一次医療を担う薬局のDX化で医療アクセス改善へ

支援総額

2,205,000

目標金額 2,000,000円

支援者
57人
募集終了日
2023年12月19日

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プロジェクト本文

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はじめに

 

私たちはmiupというスタートアップ企業です。(https://miup.jp

 

miupは2015年に設立され、そのミッションは「世界の果てまで医療を届ける」ことです。特に、医師不足や医療機関へのアクセスが難しい地域で、人々が適切な医療を受けられるようにすることが私たちの目標です。

 

その一環として、私たちはバングラデシュで、健康診断の提供や血液検査室の運営、遠隔医療などを通じて、医療資源の乏しさを補い現地の方々の健康をサポートするサービスを提供して参りました。直近では、Omusubiという医療機関向けソフトウェアβ版もローンチし、医療機関の業務効率化をサポートしています。

 

今、私たちは新たな挑戦として、リスクアセスメントシステム(RAS)の本ローンチに向けたプロジェクトを立ち上げました。このプロジェクトは、薬局での初期診療をサポートし、重症リスク・緊急性の高い患者に対して医療機関への受診を促すことで、適切な医療を受けられるようにするものです。

 

今回、その実現に向けて、クラウドファンディングを通じて資金を募ることにしました。

 

(御本人より掲載について承諾を得ています。「撮影:横川祐太郎」)

 

 

医療資源の乏しいバングラデシュ

 

医療資源の乏しいバングラデシュバングラデシュは、質の高い基本的な医療サービスへのアクセスに困難を抱えています。その一つの要因として、医師不足や医療施設不足と言った医療環境上の問題が挙げられます。

 

バングラデシュの場合、2020年の人口1万人当たりの医師数は6.7人*1 となっています。同年の日本の人口1万人当たりの医師数は26.1人*1であり、さらにWHOが推奨する10人と比べても極めて低い数値です。

 

バングラデシュの人口が1億7千万人を超える*2 ことを考えると、医療資源不足によって医療サービスを受けられない人が多数いることを物語っています。国民の70%が存在する農村部においては、特に医師数が少なく10,000人当たり1人の医師*3 しかおらず、人生で一度も医師の診察を受けたことがない人も珍しくありません。

 

実際、生まれてから一度も血液検査を受けたことがないという方も多く、私達が現地で行っている企業向け健康診断などでも生まれて初めての血液検査に驚く方も多数経験してきました。逆に、未治療の病気が多く見つかっており、治療が必要な糖尿病や貧血など多数の病気が2割以上の方で見つかっています。実際、バングラデシュの糖尿病患者や高血圧患者の8割以上は未治療であるという報告*4, 5 もあります。

 

一方で、これまでバングラデシュでは結核や肺炎といった感染症が死亡原因となっていましたが、現在ではこうした糖尿病などの慢性疾患(非感染性疾患)が健康を害する大きな原因の一つであり、死亡原因のトップは心筋梗塞や脳梗塞といった心血管疾患です。今後もこうした非感染性疾患の患者数は増加すると言われており、例えば糖尿病患者数は2021年で1313万人とすでに日本より多いと推計されており、2030年には1680万人にまで増加し、世界ワースト10入りが確実視されています。*6

 

こうした状況の中、人々の医療面での駆け込み寺となってきたのは薬局でした。

 

*1: World Health Organization. https://www.who.int/

*2: The World Bank. https://data.worldbank.org/

*3: The State of Health in Bangladesh 2007.

*4: Islam MT, Bruce M, Alam K. Cascade of diabetes care in Bangladesh, Bhutan and Nepal: identifying gaps in the screening, diagnosis, treatment and control continuum. Sci Rep. 2023 Jun 24;13(1):10285.

*5: Ahmed, S., Tariqujjaman, M., Rahman, M.A. et al. Inequalities in the prevalence of undiagnosed hypertension among Bangladeshi adults: evidence from a nationwide survey. Int J Equity Health 18, 33 (2019).

*6: IDF diabetes atlas. https://diabetesatlas.org/

 

(御本人より掲載について承諾を得ています。「撮影:横川祐太郎」)

 

 

|一次医療を担う薬局

医師・医療機関の不足する新興国において、一次医療の担い手として医療機関ではなく薬局がその受け皿になっている国が多く、バングラデシュにおいても人口1億7千万人に対し、約22万件の薬局が存在し、これら薬局は医師や医療機関が不足している同国において人々の身近な健康相談先・一次医療の担い手として機能してきました。

 

 

|頼れる存在の一方、違法薬局が蔓延る実態

バングラデシュでは、慣習的に医師の処方箋がなくても薬局スタッフに症状を相談することで薬の販売や処置アドバイスをもらうという慣習が一般化していますが、本来十分な医療教育を受けていないとならない薬局スタッフにもかかわらず、全国約22万件ある薬局のうち約10万件はライセンスを持たない政府非認可薬局(違法薬局)*1, 2であり、これら政府非認可薬局は、適正な医療教育を受けていない人々によって運営されています。(10万人当たりの薬剤師数は日本の1/40 *3)このため、薬局での診療(的)行為の質は低く、抗生剤の不適切使用など薬局で誤った薬を処方されるリスクが高まっています。また、重症化する可能性のある疾患を持つ人々が、医療機関への受診をせずに病気が重篤化するケースも多く存在しています。

 

*1: The Directorate General of Drug Administration (DGDA). http://www.dgda.gov.bd/.

