鹿産業に国策として取り組んでいるニュージーランド(以下NZ)はこの分野の先進国と言えます。

NZ農林省をトップとして、営利目的ではないDINZと言う団体がその下にあり、市場調査、開拓、流通調整、調査研究を行っています。関連業者や養鹿農家はその下にあり、鹿の生態に沿った共通の管理手法で飼育がおこなわれています。
 

その結果、コストや労力をかけない飼養管理と分業体制が構築されており、一定の基準を満たせば誰もが牧場を開設できるような環境があります。

一方、日本では鹿は家畜に指定されておらず、解体処理施設が共有されないため、稼働率が低く、販路開拓も個々の組織が独自で行っています。

 

エゾシカの一時養鹿施設は、誘引、捕獲から解体処理、加工に至るすべての生産コストが非常に高く、在庫や廃棄処理にも無駄なコストがかかっているのが現状です。

また、北海道では、狩猟個体のみ処理する処理場と、養鹿個体の両方を処理する施設があり、前者の施設では稼働期間が狩猟時期に限定されている場合が多いため、持ち込み個体数の変動に対処できず、猟期途中で受け入れ拒否となる場合も多いとのことです。全体的な管理システムが無く、コントロールが効かないことが優良なシカの資源が活用されない要因の一つです。

NPO法人北海道自然資源活用機構は、エゾシカ原皮の回収と流通、販売、加工のシステム構築を進めており、このプロジェクトの先には、管理技術の標準化があるのです。

NZは1854年に南島にイギリスからアカシカを持ち込んだのを皮切りに、1920年代までに北島全域に放獣がなされ、その後増えすぎたシカによって自然植生の深刻な影響を体験してきています。やはりNZでも狩猟による個体数調整を試みた時期があったのですが、欧米の鹿肉需要を契機に生体捕獲の有効活用に舵を切り、現在に至っています。

 

2002年にはNZのシカの飼養頭数は180万頭を超え、主要輸出品としての鹿産業もすでに確立しています。また、山岳地帯を中心に、アカシカ、エルク、オジロジカも生き残っており、DOC(自然保護省)により管理されています。NZは、試行錯誤の末に人とシカの共生の仕組みが確立した国と言えるのではないかと思います。

今の日本の状況を見ると、鹿の大きな市場として中国を中心としたアジアがあり、当時のNZの状況とよく似ています。NZのモデル、歴史に学ぶことによって、日本の鹿問題が解決できるのではないかと私たちは考えています。

今回のプロジェクトで本州でも誘引技術の有効性が確認されれば、鹿問題対策の方向性はNZ同様、180度一気に変わる可能性があるのです。資源の少ない日本の中でも、付加価値の高い独自の資源であり、固有の野生動物でもあるエゾシカとの共生、皆様のご理解と後押しがその力になります。

ぜひ皆様のお力添えを、重ねてお願い申し上げます!


 

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