
コラム⑤ 古墳の副葬品とは?―(1)前期古墳の副葬品
こんにちは!大阪大学考古学研究室です。
この度のプロジェクトでは、多くのご支援をたまわり、誠にありがとうございます。
引き続き、ご支援ならびに情報の拡散をお願いいたします。
さて今回からは、古墳に納められた「副葬品」についてお話していきたいと思います。
現代人の我々の感覚からすると、亡くなった人の棺の中に入れるものとしては、故人の思い出の品や、花などの飾りが思い浮かぶかと思います。
では、古墳に葬られた人々の棺やそのまわりには、どのような副葬品がみられるのでしょうか?
■時代によって副葬品は大きく変わる!
前のコラムでも触れたように、古墳時代は300年以上も続きます。そして、これだけ長いのですから、納められる副葬品も、移り変わっていきます。
古墳時代を三つに区分した、前期・中期・後期のそれぞれに、特徴的な副葬品の傾向がみとめられます。さらに、副葬品の変化は、大規模古墳が集中するいわば「古墳の中心地」が移り変わるのと、おおむねリンクしているのです。
そこで今回は、古墳時代前期の副葬品の特徴と、社会とのかかわりについてみていきたいと思います!
■古墳時代前期の副葬品
(1)鏡
古墳時代前期は「銅鏡の時代」といっても過言ではありません。いちばん有名な「三角縁神獣鏡」(さんかくぶち・しんじゅうきょう)をはじめとした、たくさんの鏡が前期古墳には副葬されました。

これら古墳に副葬された鏡には、どのような意味があったのでしょうか?実はそこには、単なるきれいなマツリの道具という以上に重要な意味があるのです。少し掘り下げて見てみましょう。
・「モノを手に入れる」にも2種類ある!
現代の大富豪を例に考えてみましょう。
ある大富豪が高級車を乗り回していても、その大富豪が高級車メーカーそのものと特別な同盟関係にあると考える人は少ないでしょう。
これは、大富豪が高級車を入手する際に、それなりのお金を支払っている、いわば単純に「買った」ものだからです。(もちろんスポンサーであるなどの特殊なケースはありますが…)

一方で、例えば勲章や、映画賞などのトロフィーについては、これらはお金では買えないものです。つまり、上の高級車とは違って、「お金にかえられない価値」を持っているといえます。
これらのアイテム(勲章やトロフィー)には、それをくれた側の人(組織)の権威が含まれているのです。

お金にかえられない価値を持つといえます。
古墳時代の三角縁神獣鏡などは、それを管理するヤマト政権の中枢から、それぞれの地域の首長に分け与えられたものという説が、有力視されています。
つまり、当時の首長がそれぞれ個人のツテでばらばら入手したのではなく、ヤマト政権という権威が、首長のことを認める証として授与したのではないかと想定されています。政治的な同盟関係のあかし、とも言えるでしょう。
三角縁神獣鏡などの鏡には、単におまつりの道具という意味だけでなく、こうした政治的意義も含まれているようなのです。
奈良や京都、大阪といった、後に「畿内」(きない)と呼ばれる地域では、この鏡を何十枚という数で副葬する古墳がみられます。そしてこれらの古墳をつくった勢力が、三角縁神獣鏡を各地の首長たちに分け与えたと考えられています。
他にもこうした性格をもつ副葬品としては、前期中頃以降、「鍬形石」(くわがたいし)などの腕輪形石製品(緑色の石でつくられた腕輪)がみられるようになります。

(2)武器・武具
前期古墳からは、鏡などの「呪術的」なもの以外にも、たくさんの武器・武具も発見されています。
前期古墳からは、しばしば、弓につがえる矢の先端につけた「鏃(やじり)」が見つかります。鏃は鉄や銅でつくられることが多く、何十、何百という点数が同時に副葬されることもあります。

これらの鏃一点一点は、長さ数センチという小さなものですが、よくよく観察してみると、非常に凝った造りをしています。
例えば、鏃の真ん中には縦方向に、「鎬(しのぎ)」が施されることがあります。

この鎬のおかげで横断面がひし形になり、立体的な形状になるのです。
とても小さなものにも手間をかけている様子がよくわかりますね。
このほかにも、矢を収納した容器(靫、ゆぎ)や、小さい鉄板を綴じ合わせてつくったヘルメット形のかぶと(小札革綴冑、こざね・かわとじ・かぶと)、鉄製の刀剣、盾などといった様々な武器・武具が、前期古墳には納められています。

ところで、上に挙げた「小札革綴冑」は、実は中国の王朝からもたらされた特別な武具であると考えられています。
先の三角縁神獣鏡とあわせて、前期の副葬品の多くは、中国の王朝とのつながりをあらわしているといえます。
このことは、中期の副葬品を考える際に、とても重要なポイントになります。
詳しくは次回にふれる予定ですので、みなさん頭の片隅に入れておいてくださいね。
■古市古墳群の近くの前期古墳
今回のプロジェクトの対象である古市古墳群は、次回とりあつかう「古墳時代中期」に展開した古墳群です。
しかし、古市古墳群のまわりには、それに先立つ前期の古墳群も存在します。特に古市古墳群のすぐ東にある玉手山丘陵の上には、玉手山古墳群(たまてやま・こふんぐん)と呼ばれる、近畿でも有数の大古墳群が存在しています。

いくつかの古墳にはのぼることができ、古市古墳群をはじめ大阪平野を一望できます。

奥に見えるこんもりした森のような部分が、古市古墳群中の前方後円墳です。
また玉手山古墳群の北側、大和川沿いには松岳山(まつおかやま)古墳があります。この古墳では、第3回のコラムでも写真をご紹介しましたが、最古級の「長持形石棺」を今でも見ることができます。
このエリアにかつて所在した前期古墳、「ヌク谷北塚古墳」と「駒ヶ谷宮山古墳」は、実はかつて大阪大学が発掘調査を実施した古墳です。今回のプロジェクトで主な対象とした野中古墳以外にも、大阪などに所在する多くの古墳の調査をしているのです。
これらの前期古墳からは、上で見たような銅鏡などが見つかっています。しかし、残念ながら、そのような重要な遺物は、ふだんはみなさんにお目にかけることができません。
何度も申しておりますが、それら大阪大学所蔵品の公開をかなえることが大きな目標であり、せめて、さしあたり3D計測データをとって公開したいというのが、今回のプロジェクトになります。
ぜひご協力のほど、よろしくお願いいたします!
なお、大阪大学で出版しております『野中古墳と「倭の五王」の時代』(大阪大学出版会)にも、大阪大学が調査した、上記の前期古墳の一部を紹介していますので、ぜひご覧ください。
■古墳時代中期の副葬品とは?
玉手山丘陵の前期古墳からは、鏡や腕輪形石製品などが発見されていますが、その一方で玉手山からは眼下にひろがる古市古墳群をはじめとした中期古墳からは、ガラリと異なる副葬品が納められるようになります。
いったいどのようなものなのでしょうか?
次回は、野中古墳をはじめとする中期古墳の副葬品についてご紹介したいと思います。お楽しみに!
ギフト
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