可能な範囲内で工夫を凝らしているのですが、今の訓練環境では気道の確保のシミュレーションや、AED(自動体外式除細動器)を用いたBLSの実技はできていないのが現状です。

 

そこで今回、私が勤務するミャンマーのワッチェ慈善病院に「AED」と「BLS人形」を購入すべく、クラウドファンディングに挑戦するに至りました。

 

日本人医師として、ミャンマーの医療の現状について多くの方に知っていただくことも目的の一つです。皆様と一緒にこの挑戦を成功させたいと思います。ご支援をどうぞよろしくお願いいたします。
 

ジャパンハートの長期ボランティア医師の大江将史です。

 

 

処置が1分遅れるごとに10%ずつ低下する救命率。

突然死から人を救うためのBLS(一時救命措置)の重要性。

 

質問です。
もし、目の前で突然人が倒れたら・・・あなたはどうしますか?

 

正しい対応は、BLS(Basic Life Support、一次救命処置)の実施です。

 

BLSとは、心臓が止まり呼吸もしていない人に対して、特殊な器具や薬品を用いずに行う、胸骨圧迫(心臓マッサージ/心マ)・人工呼吸とAED(自動体外式除細動器)のことです。AED(自動体外式除細動器)とは、心室細動・心室粗動という「心臓のけいれん」に対して電気ショックを与え、心臓のポンプ機能を元に戻すための装置です。

 

突然死の原因の多くは心筋梗塞や不整脈が占め、突然心肺停止を起こした方の救命率は、電気ショックが1分間遅れるたびに10%の割合で低下します。

 

Photo by 土屋和志

 

 

いざとなると、だれも身体が動かない。
BLSの処置の知識があっても経験がなければ•••。

 

先日、僕が働いているミャンマーのワッチェ慈善病院でこんなことがありました。

 

医師・看護師・ボランティアスタッフと子どものお坊さんの創傷処置をしているとき、心配して一緒に来てくれていた成人のお坊さんが、その場に倒れ込んでしまったのです。

 

この場合、状況から考えて最も可能性が高いのは、長時間の立位姿勢や、初めて見る創傷処置のストレスによる一時的な低血圧(迷走神経反射)です。

 

しかし、急に心肺停止になった可能性が少なからずあるため、目の前で人が倒れたときにまず優先すべきはやはりBLSです。意識レベル・脈拍・自発呼吸の有無を確認し、反応が無いと判断したら、速やかに胸骨圧迫を開始する必要があります。(もしAEDがあれば、近くの人にAEDを準備してもらう。)

 

 

――しかし、その場に居たほとんどのスタッフの身体が動きませんでした。

 

そのお坊さんは、結局私が意識確認などをした結果、呼びかけに反応したため、命に別状はありませんでしたが、もし心肺蘇生を必要とする状態であれば危ない状況でした。ボランティアスタッフも含め医療従事者が多数いましたが、いざとなると皆が適切なBLSの対応ができなかったことが私にとっては、衝撃でした。

 

 

現在、ミャンマーで実施しているBLSのレクチャー

 

僕は日本で“救急総合診療科”で働いていたため、ミャンマーに来てからもBLSのレクチャーを繰り返し行っています。

 

しかし、僕が働くワッチェ慈善病院には、AEDもBLS人形もないので、近くのザガインという町のおもちゃ屋で購入した子どもと大人用の人形をBLS人形の代用品として使っています。

 

▲現在BLS人形の代用品としている人形。心臓マッサージなどを実施する練習はできていますが、専用の人型の模型ではないため気道の確保などはできません。

 

 

ミャンマー人看護師も、いつも熱心にレクチャーを聴き、メモを取り、人形やお互いの身体で人が倒れた時の対応について練習を繰り返しています。

 

それでも、お坊さんが倒れた時に誰も反応ができなかったことから、「これはまずい!」と感じ、翌朝のミーティングから早々「ペットボトル」を用いたBLSのレクチャーを行いました。

 

▲ペットボトルで胸骨圧迫の疑似体験ができる研修を実施しました。(参照:ペットボトルで心肺蘇生訓練)(イラスト:仲本りさ)



「みんなBLSについてよく勉強して、ノートにメモも取ってくれる。でも、実際に目の前で人が倒れた時に、無意識に身体が動くところまで習熟しないといけない!」

 

そしてこのとき、ここワッチェ慈善病院にAEDとBLS人形が必要だと切実に思いました。

 

 

もし、AED・BLS人形が購入できたら•••
突然死で最愛の人を失う危険性を少しでも減らしたい。

 

今回のクラウドファンディングでいただいたご支援で、

・BLS人形(BLSシミュレータ,“ベーシック・ビリー”

・AED(カルジオライフ AED-3100

を購入したいと考えております。

 

これらの購入が叶えば、まず、ジャパンハートのスタッフ・ミャンマー人看護師にBLSやAEDの使い方を伝えることができます。そして、ジャパンハートの短期ボランティアに参加してくれる医療従事者や非医療従事者にもBLS・AEDの使い方を教えらます。

 

次に、彼ら・彼女達が毎月手術に来られる100名近い患者やその家族にAEDとBLSを伝えることができます。もしかしたら、その家族が何時間も離れた家にバスで帰ったとき、家で帰りを待つ親戚や近所の人に、人が倒れた時の対応の仕方を伝えてくれるかもしれません。

 

こうして経験を伴う知識が伝播していくことで、病院外でも、寺子屋・日本語学校での健診時・ワッチェ村のイベント時・マンダレーの日系企業でもBLS講習会ができます。

 

