真鶴建築マガジン(12)/トミトから見た真鶴半島

 

 

こんにちは。

今日は真鶴出版に変わってトミトアーキテクチャの冨永が書いています。

 

私たちにとってのプロジェクトの始まりは、今から遡って一年前。

真鶴出版のお二人に呼んでもらって、真鶴半島に上陸したのでした。

 

人口約7500人という半島。

駅から降りて真鶴出版まで歩いて行く10分ほどの間に、すれ違う島民の方たちと代わる代わる挨拶を交わして行く二人の姿を見て、「こんなに知り合いがいるなんて、すごい!まるで仕込んだかのようだ!」と思ったのを強く覚えています。

(実際は仕込みでなく、彼女たちの日常のごく一部でした。)

 

真鶴は、「背戸道(せとみち)」と呼ばれる幅2メートルほどの小道が地形に沿うように通り、階段状に広がる民家の群があります。

海が見えるわけでも、伝統的な建築物があるわけでもありませんが、個人所有の小さな単位の不整形な家屋や、温暖な気候に育てられた野生的な緑、ゴロゴロとした石が、地形に沿ってリズミカルに並ぶ風景がありました。

 

世の中の美しいものにはたいてい名前がついているけれど、

真鶴の風景の、誰が作ったのかわからず、バラバラで、気候や地形を共有しているからこそのざっくばらんとした集合体の美しさを、なんて呼んだら良いのかわかりません。

 

まだ名のついていない美の種類に向かいながら、真鶴に通う1年間でした。

 

ある背戸道で、サボテンの葉を拾いました。

試しに持ち帰ってみると、根の部分からさらに芽が生え、親の葉の部分の養分を吸いながらすくすくと育ち、ついには「幽体離脱」のような形になりました。

そこからまたふたつ芽が生えて来たのですが、そのうちにしおれてゆき、ついには枯れてしまいました。

真鶴の温暖な気候、地形と紐づいた生命のかたちだったのだと思います。

 

このサボテンのように、真鶴半島に息づく生命体の一部のような

そういう建築を考えたいと思うようになっていきました。

 

(次回のトミトの投稿につづく)

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