*2: Arlington V. Baseline Study of Private Drug Shops in Bangladesh: Findings and Recommendations. the US Agency for International Development by the Systems for Improved Access to Pharmaceuticals and Services (SIAPS) Program.

*3: https://getnavi.jp/nbi/773082/

 

|薬局のDX化によるエンパワー

人々の身近な存在である薬局を有効活用していけば、人々の医療アクセスの問題を一部改善できる大きな可能性を秘めている一方、医療資源が限られた場所で実質的な一次医療の担い手として運営されていることも事実であり根深い問題です。私たちは、医療機関・薬局・患者を繋ぐOmusubiというシステムのβ版をリリース*1し、医療エコシステムのDX化を図ることで医療リソースの最適化を試みてきました。 *1: プレスリリース. https://www.dreamnews.jp/press/0000282884/

 

 

(御本人より掲載について承諾を得ています。「撮影:横川祐太郎」)

 

今回、私たちがご支援いただきたいのは、一次医療を担う薬局をICTを用いてエンパワーメントする(できることを増やす)ことで、知識不足・リソース不足などで見落とされている患者をスクリーニングするトリアージシステム、リスクアセスメントシステム(RAS)です。

 

 

新たな挑戦

 

今、私たちは新たな挑戦として、リスクアセスメントシステム(RAS)の本ローンチに向けたプロジェクトを立ち上げました。このプロジェクトは、薬局での初期診療をサポートし、重症リスク・緊急性の高い患者に対して医療機関への受診を促すことで、適切な医療を受けられるようにするものです。今回、その実現に向けて、クラウドファンディングを通じて資金を募ることにしました。私たちの活動に共感していただける方々のご支援を心からお願い申し上げます。

 

|リスクアセスメントシステム(RAS)の詳細

リスクアセスメントシステム(RAS)とは、薬局スタッフが患者の症状を入力することで、可能性のある疾患とそのリスクを評価するシステムです。リスクが高い場合には、診療科を備えた適切な近隣の医療機関を紹介します。これにより、現在は、薬局スタッフの勘や経験知で行われていた処置やアドバイスに対して、システム導入により適切なアドバイスを提供し、必要に応じて専門的な医療機関への受診を促すことができます。

 

このRASの普及には500万円ほどかかると見込んでいます。薬局へのシステム使用トレーニング、病院への紹介システムの追加開発、紹介料の支払いシステムの実装などが内訳です。

 

RASは薬局へ導入するため、収益性が低いのが現状です。薬局は薄利多売の構造となっており新たなシステムへの支払いができるほどの余裕はありませんし、利用者もそれほどの余裕はありません。しかし、我々のシステムの中でRASは利用者の入り口として機能するだけでなく、最も多くの方の健康に寄与できる部分であり、非常に重要な機能を担います。

 

そこで、クラウドファンディングを通じてRAS普及コストの一部である200万円を集めることを目標といたしました。

 

現在は2024年中に、1000件以上の薬局で運用を開始することを目標としています。その目標が達成できれば、全国22万件の薬局普及を目指して製薬会社や病院を通じての全国普及を目指します。

 

 

プロジェクトの展望・ビジョン

 

|示された有効性

これまでの私たちは、リスクアセスメントのβ版を用いた実証試験をおこなってきてその有効性を試してきました。実証試験では、リスクアセスメントを導入した薬局のうち、13.5%の患者が薬局の処置では不十分な高リスク群と判断され、適切な医療機関へ紹介されました。*1

私達は、リスクアセスメントシステムが医療資源が限られた環境でも、患者が必要とする医療サービスにアクセスできるようにするための重要なツールだと考えています。このシステムにより、未診断の疾患が見逃されるリスクを減らし、患者の健康状態の改善に寄与することが期待できます。

 

例えば、以下のような方がいました。39歳の男性が、胸部の違和感のため薬局を受診されました。Omusubiシステムの問診に答えたところ、システム上で受診を勧められました。受診した医療機関で心電図検査を行ったところ、不整脈が見つかりました。この不整脈は血栓ができやすく、脳梗塞を起こしやすい種類のものであったため、この男性はワーファリンという血液を固まりにくくする薬が処方されました。この男性は、私達のシステムがなければ医療機関を受診せず、数年後に脳梗塞を起こし、体の半分が麻痺したり、命に関わる状態になっていたかもしれません。

 

こうした、薬局の知識不足によってこれまで見過ごされていた病気が、早期に見つかり治療できるようになると、脳梗塞や心筋梗塞など重篤な病気を防ぐことができます。

 

