国際子ども権利センター(C-Rights)事業終了のお知らせ
いつも国際子ども権利センター(C-Rights)への温かいご支援をいただき、心より感謝申し上げます。代表理事の甲斐田万智子です。
2022年に皆様からご支援をいただいたプロジェクトは2024年にすべて終了いたしました。
以下、ご報告させていただきます。
最初にご支援をお願いした事業は次の3つでした。
①子どもの権利についての子ども向けの本の出版
②世界の子ども権利かるたを使った子ども向けワークショップ
③子どもの権利ファシリテーター養成講座(おとな対象)
その後、クラファンの期限前に目標金額の200万円を達成したため、次の2つの事業のためにネクストゴールを260万円に設定し、さらなるご支援を求めました。その結果、181人の方々から合計2,403,000円のご寄付をいただきました。ネクストゴールでご支援をいただいたご寄付に関しては、
④脳科学に基づく子育て講座開催(アンガーマネジメント)に使わせていただきました。
2023年度から昨年にかけて「世界子どもの権利かるた」を活用してのワークショップ、子どもの権利を子ども自身が使えることを目指して執筆した『毎日つかえる子どもの権利』の出版、子どもの権利に関する理解を深める子ども
①子どもの権利についての子ども向けの本の出版
「子どもの権利条約」や「こども基本法」にさだめられた子どもの権利の1つ1つを、子どもたちが毎日の生活で実際にどのように使えばいいのかを2024年12月末に出版しました(店頭に並んだのは1月初め)。当初は、小学生でもわかるような内容にしたかったのですが、42条まですべての子どもの権利を詳しく説明し、子どもがつかえるようにしようとすると小学生では難しく、対象を中学生からに変更しました。
それぞれの権利で扱っているトピック(子どもの最善の利益、差別されない権利、親からの暴力、性的搾取、児童養護施設で暮らすこと、法に触れた子ども、難民の子ども、障害をもつ子ども、マイノリティの子どもなど)において、当事者の子どもが権利をつかって、守ってもらえることを話しかけるように説明しました。
*本の概要
タイトル:『毎日つかえる子どもの権利』
著者:甲斐田万智子 出版社:アルパカ 定価 1800円(税別)
内容:「子どもの権利条約」はすべての子どもたちの強い味方であり、子どもたちが元気に幸せに生きていくために、日々の生活の中でそれをどのように使っていったらいいかを解説。また、条約だけでなく、「こども基本法」を味方につけ、相談していく方法も紹介しています。
②世界の子ども権利かるたを使った子ども向けワークショップ
シーライツの学生インターンが中心となって制作した『世界の子ども権利かるた~みんなで知ろう!わたしたちのチャイルドライツ』を活用して全国各地で24のワークショップを実施しました。
ワークショップでは、まずかるたで楽しく遊びながら子どもの権利について知ってもらい、そのあと、「一番印象に残ったかるた」「一番友達に伝えたいかるた」「新しく学んだ子どもの権利」「おとなにモヤモヤしていること」をディスカッションしました。ディスカッションのあと、甲斐田(代表理事)から、かるたに描かれている差別されない権利(ジェンダーや外国ルーツ)
また、2023年12月に沖縄で開催された子どもの権利条約フォーラムin沖縄の分科会と2024年11月に開催された子どもの権利条約フォーラムin東京の分科会でかるたワークショップを学生とスタッフ、代表理事で開催。
③ 子どもの権利連続講座
当初は、子どもの権利ファシリテーター養成講座を開催予定だったが、組織体制を検討し、理事の専門を活かした子どもの権利連続講座を以下のとおり3回にわたって開催した。
3回のテーマは以下のとおり。
1)子どもの権利条約が求める私たちの姿勢、2)子どもの権利保障に向けた「問い」、3)日本における難民の子どもの権利侵害について
【第1回】
日にち:10月12日(土) 時間:13:00-15:00
講師:寺中誠(C-Rights副代表理事、東京経済大学教員)
タイトル: 「国際人権法としての子どもの権利条約〜こども基本法が求める私たちの姿勢」
内容:
2023年4月に施行されたこども基本法に定められた子ども施策の基本である、国連子どもの権利条約の精神について。国際人権法としての子ども権利条約は、日本の憲法や法律へどのような意味を持ち、それによって私たちはどのような姿勢をもつべきなのか。
寺中誠プロフィール
立教大学、都留文科大学、文京学院大学、法政大学講師
【第2回】
日にち:11月2日(土)時間:13:00-15:00
講師:南雲勇多(C-Rights理事、奈良教育大学専任講師)
