【インタビュー】味わいが、おいしく変化していく。

Fermentators week が行われる秋田県湯沢市周辺には、自らの豊かな感性と知恵を地域のものごとと軽やかに掛け合わせ、おもしろく、しなやかに暮らす Fermentators(個性を醸す人)がいます。

 

Fermentators の言葉から見えてくる、この土地の美しさ、厳しさ、無限の奥行き。育まれた食文化の圧倒的な豊かさ、美味しさ。地域への想いと葛藤。

 

こんな Fermentators がいるまちってどんなところなんだろうと気になり始めたあなたは、もう発酵の虜!



Fermentators vol.14 中村厚子さん / 株式会社明通りチーズ工房 代表取締役社長 Fermentators vol.15 佐藤円さん株式会社明通りチーズ工房 工場長
 
秋田県雄勝地域の中でもとくに酪農が盛んな羽後町。
閉校になった旧明通小学校の教室を活用して、酪農家のお母さんたちがスタートさせたチーズ工房が今年で8年目を迎えました。
工房を切り盛りする2人の Fermentators は、この地域にある資源を変容、熟成させて新たな価値を生み出す、まさに発酵のプロフェッショナル!

 


株式会社明通りチーズ工房 代表取締役社長 中村厚子(なかむら・あつこ)さん
1953年、湯沢市生まれ。羽後町の酪農家に嫁いで40 年。1994年に雄勝酪農協会婦人部としてスイスのチーズ工房を視察したのがきっかけで、自分たちの乳用牛を使って日本人の舌に合うチーズをつくってみたいと考え始める。1999 年にチーズ部会を発足、試作を重ねる。2011年に 明通りチーズ工房を設立、2017年に株式会社化。代表に就任。




株式会社明通りチーズ工房 工場長 佐藤円(さとう・まどか)さん

1965年、湯沢市生まれ。北海道酪農学園大学で乳製品の製造学を学ぶ。卒業後、10年間関西で乳製品関連の会社に勤めたのち、北海道のニセコチーズ工房の立ち上げに関わる。37歳の時にUターン。明通りチーズ工房の指導担当を経て、工場長に就任。



ー「牛から育てた、酪農家のてづくりチーズ」がキャッチコピーの明通りチーズ工房さんですが、具体的にはどのようなチーズをつくっていますか?
 
佐藤:
チーズには大きくナチュラルチーズとプロセスチーズの2種類があるんですが、うちでつくっているのは熟成期間によって味わいがおいしく変化していくナチュラルチーズです。原材料であるミルクの味が色濃く出るのもナチュラルチーズの特徴ですね。
 
定番のモッツァレラや、塩水でウォッシュ(洗浄)した独特の風味があるカマンベールウォッシュ、原料に酒粕を使ったスカモルツァ酒、黒コショウの刺激がビールとよく合うスカモルツァ粒胡椒など、全部で11種類のチーズを製造しています。
 
カマンベールウォッシュのように、1年~1年半熟成させるチーズを製造しているところは東北にあまりないんです。塩漬けした桜の花を貼って熟成させるアヴァ桜なんかも珍しいと思いますよ。旧明通小学校の校庭に咲く桜の花を使っています。
 


 
ーそのたくさんの種類のチーズづくりを、基本的にはお2人で担当されているんですよね。大変なことも多いと思うのですが…。
 
佐藤:
そうなんです。チーズづくりはかなりの重労働なんですが、中村さんはチーズのカットを正確に、しかも長時間続けられるくらい体力があるんですよ。僕も、上半身に筋肉がつくようになってきました。
 
中村:チーズづくり体験もやっているので、興味がある方はお問い合わせください!
最初はとにかく販売の面が大変でしたね。チーズをつくることも大変ですが、ナチュラルチーズ自体にあまりなじみがない地域なので。
 
佐藤:北海道や岩手はチーズのイメージが定着しているけど、このあたりはまだまだでしたもんね。
 
中村:婦人部でEUのチーズづくりを視察してから、自分たちの地域でもチーズをつくってみたいと思ってはいたんですが、やっぱり、チーズになじみがない地域で、自己流でやるのはなかなか難しいんですよ。

そんな時に、大学でちゃんと乳製品づくりを勉強した佐藤さんと、知り合い伝いにつながることができたのは大きな転機です。夢は、願えば叶うんだ!と思いました。

 


  

ー明通りチーズ工房の誕生には、不思議なご縁のつながりが関係していたんですね。それでは最後に、Fermentators week に参加される方、興味を持ってくださっている方にメッセージをお願いします!
 
中村:
お米やお野菜など、食べ物がとにかくおいしい地域です。もちろん酪農家のみなさんがつくる牛乳と、それからできるチーズも!ここでしか食べられない食を楽しんでください。
 
佐藤:難しいことを考えないで、まずは「け(食え)!」ですね。土や気候が違えば、同じ秋田県内でもお米や野菜の味も違ってきますよ。いろいろ食べてみてください!
 

 
写真・Otan/Photography 文・平元美沙緒 〈Fermentators week 広報担当〉

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