田舎に突如現れる面白いホール

この写真は、私がコルトーホール勤務時代に徒歩通勤する時によく通っていた田んぼのあぜ道から撮ったものです。
水が入った田植え前の田んぼが水鏡になって、実際にはもっとびっくりするぐらい真っピンクな夕焼けを映しています。

ここから歩いて15分くらいのところに、川棚温泉というひなびた温泉街があり、その中に突如現れるコンクリートの変な形の建物がコルトーホールです。
隈研吾さんの設計事務所が手がけた建物で、日本建築学会作品選奨 (2012)に選ばれています。
▼隈研吾建築都市設計事務所ウェブサイト▼
http://kkaa.co.jp/works/architecture/shimonoseki-shi-kawatana-onsen-koryu-center/

「PLOT」という専門誌には、この最終形に至るまでの幾つかのデザイン案も載っていて、それはそれは、こんなのどうやって作るんだ？！？！という斬新な形でした。

ともあれ、今のコルトーホールも、初めて訪れた方のほとんどが、この突如現れる姿にぎょっとする事でしょう。

設計事務所のウェブサイトにある通り、民俗資料館からカフェはひと続きの空間で一番奥の多目的ホールに続いています。建物が変な形なので、機械室のあるバックヤードの動線も入り組んでいて面白い。

私はまず最初に、この建物の変な面白さを存分に利活用していただきたいと堀尾さんにお願いしました。

今回のインスタレーションは、烏山民俗資料館の一番高い壁の裏、宙空、スロープ下の格子の向こう、そういうところに作品の一部が設置され、それが発する何かが、カフェの宙空を経て、メインの多目的ホールへ至ります。

メインの多目的ホールの大窓の外は、山です。夜は真っ暗。イノシシやシカやキジがごくあたりまえにうろうろしています。

田舎にあるから面白い。そう思っています。

増田玲子