早期発見と個別治療最適化で、膵臓がんで亡くなる患者さんを減らしたい

早期発見と個別治療最適化で、膵臓がんで亡くなる患者さんを減らしたい

寄付総額

20,055,000

目標金額 15,000,000円

寄付者
1,002人
募集終了日
2021年9月30日

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2021年09月07日 11:37

【対談#1 前編】外科医 里井壯平先生とともに

 

 

東北大学の古川 徹です。7月2日に当クラウドファンディングを始めてから、約2ヶ月が過ぎました。皆様からのあたたかいご寄付・応援のおかげで、寄付総額が1300万円を超え、目標の1500万円に大きく近づいております。引き続き、ご寄付・応援のほどよろしくお願いいたします。

 

さて、この度、関西医科大学の外科で膵臓がんの患者さんの診療にあたっておられ、2年前にクラウドファンディングにもご挑戦された里井壯平先生と、オンラインにて対談を行いました。膵臓がんに関わる私たち医師が日々考えていることを、じっくりお話させていただきました。本研究にかける思いを、ご一読いただければ幸いです。

 

 

古川:里井先生、本日はありがとうございます。

 

クラウドファンディングで研究資金を募るという形は、多くの方からご推薦いただき、その際に里井先生のご意見も伺いました。東北大学の本部のご支援もいただき、7月にスタートを切りました。

 

クラウドファンディングへの挑戦は初めてなので、どういった形になるか全く予想できませんでした。これまで2ヶ月ほどで88%、1300万円を超えるご支援をいただき、とてもありがたく思うと同時に、驚いています。ありがとうございます。

 

膵臓がんに立ち向かう、研究者の「同志」として

 

− 古川先生と里井先生は、どのようなおつながりでいらっしゃいますか?

 

古川:里井先生とは膵臓がんの研究者同士、長年のつながりがあります。膵臓がんの研究者は、研究者間のコミュニケーションが比較的多いのです。

 

里井先生のような外科や内科・放射線科の臨床の先生だけでなく、私のように病理学、また生化学的、分子生物学的な基礎医学の研究者も一堂に会する、「膵臓学会」という場があります。学会をきっかけとして日常的にいろいろな話を伺いながら、それぞれが研究を進めていくという形で、医学系の研究分野としては、お互いの距離が近いとてもユニークな交流の場となっています。

 

里井:私が膵臓の世界に身を置いてから、大活躍されている古川先生しか見たことがありません。病理学的な見地から、非常に卓抜したご研究をなされており、多くを学ばせていただいています。この場をお借りして御礼申し上げます。

 

 

里井:古川先生ももともと外科医で、外科医の観点からお話しくださるので非常にわかりやすいです。外科医は(僕だけかもしれないですが)、難しいことは横に置いてしまいますので、それをつないでくださるところが非常にわかりやすく、さらに国内だけでなく世界に通用する、世界をリードするデータや論文を多く発表されていて、世界の膵臓学会の中でも重鎮で、非常に重要な位置を占めておられる先生です。

 

今回のクラウドファンディングで、膵臓がんの研究に新たな展開を作ってくださること、大きく期待し、応援している次第です。

 

病理医と外科医、それぞれの立場からの取り組み

 

− 先生方のこれまでの研究などについて、お聞かせください。

 

古川:私の医者としてのスタートは外科で、現在所属している東北大学の外科(少し前までは第一外科と呼ばれていました)の外科医としてスタートし、いろいろな患者さんをみてきました。東北大学の外科は、膵臓がんの患者さんを診察する機会が多く、その中で膵臓がんは、どうしても発見が遅く、亡くなる方も多く、こういった方を救うにはどうすればよいか考えるようになりました。

 

研究を進めて、新しい診療あるいは治療方法などを開発しなければ、膵臓がんの患者さんを救うことはできない、との考えから、現在の病理学の道に進んでいます。

 

 

古川:外科の先生方、里井先生はじめ東北大学の海野先生にも非常に懇意にしていただいていますが、そういった臨床の先生方と話をさせていただきながら、臨床に役にたつ研究を進めたいと考えてきました。その1つとして今回のプロジェクトがあります。ぜひとも成功させたいということで、一生懸命頑張っているところです。

 

里井:私自身は1991年に医師になりまして、その後、外科医の道を歩んでいます。古川先生は私の大先輩の外科医です。膵臓外科の領域に入ったのが2000年くらいで、それから20年以上が経ちました。