タイトル:「子どもの権利をもとに『問い』を立てる~子どもの権利保障に向けて」
内容:
子どもの権利保障のプロセスは常に問いの連続です。子どもの権利は保障されているのか。今行っている取り組みで子どもの権利が保障されるといえるのか。誰のどの声をもとに考えているのか。また、同じ子どもの権利をもとに考えていても意見が異なることもあります。子どもの権利保障に向けて問いを立てることについて。
南雲勇多プロフィール
専門は開発教育、国際理解教育、グローバル・シティズンシップ教育など。認定NPO法人開発教育協会(DEAR)理事、NPO子どもの権利条約ネットワーク運営委員。
【第3回】
日にち:11月16日(土)時間:13:00-15:00
講師:小川玲子(C-Rights理事、千葉大学大学院教授)
タイトル: 日本に暮らす難民の子どもたちの権利保障~日本における難民を取り巻く環境と受け入れ体制について~
内容:
日本に難民として逃れてきた家族の子どもの権利保障はどうなっているのか。子どもたちが日本で暮らして学び、将来に希望がもてるような選択肢は得られているのか。アフガニスタンから日本への難民家族への支援を行なうなかで、子どもたちの苦しみと権利侵害。
小川玲子プロフィール
千葉大学社会科学研究院教員
専門は社会学・移民研究。早稲田大学訪問研究員。千葉大学移民難民スタディーズ代表。
ネクストゴールでいただいたご支援によって実施した事業
④脳科学に基づく子育て講座(アンガーマネジメント)
2023年8月4日(猛暑中の子育てを応援するため) 及び12月22日(新年を新たな気持ちで子育てと向き合えるようにするため)に、オンラインにて実施しました。参加人数は、それぞれ36名と29名。
申込者の68%が怒りの感情の調整が難しい(うち18%は、非常に難しい)と事前アンケートで回答。参加者の58%が、18歳未満の子どもを育児中でした。
参加者からは、「対処法が具体的でわかりやすい」「自分に厳しいのでこの講座を聞いて気持ちが楽になった」等の感想が寄せられました。
2024年1月15日には、「こどもまんなか時代のアンガーマネジメント」という題名で、学童保育を運営する企業であるパソナフォスターの職員(保育士、学童クラブ指導員)向けに講座を実施しました。日々子どもに関わっている人100名が参加した。子どもがまんなかになった背景や、その根拠となった研究を紹介しました。また、子どもへのしつけの仕方についても、脳科学に基づく科学的根拠からも体罰や言葉の暴力が中長期的に子どもの成長に悪影響を与えることを解説しました。体罰や大声、脅しや辱めに頼らず、子どもと接する上でおとなの怒りの感情の抑制が基礎になることを伝え、その具体的な対処法を紹介しました。
【ご支援の使い道】
いただいたクライドファンディングについて以下のとおり、収支報告をさせていただきます。
ご支援いただいた金額 1,403,000円
手数料と消費税を差し引いた金額 1,953,639円
①子どもの権利についての子ども向けの本の出版
出版経費(アルパカへ支払い) 700,000円
リターンとして本の送料(111冊分) 21,485円
専門家などへの謝礼として贈呈分 7480円
小計 728,965円
②世界の子ども権利かるたを使った子ども向けワークショップ
ワークショップに講師を派遣するための人件費(依頼者とのやりとり、報告記事の執筆)
1回につき30,000円 ✕26回 780,000円
ワークショップ会場への交通費(甲斐田と学生 フォーラムなど地方出張費も含む) 26回分150,000円
貸出用かるた費用 3000円✕10 30,000円
ポストイットやペンなど消耗品・雑費 34,674円
小計 994,674円
③子どもの権利連続講座(おとな対象)
連続講座を企画・準備・開催・報告するための人件費
1回につき3万円✕3回 90,000円
④脳科学に基づく子育て講座(アンガーマネジメント)
子育て講座を開催するための専門家への講師料 40,000円✕2回 80,000円
講座を開催するための人権費(企画運営、依頼者とのやりとり、報告記事の執筆)
30,000円✕2回 60,000円
小計 140,000円
今後に向けて
2024年度に子どもの権利について紹介する動画を制作しました。今後はこの動画も広めていく活動をしていきたいと思います。
また、子どもに対する暴力をなくし、子どもにやさしいまち(Child Friendly City)づくり、子どもにやさしいハッピーな学校に向けて、自治体や学校の先生など、さまざまなステークホルダーにはたらきかけていきたいと思います。今後ともご支援のほど、どうぞ宜しくお願いいたします。





















