フィリピンにおけるサシバの密猟対策（ヌエヴァ・ヴィスカヤ州）

ルソン島最北端のサンチェスミラでは密猟が無くなり数千羽のサシバが毎年繁殖地に帰っていくことができるようになったことは、別の活動報告「フィリピンにおけるサシバの密猟対策（サンチェスミラ）」でご紹介しました。

今、日本鳥類保護連盟ではルソン島中部にあるヌエヴァ･ヴィスカヤ州で密猟防止に係る活動をしています。ここでもサンチェスミラの成功事例を生かして進めていきたいと考えてはいますが、活動が始まったのがちょうど新型コロナウィルスの感染拡大が始まり、フィリピンはロックダウンになった頃だったので、フィリピン内の移動もできず活動は思うように進みませんでした。そんな中でもカウンターパートであるRaptorwatch Network Philippinesの献身的な活動で現地との協力体制も整ってきたところで、今年、私達も現地に行ってきました。

行政や大学など、皆さんが協力的である一方、大きな問題がありました。

サンチェスミラはサシバをハンティングすること自体が悪いことという認識が薄く、公然と猟をやっていた場所です。そのため説得することも可能だったのですが、ヌエヴァ･ヴィスカヤ州では悪い意味で本当の密猟です。

闇夜に紛れて密猟をするため、誰がやっているのかも分かりません。そして相手は銃を持っているので近づくのも危険だと言われました。生活のためにやっている密猟ですから相手も必死です。例え現場を見かけたとしても相手に会って話をするのは難しいでしょう。

そのため、現場対応は行政に任せることになりました。

私達は、行政や大学と一緒に普及啓発活動に尽力していきたいと思います。活動が広がり、サシバのことが知り渡れば、密猟もしにくい社会になっていくはずです。何年か後に国際サシバサミットもヌエヴァ･ヴィスカヤ州で開かれるかもしれません。

地道に一歩一歩、活動を進めていきたいと思います。