 

膵臓外科はだいたいそのころからクローズアップされ、この20年で一気に進歩・発展した領域だと思います。膵臓がん領域についても同様で、大きな進歩がみられるものの、未だに5年生存率が8%程度と、極めて予後が不良の疾患となっています。

 

我々は外科医ですので、膵臓がん全体のおよそ30%の切除可能な膵臓がんに対して、手術治療や集学的治療を導入し、患者さんの予後向上を目指しているところです。膵臓がんは、手術ができない患者さんが大多数で、そのような患者さんを化学療法、化学放射線療法を駆使してがんを小さくして手術をする、ということも行っています。

 

さらに、腹膜転移に関してもあきらめず治療を工夫して腹膜転移を消失させて手術をする、というアプローチを行ってまいりました。

 

クラウドファンディングによる資金調達と、その後

 

− 里井先生、前回のクラウドファンディングについても、ご紹介をお願いいたします。

 

里井:この場をお借りいたしまして、2年前の「腹膜転移膵がんに対するS-1+パクリタキセル経静脈・腹腔内併用療法の有用性を検証するための多施設共同第Ⅲ相試験」にかかるクラウドファンディングへの挑戦に関しまして、皆様にご協力、ご尽力いただき心より感謝申し上げます。

 

皆様のご尽力のおかげで成功させていただき、2020年2月から実際に試験を開始することができました。奇しくも、Covid-19のパンデミックと同時期に重なってしまいまして、患者さんの登録は予定の半分くらいにとどまっているのが現状です。

 

 

里井:この研究は、特定研究ならびに先進医療という2つのハードルが存在し、試験に参加するために必要な膨大な作業があるため、各施設足並みが揃っていませんでした、ただ、ここ数ヶ月で施設の参加数も増え、うやく8〜9割の施設が参加可能となってきましたので、今後ますます患者さんの登録を増やして試験を遂行していきたいと考えています。

 

膵臓がん治療の現状を、少しでもよくしていくために

 

−お二人が医師として膵臓がんに立ち向かう、きっかけや想いなどを教えてください。

 

古川:医師になったばかりのころから、多くの膵臓がんの患者さんを見させていただき、外科医として診療にあたっていたわけですが、里井先生がおっしゃっていたように、そもそも外科の対象となる膵臓がんの患者さんは2割〜3割など、少ないという現状があります。

 

その中でも、膵臓の手術は非常に侵襲が大きく、患者さんの負担がとても大きいという手術です。今は色々な進歩があり、かなり手術負荷も軽減されてきてはおります。そこは里井先生がご専門ですので非常に詳しいのですが、大変な手術を得てやっと退院した患者さんを見ていても、半年〜1年くらいで再発してしまい、また病院に戻ってくるという方がどうしても多くいらっしゃいます。

 

例えば手術でどうしても取れないような患者さんでも、なんとか体への負担を軽減するために、例えば胆管がつまっていて黄疸になっていて、そこに胆汁が流れるよう外科処置をして、いったん黄疸はよくなって帰ります。ただそういう患者さんでも、1週間しないうちに今度はご飯が食べられなくなるなど、患者さんが苦しむところを見ざるをえない形になっていることが多いのです。そういったことがあって、膵臓がんの研究に自分の関心が向いたというところがあります。

 

膵臓がんでポイントになるのは、早期の段階で見つけることと個々の患者さんにあった治療をすることと考えており、この2つのポイントを進める研究をしていきます。

 

里井:もともとは消化器外科医ですので、消化器外科医として一般の教育を受けて、ヨーロッパへ留学しました。帰国して何をするかというところで、難しい手術と治療の選択肢が少なく難治の癌である膵臓がんの治療成績を改善したいという思いがあり、膵臓外科の道を選びました。その当時は、手術数も少なかったですし、合併症と死亡率が非常に高かったので、それをどうにか他の消化器外科手術と同じレベルにもっていきたいと考えていました。

 

膵臓がんは、20年前は半年で50%くらい再発していました。5年生存する患者さんは少かったので、新しい治療を導入し、手術成績を改善するという形でチャレンジしていけるところがありました。そして何よりも、患者さんががんばって大きな手術を克服したにもかかわらず、また再発して苦しむ患者さんを見て、どうにかしたいと強く思いました。

 

 

