山梨大学の挑戦!山梨特有の廃棄物のリサイクルプロジェクト

山梨大学の挑戦!山梨特有の廃棄物のリサイクルプロジェクト

寄付総額

1,250,000

目標金額 1,000,000円

寄付者
60人
募集終了日
2020年12月14日

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山梨県の廃棄物が宝の山になるように
新しい無機物質の合成に挑戦します。

 

ページをご覧いただきありがとうございます。山梨大学クリスタル科学研究センターの熊田伸弘です。

 

 

山梨大学工学部では現在、従来の研究室の垣根を超えて研究者が集う研究ユニットがいくつかあります[※]。これらの研究ユニットの中でも、特に無機物質に関する研究を行っている圧電フロンティア研究ユニットと光化学機能材料研究ユニットの研究者が協力して、本プロジェクトに取り組みます。

[※] https://www.eng.yamanashi.ac.jp/research/unit/

 

山梨県は、全国一位のワイン醸造を誇っていますが、これらに伴う産業廃棄物があり、それらが有効にリサイクルされているとは言えないのが現状です。

 

本プロジェクトでは、山梨県で排出される無機系廃棄物の中で①煮貝用のアワビの貝殻、②ワイン瓶などに用いられる色付き瓶ガラス、③人工水晶の端材を利用して、役に立つ新しい無機物質の合成に挑戦します。

 

「役に立つ」とは、具体的には高い吸着性を持つ物質とか建材あるいは土壌改良材になるかと思いますが、これらも含めて研究を重ねていきたいと思い、この度皆様に研究費の一部をご寄附いただきたく、クラウドファンディングに挑戦いたします。

 

どうぞよろしくお願いいたします。

 

 

山梨県の無機系廃棄物について

 

先ずは山梨県の固有の無機系廃棄物についてご紹介します。

 

①アワビの貝殻

山梨県の特産品といえば、葡萄や桃などの果物やワインを思い浮かべる方が多いかと思います。この他に古くからの特産品としてアワビの煮貝があります。山に囲まれた山梨県で海産物が特産品となったのは次のような言い伝えがあります。駿河(静岡県)で収穫されたアワビを醤油漬けにして甲斐(山梨県)に馬の背に乗せて運んだところ甲府に着く頃にはちょうどよい味となったようです。海のない山梨県で作られるアワビの煮貝は高級品で、和食との相性抜群の甲州ワインのおつまみには最高です(個人の感想ですが)。

 

 

アワビの煮貝を作ると、貝殻が廃棄物としてでます。貝殻の主成分は炭酸カルシウムです。ホタテの貝殻を使ってチョークが作られていますので[1]、アワビの貝殻からもチョークを作ることができるはずです。普通のチョークでは面白くないと思い、甲州市の株式会社信玄食品から頂いたアワビの貝殻から作った炭酸カルシウムと市販の蓄光材と小麦粉と混ぜて光るチョークを試しに作ってみました。紫外線をあてるとよく光りますが、書いた文字はあまり光らず書き心地もいま一つでした。アワビの煮貝からの廃棄物の主成分はカルシウムです。カルシウムの特性を生かした物質探査を行う必要があります。

 

 

②色付き廃ビンガラス

アワビの煮貝をおつまみにしてワインを飲むとワインの空き瓶がでます。ガラス瓶ですからそのまま再利用されたり、ガラスの原料に使われています。赤ワインですと色付き瓶ですから再利用の用途がやや限られてきますので甲斐市の㈱中村建設が取り組んでおられるような道路の反射材等への応用もあります[2]。 また、ガラスの主成分はシリカ(二酸化ケイ素)ですから多孔性物質を合成することができます[3]。廃瓶ガラスからはシリカ成分の利用法が鍵になります。

 

 

③人工水晶の端材

半世紀以上前に山梨大学で開発された人工水晶の合成方法は現在も工業的に使われており、クオーツ時計やスマートフォンなどの電子機器に使われています[4]。人工水晶を使った電子部品(水晶デバイス)は韮崎市にあるリバーエレテック株式会社で製造されています。高い技術力で超小型の水晶デバイスが製造され、高度に発達した現代社会を支えています。10㎏近い重さの人工水晶の単結晶からミリ単位の水晶デバイスが作られますが、端の部分は利用できないので捨てられています。そこでその部分を薄くスライスして人工水晶の合成のための種結晶に使わせてもらっています。山梨大学の学生実験や放送大学山梨学習センターの授業で利用させて頂いており、多くの受講生は人工水晶が出来上がったときには感動しています! 水晶の成分はシリカ(二酸化ケイ素)が100%で、結晶質であることが廃ビンガラスとは異なっています。

 

 

 

当然ながら廃棄物はゴミとなります。
またコストがかかるため、その多くがリサイクルされていない現状があります。

 

これらの産業廃棄物が再利用できていないことで、煮貝を製造販売している食品会社では、廃棄物を産業廃棄物として処理するためにコストがかかっています。

 

これまでに色付き廃ビンガラスについては㈱中村建設が取り組んでおられるような道路の反射材等への応用もありますが、排出される廃棄物の量に比べると利用されているのはごくわずかです。「アワビの貝殻」および「人工水晶の端材」については、ほぼ全て廃棄されていると考えられます。

