【完結編】国立科学博物館「3万年前の航海 徹底再現プロジェクト」

【完結編】国立科学博物館「3万年前の航海 徹底再現プロジェクト」

支援総額

33,402,000

目標金額 30,000,000円

支援者
877人
募集終了日
2018年9月14日

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2018年08月14日 12:13

3万年前の丸木舟製作実験 【こんな質問があった!】レポート


世界初! “3万年前の丸木舟” 製作実験

【こんな質問があった!】レポート


 皆様、たくさんの応援、本当にありがとうございます。お陰様で、現在12,350,000円、41%まで到達することができました!日々増えて行くご支援に感激しております。今回のレポートは、海部先生監修のもとクラウドファンディング事務局の田島が担当しております!

 

 “旧石器時代丸木舟” の製作を請け負ってくれた縄文大工・雨宮国広さん

 

 さて、お盆でお休みの方も多いかと思いますが、大盛況だったイベントについてレポートさせていただきます。国立科学博物館にて7月26日~8月7日まで行われた「“3万年前の丸木舟” 製作実験」公開イベントですが、驚きと知的好奇心でワクワクされている大勢の皆様の表情を見ることができ、何よりも嬉しく感じました

 

 暑い中でしたが1人で超人的な作業を続けた大工の雨宮さん、実験リーダーの山田先生、ボランティアスタッフの皆様、そしてもちろん海部代表も参加し、迫力の実演と満面の笑みの解説トークで、会場はおおいに盛り上がりました!


 残念ながら会場に来られなかった方にもイベントの様子が伝わるよう、写真と現場でいただいた質問をいくつかピックアップして、ご紹介したいと思います!

 

国立科学博物館にはるばるやってきた大きな丸木

 

丸木は何の木?どこからどうやって持ってきたの?

 
 

 この丸木は、石川県の能登半島に植えられていた「杉の木」です。NHKスペシャル「人類誕生」をご覧になった方々にお教えしますと、「番組で倒されたあの木がこれです!」。樹齢は140歳程度。直径1m、切り出して持ってきた状態での長さは7.5mの大きさでした。昨年9月に能登で行なった伐採実験で、3万年前に存在した石斧を3万6千回も振るった結果、6日目に切り倒すことができました。持って来るときは、大型トラックを使って国立科学博物館まで持ってきたんです。

 

 「何百年生きた木に向かって斧を入れるというのは、『命をいただく』という気持ちで。本当に祈らなければいけないような心境になります。『絶対にすべてを活かしていこう』という気持ちの中で斧を入れるんです。(縄文大工・雨宮国広さん)

 

能登の木を石斧で切り倒す縄文大工・雨宮国広さん

 

そもそもあの「縄文人」みたいな人は何者なの…?

 
 

 雨宮国広(あめみや・くにひろ)さんは、NHK番組「超絶 凄ワザ!『極限の薄切りを目指せ~手ノコ編~』」(2015年1月)に出演し、「ノコギリ極薄切り」を披露するなど、“普通の”大工さんとしても、超が付くほどの大工の名人。

 

暑い中常に太陽のような笑顔!一番乗りに現場にきて作業を進める雨宮さん

 

 ひょんなことから、鉄の斧に比べ作業に20倍もの時間が掛かる「石斧」に目覚めました。ご本人曰く「その速度が人の心と体のリズムに合っている」んだそうそして縄文時代の人たちの道具だけを使って、当時の「竪穴式住居」を、そっくりそのまま作ってしまおう!ということに挑戦。もちろん丸太で舟を作った経験も。

 

 今は、道路で轢かれて死んでしまった鹿さんや熊さんを、黒曜石のナイフで皮をはいで洋服にし、そのお肉を頂いて、山梨の里で取れる穀物を食べながら、裸足で生活しているのです…!

 

▲動画では「雨宮さんへの質問コーナー」として、「普段は何を食べているの?」、「いつもは何を造っているの?」などの疑問が投げかけられました。

 

 

丸木舟は後どれくらいで完成するの?