日本にいる皆様には、血液検査を受けた経験がない生活は想像できないかもしれません。しかし、血液検査の針を見ただけでびっくりするような方がいるほど、医療へのアクセスが遠い国があることも現実です。糖尿病、高血圧といった病気になっていても、症状がないため8割以上の方が見落とされています。こうした病気は早めに見つけて正しい情報があれば、安価な治療で健康になることができます。

 

正しい情報もなく、検査する機会もないために治療のチャンスが奪われている方がたくさんいます。我々のシステムは、そのような方々に最も安価で効率的に治療のチャンスを提供できる仕組みだと考えています。

 

ご支援頂ければ大変うれしいです。

 

*1: 『バングラデシュにおける民間薬局を軸とした NCDs早期発見システム構築実証及び ヘルスケアビジネスの展開調査プロジェクト』報告書(2022年3月 自社調査). https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/iryou/downloadfiles/pdf/r3fy_hojyo_miup.pdf

 

 

メンバーのご挨拶

 

私たちはmiupというスタートアップ企業です。miupは2015年に設立され、そのミッションは「世界の果てまで医療を届ける」ことです。特に、医師不足や医療機関へのアクセスが難しい地域で、人々が適切な医療を受けられるようにすることが私たちの目標です。

 

その一環として、私たちはバングラデシュで、健康診断の提供や血液検査室の運営、遠隔医療などを通じて、医療資源の乏しさを補えるよう努めてきました。。直近では、Omusubiという医療機関向けソフトウェアβ版もローンチし、医療機関や各局の効率化をサポートしています。 

 

私たちmiupのメンバーは、医療の現場で働くプロフェッショナルから、AI技術の専門家まで、様々なバックグラウンドを持つ人々で構成されています。私たち一同、このプロジェクトを通じて、バングラデシュの医療状況改善に貢献できることを心から願っています。

 

(御本人より掲載について承諾を得ています。「撮影:横川祐太郎」)

 

 

プロジェクトリーダーの想い

 

代表取締役CEO:森田知宏(M.D., Ph.D.)

 

経歴:

東京大学 医学部 医学科卒業(医師、医学博士)創業直後からmiupに参加し、現在は代表取締役を務める。公衆医療資源が不足する途上国にて、効率的な医療の理想形を探りたいと考えている。これまでmiupが行う医療機関の立ち上げや医師としての観点を活かしサービス開発を行い会社を牽引。


私が初めてバングラデシュを訪れたのは2016年でした。当時、私は東日本大震災の被災地で医師として勤務していました。その経験から、医療資源の乏しい地域では公衆衛生の改善が非常に重要であると痛感しました。

 

バングラデシュにおいても、この認識は変わりませんでした。特に、薬局によるプライマリケアレベルの向上が非常に住民の健康に寄与すると信じています。薬局は、多くの人々が最初に医療サービスを受ける場所であり、その質を高めることで、未診断の疾患を早期に発見し、適切な治療へとつなげることができるのです。このことは2018年頃から痛感していました。(http://medg.jp/mt/?p=8453

あれから5年経ち、ようやくメンバー、システム、現地の環境も含めて貢献できる体制が整いました。

 

私たちのプロジェクトは、バングラデシュの人々にとって、より健康で豊かな生活を実現する一歩となると確信しています。あなたのサポートが、この重要な使命を達成するための力となります。

 

どうぞご支援のほどよろしくお願い申し上げます。

 

プロジェクト実行責任者:
森田 知宏(株式会社miup)
プロジェクト実施完了日:
2024年3月29日

プロジェクト概要と集めた資金の使途

システム開発や運用を行います。 いただいたご支援は薬局スタッフのトレーニング費、システムの改修費に使用します。

リスク&チャレンジ

プロジェクトに必要な金額と目標金額の差額について
必要金額と目標金額の差額は自己負担で対応します。

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プロフィール

東京大学 医学部 医学科卒業(医師、医学博士)創業直後からmiupに参加し、現在は代表取締役を務める。公衆医療資源が不足する途上国にて、効率的な医療の理想形を探りたいと考えている。これまでmiupが行う医療機関の立ち上げや医師としての観点を活かしサービス開発を行い会社を牽引。

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リターン

3,000+システム利用料


alt

応援コース

活動報告書(PDF形式でメールで送付)をお送りします。

支援者
5人
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2024年4月

10,000+システム利用料


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活動報告書①

活動報告書(PDF形式でメールで送付)をお送りします。

支援者
44人
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2024年4月

50,000+システム利用料


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活動報告書②

活動報告書(PDF形式でメールで送付)をお送りします。

支援者
5人
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2024年4月

500,000+システム利用料


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【500000円】応援コース

活動報告書(PDF形式でメールで送付)をお送りします。

支援者
3人
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2024年4月

プロフィール

東京大学 医学部 医学科卒業(医師、医学博士)創業直後からmiupに参加し、現在は代表取締役を務める。公衆医療資源が不足する途上国にて、効率的な医療の理想形を探りたいと考えている。これまでmiupが行う医療機関の立ち上げや医師としての観点を活かしサービス開発を行い会社を牽引。

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