 

一番の理由は商業ベースに乗らないからです。世間で大量に出回っているアルミニウム、鉄、銅は量が多いのでリサイクルされています。金や白金についても、単価が高いので少量でも商業ベースにのっています。中途半端な量で低価格の元素は廃棄した方が経済的ですので、リサイクルされないのです。

 

山梨県特有の3種類の無機廃棄物を紹介しましたが、結局のところカルシウムシリカです。

 

私たちはこれまでにもカルシウムとシリカを有効利用するため、それぞれの再利用方法について研究を行ってきましたが、今回のプロジェクトではカルシウムシリカの両方を使い、人工水晶の合成法である水熱反応を用いて、新しい物質を合成することに挑戦します。


 

研究内容とこれまでの実験結果

 

最初にリバーエレテック株式会社からご提供頂いている人工水晶の端材を用いて人工水晶を水熱反応で合成する方法をご紹介します。

 

“水熱反応”は地質学において地球内部での反応に用いられてきた学術用語で、高温・高圧下での主に水を用いた反応のことを指します。地球内部での鉱物の結晶化や結晶成長を模倣した水熱反応を利用して機能性無機化合物の合成や結晶育成が行われています。水は100℃で沸騰して、液体から気体に変化します。密閉容器に水を入れて加熱すれば内部の圧力が温度とともに上昇し、374℃、218気圧で臨界点に達します。このような超臨界状態では溶解度の低い酸化物でも溶解することから、結晶成長に利用できます。

 

人工水晶の合成では高温高圧に耐える反応容器であるオートクレーブを用い、図のようにオートクレーブの下部に原料のくず水晶を入れ、上部に水晶の種結晶を吊るしておき、水酸化ナトリウム水溶液を入れて下部(400℃)と上部(340℃)で温度差をつけて長時間加熱することで、上部の種結晶が成長して不純物のない人工水晶を合成することができます。この種結晶にリバーエレテック株式会社からご提供頂いた人工水晶を細断して使わせてもらっています。種結晶は写真のように銀線に結んで吊るします。オートクレーブの内部の圧力が高くなりますので、数人で力を合わせて蓋を閉めます。

 

予備実験を行いました


このプロジェクトでは人工水晶を合成するような高い温度ではなく200℃位の温度での水熱反応ですので、図のような内部がテフロンになっているオートクレーブを用います。この中に廃棄物と水を一緒に入れます。例えば色付き廃ビンガラスは2~5㎜に粉砕したものをそのまま使います。

 

アワビの貝殻も粉砕した方が反応性は高くなるのですが、粉砕した炭酸カルシウムでは水熱反応でもあまり反応性が高くありませんので、アワビの貝殻を1000℃という高温で焼くことで酸化カルシムにしてそれを原料に使います。試しに実験1として廃ビンガラス、酸化カルシムと水、実験2として廃ビンガラス、酸化カルシムと水酸化ナトリウムを入れて200℃で20時間の水熱反応を行ってみました。実験の手順を簡単に図に示しました。水熱反応の生成物について粉末X線回折パターンで同定(何ができているか調べる)しました。

 

 

 

 

<実験結果>

粉末X線回折パターンでは結晶性の物質について、その物質が何であるかを特定(同定)できます。粉末X線回折パターンは物質の「指紋」といえますので、警察の犯罪捜査にもつかわれています。実験1の生成物の粉末X線回折パターンは水酸化カルシウムとよく一致していますので、実験1では酸化カルシウムはガラスとはほとんど反応せず、水酸化カルシウムになったことがわかります。実験2の生成物では細かい粉末と塊の2種類がありましたが、どちらもトバモライト(カルシウムケイ酸塩)ができていることが粉末X線回折パターンからわかります。実験2では水酸化ナトリウム溶液を使いましたので、廃ビンガラスが水酸化ナトリウムによって溶けてそれが酸化カルシウムと反応することによってトバモライトが生成したと考えられます。

 

 

予備実験でわかったことは以下のようになります。

 

 

このプロジェクトでは廃棄物のシリカとカルシウムの特性を生かして水熱反応を用いて役に立つ新しい無機物質の探査に挑戦します。水溶液Ⅹと水熱反応の条件を変化させた実験を繰り返すことで役立つ新しい物質を見つけ出します。

 

 

 

皆様よりいただいた寄附金は、
研究を進めるための一部に充させていただきます。

 

39年間物質探査の研究を行っており、その間に概ね15,000回の合成実験で約100種類の新しい物質を見つけています。確率的には150回実験すれば1つの新しい物質を見つけ出すことができますが、物質合成の神様はそんなに甘くありません。

 

しかし、このプロジェクトで扱う廃棄物を原料に用いた水熱反応に関するデータは未だ見たことがありません。このプロジェクトでは、役に立つ新しい無機物質を探し求めると同時に、その過程のデータが有益なものとなると確信しています。

 

今回皆様よりいただいた寄附金は、これらの研究を進めるための一部として大切に使用させていただきます。資金の使途は以下の通りです。

 