今回のBLS人形の購入とAEDの導入は、小さな一歩かもしれませんが、いずれ大きなアクションを起こすことができるものと期待しています。

 

 

発展途上国の医療とは「ブリコラージュ」である。
だからこそ、日本の皆さんと一緒に、
このクラウドファンディングを成功させたい。

 

もし発展途上国の医療を一言で表せ、と言われれば、僕は「ブリコラージュ」と答えます。ブリコラージュとは、目の前のあり合わせの材料や道具を寄せ集めてその時必要な物を作ることです。

 

BLS人形の代わりに使っている人形も、ペットボトルを用いた訓練も、身の回りのものを用いて今できる最前の方法を模索した結果です。今回の私たちのAEDやBLS人形が欲しい!、というクラウドファンディングのお願いは、「途上国になかったもの」を持ち込むという点で本来の「ブリコラージュ」の意図とは違うかもしれません。

 

でも、ここ数年でワッチェ周辺でもネット環境が整備されたおかげで「クラウドファンディング」という仕組みを用いることができ、また「一緒にこの取り組みを盛り上げたい!」といってくれる仲間にも恵まれました。こうした情報環境や豊かな人間関係を最大限に活用することも広い意味での「ブリコラージュ」なのではないか、僕はそう考えました。

 

世界を少しでも、わずか10cmでも動かしたいと願うとき、それは変わった後の世界を鮮明に思い描くこと、そしてそれを実現するための情熱とタフさが必要になる。

 

僕は、ミャンマーの救急医療をほんの僅かでも良い方向に変えたい、そう強く願い、今回の挑戦を立ち上げました。

 

ひとりでも多くの人が、このクラウドファンディングに協賛してくれることを、このミャンマーの地から、願っています。

 

ジャパンハート ミャンマー 長期医師ボランティア 大江将史

 

 

 

今回のクラウドファンディングを盛り上げてくれるメンバー

 

今回、この構想を企画した段階で、2018年10月にジャパンハートの短期医療ボランティアとしても参加いただいたことのある、病棟看護師兼イラストレーターの仲本りささんにご協力のお願いをしたところ快諾いただきました。

 

私にはすぐにミャンマーに行って現地で活動したり直接BLS講習を行うことはできませんが、イラスト提供という形で私とつながりのある日本の人たちみんなで協力して、ミャンマーの救命医療が少しでもよくなる方向に引っ張っていってくれるのを応援したいです!

 

と、ありがたいコメントをいただき、この企画が実現しました。その新鮮な眼で見、皮膚で感じたミャンマー体験記を、現在ナース専科で連載中です。(参照:仲本りさのナース日記、ミャンマーでも国際医療ボランティア体験レポート)

 

▲仲本さんらによる講習会の様子。多くの方が、熱心にその話に耳を傾けています。

 

▲口唇口蓋裂の患者家族との、手洗いレクチャー後の一枚。仲本さんが手洗い方法のイラストを描いてくださいました。ミャンマー・カンボジア・ラオスでも使用されています。

 

 

■ジャパンハートとは?

 

ジャパンハートは小児外科医の吉岡秀人が2004年に設立したNGOです。「医療の届かないところに医療を届ける」をミッションに掲げ、海外ではミャンマー・カンボジア・ラオスを中心に活動しています。

 

現在、僕が働くワッチェ慈善病院は、ミャンマーの第2の都市マンダレーから車で約1時間の場所にあります。この病院では、吉岡秀人と現地ミャンマー医師による外科手術を年間で計1,500〜2,000人の患者対して行っています。また、様々な人や団体からの寄付のおかげで、18歳以下の子どもに対しては手術・薬・入院の費用・交通費なども完全無料で治療を行うことができています。 

 

 

■ミャンマーの医療環境

 

ミャンマーでは、どの患者でも少なくとも1〜3人の家族が付き添われているので、外科手術の期間(毎月約1週間、手術を行う期間を設定しています)は、まるで小さな村のように人がごった返します。

 

手術は、朝8時30分のミーティングが終わり次第始まり、平均1日あたり20〜25件。最後の手術を終える頃には、日付が変わり夜中の1時や2時になる事も少なくありません。手術期間中はタフな環境ですが、「歩いてきた人を歩いて帰す」べく、日本人とミャンマー人が協力して一緒に活動しています。


外科手術期間が終了すると、病棟の看護師は術後の患者の創傷ケアにあたり、僕たち医師は外来診療を毎日行います。外来には年間12000人が受診され、ミャンマー語・英語・日本語を駆使してミャンマー研修医達と患者を一緒に診察していきます。

 

 

■仲本りさ・ワッチェ病院ボランティアレポート

 


 

仲本りささんの、ミャンマー ワッチェ病院での医療ボランティア現地レポートがナース専科で連載中。ワッチェ病院の様子、ミャンマーの医療環境のことなど、色彩豊かなイラストエッセイで読んでいただけます。

 

 

\【予告】ジャパンハート 2ヶ月連続クラウドファンディング企画!/

今回私たちはミャンマーのワッチェ慈善病院にAEDとBLS人形の導入を実施するためにクラウドファンディングに挑戦しておりますが、ジャパンハートは、4月1日よりカンボジアの小児がんの子どもたちに病院給食を提供するためのクラウドファンディングに挑戦いたします!

 

詳しくはこちらからご確認いただけます!(2019年4月1日以降ご覧いただけます。)


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