 
 

 石斧で切り倒すのに6日間、丸太をくり抜くのに、最終日の時点では、大体8万回石斧を振るい、40~45cmくらいの深さまで掘り下げました(ここまでは、ほとんど雨宮さんお一人のお力で成し遂げました!)。

 

回数確認は、考古学の山田昌久先生がカウンターで毎回記録!一回のミスも許しません

 

 最終的には、舟の外壁が5cmほどの厚さになるまで削ろうかと相談しています。最後に海に出してテストし、漕ぎ手の方の意見を聞きながら、例えばへりの高さをどれくらいにするかなど、仕上げを行ないます。今のところ、2018年9月の完成を目指しているのだそうです。

 

▲動画は舟のへりの部分を削っている様子。一般人ではこんなに素早く、綺麗に成形することはできません。足に斧があたるんじゃないかと見ていてヒヤッとしてしまいますが、一定の場所に狂いなく斧が刺さる雨宮さんだからできる名人芸です。

 

 

石斧の「石」と「斧の柄」と「紐」は何でできているの?

 
 
大きさ、角度、石の刺さっている向きもそれぞれ異なることがわかりますね

 

 実験用の石斧には、「蛇紋岩(じゃもんがん)」という石を使っています。そういう磨製石斧が多くの遺跡で見つかっていて、3万年前の旧石器時代から存在したことがわかっているんですね。この石なら木を叩いて5万回で少し丸くなるくらい。とても強い石なんです。石の大きさも実際に、19cm程度のものや5cm程度のものまで見つかっているらしく、イベントでも様々な大きさの磨製石斧が使われました。

 

 私は教科書で「打製石器は旧石器時代のもの、磨製石器は新石器時代から使われ始めた」と習い、テストではそう回答してきました。それが実は!今の研究の最先端の常識は、「日本には旧石器時代から磨製石器が使われていた」なのです。驚きですね。

 

 柄の部分は、縄文時代のもので出土している石斧を参考にして、枝ぶりが使いやすい「サカキ」という木を使っています。ちょうど折れ曲がっている部分、別の木と木を何かで接続しているのではなく、枝分かれした部分をそのまま使っているのが分かりますね。これが非常に便利なのだそうです。

 

 紐としてかつて使われていたものは、「からむし」という植物から糸を紡いで紐にしたものなどが考えられているそうですが、写真のものは現代の既製品の糸を代用しています。

 

 

わ!石斧が欠けた!大丈夫😨

 
 

 ある日の丸木舟製作実験中に、起きた出来事。縄文大工の雨宮国広さんが「あ!欠けた」と一言。「あわや実験中断?これは大変なことになってしまったのか…?」と一瞬周りがヒヤッとしたのを横目に、

 

 「欠けたー!!!😊」と考古学の山田昌久先生(首都大学東京)。何故かとっても嬉しそう。というのも、出土する石器には「欠けている」ものがあり、それと実験で欠けたものを比べて、昔の道具が実際に何に使われていたかという研究ができるそう。「見てるところが違うのね!」、と思った瞬間でした。

 

嬉しそうに欠けた石斧を手にする山田昌久先生!
欠けた石斧

 

どうやって丸木をくり貫いているの?

 
 

 石斧で少しづつ削り取っているわけではないんです。まず最初の写真、くり抜かれた中に「縦に切れ込み」のようなものが入っているのが分かりますか。 

 

 

 この部分に、樫の木でできた楔(くさび)を使って、石斧で楔を刺し(叩き)込みます。そうすると雨宮さんが両手でがっしり持ち上げるくらい大きな木の破片となって剥ぎ取ることができるのです。こうやって効率よく作業を進めて行きました。

 

 

▲動画は楔(くさび)を打ち込んでいる時の様子です。大きな音が響きます。
 

 この調子で進められれば、本当に 「“3万年前の丸木舟”を作る実験」 は成功しそうですね!3万年前の道具で丸木舟は作れる!そう確信できる最終日でした。

 

 

 

# 行くぞ日本

 
 

 イベント中に、丸木舟を追う伴走船に掲示する「横断幕」に応援のメッセージと、「#行くぞ日本」を合言葉にたくさんの応援の言葉をもらいました!最後に、一気にどうぞ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本プロジェクトへのご支援は以下から

 

 

 

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