里井:その典型的なパターンが腹膜転移です。腹膜転移は手術もできず、化学療法しかできない状況であり、その化学療法も継続が困難でほとんどの場合治療は断念せざるを得ない状況でした。このような治療法のない腹膜転移膵癌に対して新しい治療を導入し、少しでも多くの患者さんとそのご家族に希望をお与えできるようになればよいなと考えていました。

 

基本的には古川先生と同じで、膵癌の患者さんならびにご家族は、あれよあれよと悪くなっていって、気持ちの整理もつかず、残された時間はいくばくもないというような状況でした。それを少しでもよくしなければと、啓発活動から検査方法の開発・手術方法の改善・合併症対策・集学的治療の導入、という形で膵癌治療を展開してきました。

 

多くの方々の共感・応援を、研究の原動力にかえて

 

− さて、古川先生のクラウドファンディングへの挑戦も期間折り返しとなりました。ここまで振り返ってみていかがでしょうか?

 

古川:始める時はどういった形になるのか全くわからず手探りの状態だったのですが、そもそも始めようと思ったきっかけが、どうしても研究費を迅速に得たいというのがありまして、色々な方にお話を伺い、クラウドファンディングをご紹介いただいたということろから始まっています。

 

現時点で目標1500万円のところ1300万円を超えていて、多くの方にご寄付いただき本当にありがたく思っております。かつとても驚いているというのが正直なところです。

ご寄付いただいた方が色々なコメントを残してくださり、それらも読ませていただきました。やはり患者さん、あるいは患者さんのご家族からいただくご寄付が多く、コメントを読むと先ほど里井先生からもありましたように、

 

「自分のお父様に膵臓がんが見つかったけれど、発見された時には転移があって、あるいは腹膜播種があって、手術もできない状態で半年でなくなってしまいました。どうしても早期発見できるようにしてください。」「膵臓がんで診療されていて、色々な薬の副反応で苦しんだ」というコメントをされている方もいらっしゃいます。

 

 

古川膵臓がんで亡くなる方、苦しむ方をなくしたいという私の思いが、色々な方に共感いただいたのだなと改めて実感しました。こういった形でいただいた、みなさまからのあたたかいご寄付を生かして、研究が身を結ぶように努力していきたいと考えています。

 

里井:2年前のクラウドファンディングでは、3日間で1500万円が集まり、多くの支援者さんに支えていただきました。初めの1週間は、支援者さんからの熱い思いを受け止めてその返事をお送りすることだけで終わったことを覚えています。

 

支援者さんからのメッセージは、古川先生がおっしゃっていたのと同じで、患者さんご本人やそのご家族から非常にあたたかいメッセージをいただきました。まさかこういった形で資金獲得に成功できるとも思っていなかったので、貴重な経験をさせていただきました。

 

我が国の科学研究費は制限がありますので、質の高い臨床研究を行うための大きな資金を調達するのは極めて困難な状況にあります。そういった状況において、クラウドファンディングで研究費を調達できることが、研究者としてはとてもありがたく思います。

 

政府が提供している研究費は、専門家が審査するわけですが、こういったクラウドファンディングは一般の方々が審査するということで、一般の方々が期待されていることと我々の研究が直結していくというのは、本当に良い流れなのではないかと思います。最近かなり医療系のクラウドファンディングが増えていると思いますので、これからもその流れが滞ることなく続いていければと強く感じています。

 

− クラウドファンディングへ挑戦したからこそ、得られたご経験をお聞かせください。

 

里井:私が挑戦した時は、医療系のクラウドファンディングがあまりなかったので、マスコミの方々も自ら発信してくださったこともあります。特に毎日放送さんが協力してくださり、関西ローカルのテレビ局で15分くらいの特集番組を作ってくださいました。そこで関西圏と、各新聞社さんが記事として全国へ広げてくださったことが、支援者さんをふやすことに非常に大きな流れとなりました。

 

古川:研究は同時並行で進めていくのですが、資金が日々集まってきているのが分かりますので、目標に向かって研究を進められるということで本当に心強く進めさせていただいております。またこの研究をもとに、さらに新しい研究ができればと思っていますので、大変ありがたいです。

 

 

=== これからの研究のお話など、次回(後編)に続きます。 ===

 

 

ギフト

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・ご芳名を東北大基金HPに掲載(ご希望の方のみ)

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2021年11月末までに送付します。領収書の日付は東北大学に入金がある2021年11月の日付になります。

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