■ 目標金額:100万円

目標金額の使途および実施内容:2021年3月30日までに光触媒の特性を測定し、報告書にまとめます。

 

<資金使途詳細>

・反応容器(300mLオートクレーブ):73万円

→現有する反応容器(オートクレーブ)は最も大きいものでも内容積が100mLです。反応容器の大きさによる生成物の変化を実験するために内容積が300mLのオートクレーブを購入します。

・試薬(NaOHなど):20万円

→水溶液Ⅹのための試薬を購入します。

・人工水晶切断用ダイヤモンドカッター:7万円

→人工水晶の端材を切断するためのダイヤモンドカッターを購入します。

 

 

※本プロジェクトは、支援総額が期日までに目標金額に届かなかった場合でも、目標金額分を自己負担するなどして、必ず上記の実施内容の通り実行致します。

 

 

山梨の廃棄物削減に繋がる宝探しプロジェクト。
応援お願いいたします!

 

山梨大学で働き始めて今年で39年ですが、水熱反応を使ってこれまでに100種類以上の新しい物質を見つけています。それらの中には新しい超伝導物質や光触媒などがあります[5]。

 

このプロジェクトは、山梨大学発祥の人工水晶合成の水熱反応の技術を応用して、山梨特有の無機廃棄物から世の中で役立つ新しい物質を合成に挑戦します。いわば、宝探しのプロジェクトです。

 

廃ガラスあるいは水晶端材のシリカ、それに酸化カルシウムを加えて水熱反応を行って宝探しをします。シリカと酸化カルシウムを用いた水熱反応では建材に使われているトバモライトやゾノトライトといわれる物質が合成できます。宝である新しい物質を合成するためには銅、鉄、アルミニウムあるいは界面活性剤のような有機物を加える必要があるかもしれません。それでも何も出てこないかもしれませんが、面白い物質が見つかるかもしれません。山梨県の廃棄物を削減できるような宝探しにご協力頂ければ幸いです。

 

廃棄物でもきっと何かの役に立つと信じています。ぜひ皆様の温かいご寄附をお願いいたします。

 

ご寄付頂いた方には山梨大学クリスタル科学研究センターで合成した人工水晶(1cm位の大きさ)をお送りさせて頂きます。

 

注釈

[1] https://www.hro.or.jp/info_headquarters/domin/magazine/3.html

[2] http://www.nakamura-kensetu.co.jp/risaikuru.html

[3] https://doi.org/10.1016/j.ceramint.2011.10.057

[4] https://lib.yamanashi.ac.jp/bulletin/16-1/16-1-p2to3.pdf

[5] https://doi.org/10.2109/jcersj2.121.135

 

 


▼ 税制上の優遇措置について

 

山梨大学へのご寄附については、税制上の優遇措置が受けられます。
 

<個人の皆様>

■所得税(所得控除)
寄附金額が年間2,000円を超える分について、所得控除を受けることができます。

 

 寄附金額 - 2,000円 = 所得控除額

 (控除対象となる寄附金の上限額は、当該年分の総所得金額の40%です)

 

■住民税
本学を「寄附金税額控除対象法人等」として指定している都道府県・市区町村にお住まいの寄附者の皆様は、所得控除に加えて、翌年の個人住民税が軽減されます。控除対象の地方自治体については、以下の通りです。

 

【山梨大学への寄附金を条例で指定している自治体】

・山梨県

・甲府市、富士吉田市、都留市、山梨市、大月市、韮崎市、南アルプス市、北杜市、甲斐市、笛吹市、上野原市、甲州市、中央市、市川三郷町、早川町、身延町、南部町、富士川町、昭和町、道志村、西桂町、忍野村、山中湖村、鳴沢村、富士河口湖町、小菅村、丹波山村

 

なお、この制度は都道府県・市町村がそれぞれの条例で寄付控除の対象を指定するものですので、詳細については、お住まいの都道府県市町村に直接お問合せください。

 

 (寄附金額 - 2,000円) × 4~10% = 住民税控除額

 (控除対象となる寄附金の上限額は、当該年分の総所得金額の30%です)

 

 ※上記の計算式の4~10%について
 ・都道府県が指定した寄附金は4%
 ・市区町村が指定した寄附金は6%

  (都道府県と市区町村双方が指定した寄附金の場合は10%)

 

<法人様>

 寄附金の全額を損金算入することができます。

 

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プロフィール

昭和58年(1983年)から山梨大学工学部クリスタル科学研究センター(当時は無機合成研究施設)にて新しい無機化合物の合成に関する研究を行っています。特に山梨大学で技術開発された人工水晶の合成法である水熱反応を使った新しい無機化合物の探索が得意です。その技術を使って山梨県で排出される廃棄物のリサイクルを目指しています。

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昭和58年(1983年)から山梨大学工学部クリスタル科学研究センター(当時は無機合成研究施設)にて新しい無機化合物の合成に関する研究を行っています。特に山梨大学で技術開発された人工水晶の合成法である水熱反応を使った新しい無機化合物の探索が得意です。その技術を使って山梨県で排出される廃棄物のリサイクルを目指しています。

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